姿をも変える者:2
「紛い物だと?それは貴様だけだ!
私は私なんだ、それ以外の何者でもない!」
「誰もお前の事を言ってない・・・!」
異颯花は光る槍を構え、突撃する。
颯花も槍を生成し、接近する。
2人の槍が鍔迫り合う。
「ありえん・・・この私が!」
「自分を信じ過ぎて、己を殺しても知らんぞ!」
「ふざけるなッ!私は誰にも負けん・・・!
私に敗北など許されんのだ・・・!」
「黙って手を引けば、敗北しないぞ!」
「馬鹿か!手を引けば敗北と同じ事だぞ!」
「今なら間に合う、みんなを元に戻せば、
互いの未来を救えるよう協力してやる!」
「貴様らに何が出来るか!
貴様らが死んでくれなきゃ、
こっちは助からんのでなッ!
私達の未来の為に死ね・・・!」
「助け合うという事も出来ないのか・・・
知性が低い私な事だ!」
「貴様が馬鹿みたいに頭がきれるだけだッ!
気安く比較しないで欲しいものだな!」
「・・・そうかい・・・!」
颯花は自らの槍を手放す。
異颯花は思い切り態勢を崩した。
「なっ貴様、何を!」
「上を見ろ!それで分かる筈さ!」
「・・・!貴様ッ!」
颯花は、吊らされていた燃え尽きない松明を、
アンカーで切り落とし、異颯花へ落とした。
異颯花のレミリアの姿が燃えていく。
「・・・。水の在処を教えれば助けてやる」
「・・・フッ、ふざけるな。この程度」
異颯花は、燃えたまま立ち上がる。
「姿を変えられるお陰で、
外傷に変化があっても治るんだよ!」
「(・・・まずいな、想定外だ。
自己修復が無いと思ったが・・・
それ以前に燃えていては容易に近づけないな)」
「行くぞ・・・燃える彼女の姿はどう見えているか?」
「だから貴様が燃えているだけだ、どうも思わん」
異颯花はゆっくりと歩む。
颯花の後ろ方向は、洞窟の最終地点だった。
更に、何故か颯花の意識が遠のいていく。
「(・・・そうか、ここはほぼ密閉空間。
こんな大きく燃えられたら、酸素が薄まるか)」
「どうした?もう時間切れか?」
「・・・まだだ!(にとりの能力では、
水が無いと無意味そうだな・・・
ならば・・・パチェか)」
颯花はレミリアの状態を維持しつつ、
フランからパチェリーへと変化させる。
燃える異颯花の頭上から、バケツの量ほどの
水が降り注ぐ。ギリギリ消化できた。
「・・・やはり、劣化コピーでは不便だな。
だが、能力に囚われるよりはマシだな」
「まるで何かの罰ゲームのように・・・
馬鹿にしやがって・・・!」
異颯花は、颯花の槍を持ち、二刀流になった。
「チッ・・・槍を消していれば良かったか」
「さあ・・・切り刻まれる決心はついたか?」
「さあな、やってみろ・・・!」
異颯花は、突撃した。
2つの槍で颯花を挟むように斬りかかる。
「馬鹿め・・・中央ががら空きだぞ!」
「それはどうかな!?」
「・・・何っ!」
異颯花の口から、もう一つの槍を打ち出した。
その槍は、颯花の右肩へ命中した。
「そんな奇策、見習いたい所だ・・・!」
「フッ、動きが止まったな!
そのまま斬り裂かれよ・・・!」
「だが・・・同じ手は2度と通じない・・・!」
颯花は、異颯花へと全力で突撃する。
左右の槍は、
颯花をそのまま挟むように斬りかかる。
しかし、颯花は胴体を切り離し、
その胴体を踏み台として、
そのまま異颯花へと突撃する。
切り離したおかげで、
胴体、脚部共に槍が命中しなかった。