魔法と科学:2
「時間を掛ける必要はない!一気に叩く!」
「真っ直ぐ向かって来るのな!」
にとりは魔理沙へと突撃する。
巨体とは似つかない速度だった。
「その大きさで接近するなんて!
パワフルドラッグっ!当たれよ!」
魔理沙は接近するにとりへと瓶を投げた。
にとりはそれを、右アームで殴り壊した。
直後に右アームは、爆煙に包まれた。
しかし、右アームは無傷だった。
「その程度じゃあ効かないってか!
ウイッチングブラストッ!」
魔理沙は箒から輝弾を放った。
「そんな大きい弾、撃ち抜いてやる!」
右アームの銃から、閃光が発射された。
その閃光と、大きな輝弾が衝突した。
閃光は輝弾を貫通した。
しかし、その先に魔理沙は居なかった。
「どこだ…!? 右…居ない…!
左か…!?いや…下…!居ない!?
上か…!ちっ違う!…奴はどこへ!?」
にとりは視界の全てを探した。
しかし、何処にも魔理沙の姿はない。
「後ろが死角だぞ!くらえ!
恋符『マスタースパーク』ッ!」
「何っ!?避けられない!うぐっ!」
魔理沙は、アームズの死角を狙っていた。
瞬時にその場まで移動したという事は、
相当に自身にも負担を掛けただろう。
にとりは左アームを盾にし、
バリアの展開までの隙を補った。
直撃だが、左アームのみ破損で助かった。
「相変わらずの魔理沙だ…早い! 」
「後ろに目があれば良かったな!」
直後、左アームのミサイルコンテナが誘爆した。
バリア内部が爆煙で包まれた。
「…ちぃっ…!!」
「まだやるのか…?何故そこまで」
「負けると分かっているからこそ…
戦わなければならない時がある…!」
「…」
にとりのアームズは全体的に焦げていた。
本人もダメージを負っていた。
「…なら、次で終わらせる」
「…いいよ…こいよ…!」
魔理沙は箒の柄にミニ八卦路を装着した。
その箒は、エネルギーを纏い、光を放つ。
しかし、魔理沙は消える様に居なくなった。
「なっ…なんて速度だ…!
自分にも負担が凄いはず…!」
「決意がある奴に決意で返すのが礼儀ってもんさ!
私は…仲間のために戦う…!」
「ちっ…数撃ちゃ当たるってな…!
河城にとり…目標を…!
乱れ撃つぜぇ!!」
にとりは残った装備を全て乱れ撃つ。
残った装備でも、相当の弾幕を放っていた。
「どこだ…奴の隙は…!」
「くっ…残弾数0まで…!
5…4…3…2…1…」
「そこだああああっ!!!
魔砲『ファイナルスパーク』ッ!!!」
「まださ…この一手が最後の切り札ぁ!!
斬り裂けっ!!ビーム・サーベルッ!!!」
「何っ…!」
エネルギーが最大にまで溜まったミニ八卦路を、
手に持った光の剣で縦に斬り裂いた。
ミニ八卦炉から、膨大なエネルギーが発生した。
「私はもう…死をも恐れない…!
信じる未来の為に…明日の為に…!」
「やるな…そこまで決意があるんだな…!」
最大にまで溜まったエネルギーが、
2人のみならず、
周辺を包み込む程の大爆発を生した。
「何だ…何が起こった…!?」
魔理沙は、あの爆発を直撃したはずだが、
彼女に負傷箇所は見当たらなかった。
発生した爆煙は、
緑色の粒子の球内のみに留まっていた。
「…にとり…?
何してんだよ…にとり…!」
爆煙と緑色の粒子が引いていき、
中の彼女の様子を視認した。
彼女の機体は、水色の塗装が全て剥がれ落ち、
全ての箇所が黒く焦げていた。
にとり自身も、相当のダメージを受け、
かなり負傷していた。
「言ったろ…死ぬのは…!
怖くないってね……!」
「まて、まだ助かる!
その機械から降りるんだよ!早く!」
「へっ…魔理沙らしいな…」
直後、彼女の機体が誘爆。
爆発の輝きと衝撃波が、にとりの姿を包み込んだ。
魔理沙も、衝撃で相当の距離を飛ばされた。
吹き飛ばされた場所で、
爆発地点をただ呆然と見つめる事しか出来ない。
彼女は、目の前の現状を、
認める事は出来なかった。
「…嘘だろ…?なあ………!
返事を…してくれよ………………にとり…」