雨の降り始める時
霊夢達は、紅魔館をやっと視認出来る
距離まで来た。
「あいつ、急ぎ過ぎよ・・・
フランやパチュリー達が負ける訳ないのに」
「油断は大敵ですよ。というか、
ゼィルが急いでいるという事は、
現状はまずい事になっている、と
予測したのでしょうね・・・」
「あいつの思った事は的中する・・・か。
とてもまずく思ってきたわ・・・」
「どうやら・・・お出ましだぜ」
彼女達は、中庭で佇む一人の人物を見ていた。
「こんにちは、巫女、召使い、魔女」
「ちょっと待て。
魔女じゃなくて、魔法使いな」
「フン・・・どうでもいい」
「皆はどうしたのよ?」
「殺したさ、一人を除いてな。
その1人はもう戦力にならんがな・・・!」
「なんてこと・・・!」
「安心しろ・・・この世界よりも良い所へ行っている。
ありがたく思えよ?」
「ふざけんなよこのド畜生が!
殺されるのが嬉しい奴なんて居るかよ!」
「居ないだろうさ、だから殺す」
「馬鹿みてえな理屈だけで・・・!」
「魔理沙!落ち着きなさい!」
3人は中庭に降りた。
ジーグは不気味に小さく笑顔だった。
「君達も早く会いたいだろ?」
「私達はあんたなんかに殺られない・・・!」
「ちなみに私はフランを吸血したレミリアを
圧倒した。それでもいいなら相手をしてやろう」
「望むところだぜ・・・!」
「・・・」
手始めに、咲夜は時を止めた。
咲夜以外の全員に、動く気配はない。
多量のナイフを構え、ジーグへと投げた。
数本を死角から投げ、時は動き出した。
「馬鹿め、私はゼィルだぞ?」
ジーグは磁界を生成、ナイフを受け流した。
死角を狙ったナイフも意味は無かった。
「・・・次よ・・・!」
「お前に次はない・・・!」
「・・・ッ!」
咲夜の脚に、つるが絡み付いていた。
パチュリーの魔法だった。
「さてと、次だ」
ジーグは咲夜へ針のような閃光を放った。
その閃光は貫くことに特化していた。
しかし、それらは霊夢のお祓い棒で横から
弾かれた。
「そのタイプの閃光は横が弱いのよ」
「当たり前さ」
「こいつ・・・私苦手だわ・・・」
「何とでも言えよ、どうせ意味は無いけどな」
「甘い!後ろだッ!」
「ん・・・?」
いつの間にか魔理沙はジーグの背後を取っていた。
その背中に極太な閃光が撃ち込まれた。
閃光にジーグは包まれる。
「やったか!?」
「・・・甘いな・・・」
「・・・ッ!?」
足音が響く。
その足音は魔理沙へ近付いていた。
その後、魔理沙の腕は閃光から伸び出た、
ジーグの腕に掴まれた。
「こんな細い腕、片手で折れるぞ」
「あいにく、折って欲しい腕は無いんでね!」
魔理沙はミニ八卦炉を止めた。
「なんだ?終わりか?」
「そんな訳あるかよ!」
ジーグの足下には、つるが絡み付いていた。
ジーグやパチュリーの使用していた魔法と、
同じ魔法であった。
「今だ霊夢!」
「分かってる!てあああああ!!」
霊夢は多量の霊符を展開。
ジーグにすべてを撃ち込む。
辺りは爆煙に包まれた。
爆煙と同時に、雨が降り始めた。