魔法と科学:1
「まだ間に合う、手を引け」
「すまないが、引く手はないな」
「そうか・・・」
箒に跨っている魔理沙。
大きな機械に搭乗しているにとり。
互いは見つめ合う。
「殺すなんて事は考えた事は無いが・・・
私も戦う理由があるんだ・・・!」
「私は君を倒せなくても、私が死んでも、
全てが元に戻せるというなら、賭けるだけさ!」
にとりが後方へ少し下がり、機体の左手にある、
ミサイルを射出する。
それらのミサイルは、魔理沙へと向かっていく。
「並んで飛ばすのは、撃ち落されるだけだ!」
魔理沙は接近しつつ、
左右に展開した星型の光から、
無数の小さなスプレー状の閃光が放たれた。
それらは互いにぶつかり、相殺される。
「出力正常・・・当たって死ぬなよ・・・!」
今度は右手のかなり大きな銃から、
閃光が放たれる。
魔理沙はそれを回避する。
「そんないきなり種明かししてご苦労様だな!」
「このアームズを舐めないほうがいい!」
にとり本人が、手に持っていた狙撃銃を放つ。
弾種はビームだが、弾速は実弾銃以上だった。
そのビームは、魔理沙の帽子を撃ち抜く。
「ちいっ・・・本人も武装しているのか!」
「それがこの機体の良い所さ!」
「だが・・・!そういう武器には弱点付きさ!」
魔理沙はにとりへ突撃した。
魔理沙が予想したのは、先程の右手の銃には、
排熱に時間が掛かるということだった。
「弱点をカバーするのが手数さ!
この機体にいくつ武装があると思う!?」
にとりの脚に装備されていた四角い物から、
緑色の光を放つミサイルが射出される。
そのミサイルへ、帽子が投げられた。
その帽子にミサイルが刺さり、直後に爆発した。
「刺さって内部から破壊する武装か・・・
いい武装だが、殺傷能力が高いな!」
「相変わらず当てる気は無いんで!」
にとりは狙撃銃を3発連続で発射する。
魔理沙はそれを軽やかに回避し、
取り出したミニ八卦路から、
極太の閃光が放たれる。
「恋符『マスタースパーク』ッ!!」
その極太な閃光は、にとりの機体ごと包み込む。
「・・・やったか・・・?」
「・・・やはり私の傑作君は凄いよ!」
マスタースパークを防ぎきったのは、
にとりの機体ごと覆いかぶさっていた、
緑色の粒子だった。
その粒子は球状になっており、
それが閃光を弾いたのだった。
「厄介な武装だな・・・!一体どこの科学力なんだ?」
「魔法とキノコにしか目がない
貴方には分からないでしょうね!」
互いが再び見つめ合う。
変わった部分は、にとりの総弾数と、
魔理沙の帽子が無くなったのみ。
互いにまだ、決定打はない。