異颯花の世界:2
「(電流は再使用まで・・・時間が掛かるな・・・
コピーもまだ使えない・・・
風圧機械もか・・・
残るのは刺剣とアンカーのみ、か)」
「先制必勝!くらいやがれっ!」
「くっ・・・!」
魔理沙が放った極太な閃光を、
アンカーで無理矢理回避する。
「全くうろちょろと・・・良く動く奴だな!」
「貴様も相変わらずと火力馬鹿だな!」
「馬鹿じゃない!ちゃんと狙ってるぜ!」
「火力は認めるんだな!」
「ああそうだぜ!
お前みたいな悪を消し去る力さ!」
「ああ・・・そうかよ・・・ッ!」
颯花は魔理沙へと駆け寄る。
「私も居ますよ!」
「すっこんでろっ!脳筋野郎ッ!!」
「えっちょうぐっ!?」
下半身を外し、美鈴の頬を殴り飛ばす。
再び連結し、そのまま魔理沙へと駆け寄る。
「また撃つのな!厄介な奴だ!」
「さっさと食らえば終わるぜっ!」
「丁重にお断りだっ!」
颯花は刺剣の剣先を飛ばす。
しかし、魔理沙に当てる事よりも、
場所をずらす目的で使われた。
「やる気のない弾など!」
「残念だがお前を殺す気は無い!
本命はこっちだっ!」
颯花は持ち手にアンカーを繋ぎ、
魔理沙へと投げた。
彼女の頭部へ直撃した。
「・・・気絶してくれれば楽なんだが・・・」
「ここで・・・負けてちゃ恥なんでねッ!
魔砲『ファイナルスパーク』・・・ッ!」
「なっ・・・しまった・・・!」
発射形態へ移行した魔理沙へと、
颯花は再び駆け寄る。
「くらえ・・・消し飛べ・・・ッ!!」
「くっ・・・
間に合ええええッ!風圧結かあああああいッ!!」
今までよりも特大な閃光と、
颯花の右手の機械がぶつかり合う。
しかし、片手だけでは耐える事は出来なかった。
「もういっちょおおおお!!!」
左手の機械を出現させ、両手で防ぐ。
それでも押されている。
「流石は・・・霧雨 魔理沙・・・
第二の主人公として相応しいな・・・!」
「今頃命乞いか!?遅いぜっ!」
「残念だが私も手を引く場合では無い・・・
負ける気もないんでな・・・!」
「何故そこまで戦おうとするんだよ!
人を殺めてまで必要な事なのかよ!」
「気の毒だが・・・私は人を殺めていない・・・!
諦めたりは出来ない・・・
負けるわけにはいかないのさ・・・ッ!」
「嘘をつくまで最低な奴なんだな!貴様は!」
「嘘はついていない!だが・・・。
人を見殺しした最低な屑野郎だけは認めてやる!
だが私にも意地がある・・・!
歯車となって戦うものには分かるまいッ!」
「いつまで調子をこいて・・・!
終わりだ!最大出力・・・!」
「・・・ッ!?これが黒白の実力か・・・!?」
眩い閃光が周囲を包み込んだ。
その場所に、颯花は居なかった。
「やったのか・・・?
しかしなんだこの・・・不愉快さは・・・
全く・・・嫌になるぜ。ったく」
「15分経過。ギリギリだったな・・・」
颯花は、湖に居た。
間一髪で八雲紫の能力を使い、
異颯花の世界から脱出したのだった。
疲労と身体への負担が重なり、
動ける状態では無かった。
「そろそろ・・・私も・・・。
・・・死に場所が見えてきたな・・・」
颯花は疲労から目を閉じた。
動けないのと相まって、
少しながら寝てしまった。
颯花は目を開けた。
目の前には、あの大ちゃんという、
彼女が居た。
表情は困っていた。
「・・・離れな・・・私と関わると後悔するぞ」
「・・・でも怪我が・・・」
「・・・あっちへ行け・・・お呼びじゃない」
「・・・貴方が人を殺すような人物だとは思えない」
「人を見た目で判断すると・・・
君にも・・・君の大切な人も傷つく。
自分以外の人を信用していると・・・
裏切られた時に・・・己を殺す」
「やっぱり・・・人殺しじゃないわ・・・!
人殺しはそんな事言わない・・・!」
「・・・人殺しに会った事があるのか?」
「・・・でも・・・」
「だったらせめて私を忘れてくれ・・・
それだけでも私にとってありがたいよ」
「・・・うん」
「んじゃ、行きな。あの氷結少女と仲良くしろよ」
「・・・」
颯花は右手を上げ、手を振った。
振る事に、亀裂が入る音が響く。
彼女は心配そうに泣き目になりつつも、
手を振り返した。
彼女は去っていった。
「全く、無理をして・・・」
「・・・無理をしなければ死んでいたさ。
命あっての物種ってな」
「私は全力でサポートするよ。
皆の記憶を取り戻そう・・・!」
「・・・当たり前だ・・・!」