水の効果による策略
「・・・こんなにあっさり取れるじゃない。
多少の微弱な結界はあるけど、
とくに障害はないわね」
渓谷の洞窟の最終地点に、
謎の水が入った壺があった。
音を鳴らした。いい音色だ。
「満タンに入ってないけど、重いわね」
霊夢は重そうに壺を運んでいった。
霊夢と壺が洞窟から出た後、
最終地点から更に続く道が開かれていた。
「あんたは誰なんだ。それと、
なんで偽物につきまとっているんだ?」
「私は私よ」
「彼女が八雲紫様、だからです」
「答えになってないよ・・・ったく」
「まあまあ、いいじゃないか」
「それとなんで君達がここへ来るのさ?」
「それはまだ言えないよ」
「言えない事ばっかやなぁ・・・」
「まあ・・・気にするなよ」
「男勝りな人物と見てたが、
たいしてそうでもなさそうだな 」
「なっ・・・褒められてるのか
馬鹿にされてるのか・・・」
「どっちでもいいだろ?」
「まあそうだな」
「・・・ (こいつもよく考えない戦闘バカか?)」
「・・・プッ」
「なんで笑う!?」
「・・・いいえ、何でもないわ」
「なんだよ、もう・・・」
颯花は妹紅へのイメージを戦闘バカへと。
さとりへのイメージは可愛いのままだ。
「・・・持ってきたわよ・・・全く重いわね」
「へぇ、早いじゃない」
「消したい記憶でもあるのかしら?」
「いいえ、私じゃあないわ」
「紫じゃない・・・?」
「この水はね、一滴だけで消したい記憶を
全部消してくれるのよ」
「なんでそんなもの、
今まで教えてくれなかったのかしら」
「貴方使う機会無さそうだし」
「まあね、必要のない記憶なんてないからね」
「(巫女はまだ紅魔館の惨劇を、
思い出してはないんだろうな・・・)」
「(こちらの世界は、とても残酷ね)」
「(・・・何か悲しませるような事思わせたか?)」
「・・・(やはり表情は無くせないものね)」
「霊夢。本当はね、この水は記憶を消す
だけじゃないわ。これは記憶を書き換えられるの」
「・・・えっ?何よ、いきなり」
「私だけの霊夢に書き換えてあげる・・・
この幻想郷もね・・・!」
「なっ・・・!?」
「やはりこいつは八雲紫じゃない・・・!?」
その後、無数の隙間に向かって、
水滴が振りかけられた。
「・・・なんともない・・・か。
霊夢!大・・・丈夫なわけないな。
こりゃあ、面倒くさい事になりやがって」
「颯花・・・私は貴方を・・・許さないッ!」
「(どうやら、私を憎ませているのか。
何故私なんだ?
効果が無い事を知っていたのか?)」
「てぁっ!」
「ぬっ!?」
お祓い棒を回避しつつ、距離を取る。
「これだけが目的じゃないんだろ!
記憶を書き換えて、何を企む!」
「私達の世界のこれから起こる、
『死の灰』を止める為の事前準備だ・・・!」