最初の障害:2
盾をそのまま押し、チルノを押し返す。
再び距離が離れた。
「(出力を抑えた状態でなら・・・!)
くらえっ!当たったらひとたまりもないぞ!」
颯花は銃口を向け、発射する。
チルノはそれを容易く回避する。
「あたいに手加減して・・・!」
「手加減なんかしていないさ・・・!」
続けざまに右肩のビーム砲を放ち、薙ぎ払う。
こちらの武器には出力制御が無く、
威嚇の為だけに放った。
彼女の行動パターンの、最も動かない方向へだけ、
そのビームが向かう様に放った。
「やっぱり手加減してる!」
「手加減はしていないと言ったろ!
殺す気は無いだけさ・・・!」
「へぇ・・・。じゃあ・・・
妖精の類は死なないわよ?」
「惑わそうとしているのか?」
「信じるかはあなた次第ね」
「私は自分も他人も信じた覚えはない」
「可哀想なやつね〜」
「どう思っていようが、私に関係ない・・・!
(ミサイルポッド・・・これか)
・・・いくぞ!」
チルノに向かって誘導する、ミサイルが放たれる。
「馬鹿ね!まとめて飛ばしても、
撃ち落とされるだけよ!」
「それを分かっての事さ・・・!」
そのまま後方から、
拡散ビームでミサイルを撃ち落とす。
2人の間に爆炎が広がる。
その爆煙へ、盾を構えつつ颯花が突撃する。
「(さてどう動く・・・)」
颯花は爆煙の突き抜けた。
銃口を向けた。しかし、
そこにチルノは居なかった。
「(まるで策士だ・・・私の行動が読め過ぎ。
異世界野郎が話したのか・・・?)」
「上よ!氷塊『グレートクラッシャー』っ!」
「大きな氷のハンマーなこった!」
武器を脚に掛け、
両手で押さえなければならないほど、
かなりの重量だった。
「おっ・・・もい・・・!」
「隙ありのありありよ!
冷符『瞬間冷凍ビーム』!」
「させ・・・ない・・・!」
ハンマーをチルノの方に向け、
その攻撃を防いだ。
更に大きくなったハンマーを、
颯花は重そうに投げ捨てる。
「(腕が開いた・・・いつもの武器でやってみるか)」
「何をクスクスと・・・あたいを馬鹿にしてぇ!
氷符『アイシクルマシンガン』!」
「作動しろ・・・風圧結界・・・!」
颯花の右腕の機械から発生した風圧が、
氷柱をそのままはじき飛ばした。
もう片方の機械を展開し、颯花は突撃する。
「てやっ!!」
「接近したわね・・・!あんたの運の尽きよ!
アイスチャージ!」
チルノは冷気を纏い、突撃する。
互いが接近し、距離が縮まっていく。
颯花の左腕がチルノへと、
チルノの左腕が颯花へと。
互いの拳が互いの頬に当たった。
「ぐぬ・・・!」
「いいい・・・!!」
チルノはその風圧結界の風圧を耐えていた。
颯花は驚きつつも、自らの頬が凍っている事に
気付き、自ら距離を取る。
「(時間がかかる相手だ・・・出力を抑えて、
大妖精にこの銃を放って、反応で確認するか)
当たれよ・・・!それっ・・・!」
「なっ!?」
ビームが大妖精へと向かう。
大妖精はそれに気付いており、
回避行動をしようとした。しかし、
その弾を自らの身体でチルノは防いだ。
「(妖精は不死身ではなさそうだな・・・)」
「・・・あれっなんともないってか卑怯ね!」
「(しまった・・・殺傷能力の無さを悟られたか)」
「あんたの武器じゃもう怖くないわ!」
「ちぃ・・・!」
チルノは再び氷のハンマーを生成、
颯花の頭上へ投げた。
「(押さえれば隙になる・・・か。
銃の出力を上げて焼き尽す・・・間に合うか?)」
ハンマーをギリギリ銃で撃ち落とした。
しかし、次に見たチルノの行動は、
氷の剣を構え、今に心臓を
串刺しにしようとしていたチルノであった。
「(この腰のヴェスバーなら間に合う・・・!)」
両腰に搭載されていた銃を放ち、
チルノへと命中させる。
しかし、彼女の動きは止まらない。
「効いていない・・・!?
この武器もかなりの威力があるはず・・・!」
「終わりよぉっ!!」
「しまった・・・ッ!」
「颯花っ!」
「チルノちゃんっ!」
颯花は、無意識に引き金を引いていた。
その放たれた光は、彼女の額へ命中した。
「(私が・・・撃った・・・!?)」