惨劇
レミリアはふらつきながらも立ち上がる。
2人の血を目にして、悲しみつつも、
ただ敵を倒し、借りを返すと。
「だが、お前が強くなった訳でもないが?」
「私はもう迷わない・・・」
「フラン・・・あなたの力を・・・」
「どうか・・・私に貸して・・・!」
レミリアはフランの身体に吸血した。
残っている血を使い、
傷を癒し、力を借りていく。
「そんな事をして、私に勝てると思うな!」
ジーグは彼女に接近する。
レミリアに殴りかかった。
「なっ・・・」
レミリアとジーグの拳が衝突する。
互いの力は互角であった。
「ありえんな・・・吸血鬼2人分にしか、
なっていないはず・・・!」
「所詮あなたは紛い物の吸血鬼なのよ!」
「言ったな・・・!」
ジーグは彼女を蹴り飛ばした。
レミリアは両腕で防御した。
ダメージはあまりなかった。
「何故だ・・・何故だ・・・許さん・・・!」
「このまま圧倒する!」
レミリアは接近し、
右手から紅く光る槍を出現させ、
それをジーグに切りかかる。
しかし、ジーグも全く似た物を出現させた。
互いのそれらが激しく火花を飛ばしつつ、
鍔競り合った。
「全く同じだと・・・!ありえん・・・!」
「己の強さに惑わされたのが運の尽きよ!」
ジーグの槍は弾かれた。
レミリアは槍を構える。
「終わりよ・・・!真っ二つにして、
フランとパチェに分けて返す・・・!」
「なっなんと・・・!」
槍で切り払われ、ジーグは二つになった。
「・・・終わった・・・」
「馬鹿め、上半身と下半身は分離できるんだよ!」
「・・・・・・ッ!?」
動き出した上半身は、再び槍を生成。
レミリアの槍を軽く切り飛ばした。
「まさか・・・今まで・・・手を抜いて・・・!」
「そうさ、楽しかったよッ!感謝しな!」
その槍は、レミリアの心臓を貫いた。
レミリアは口から多量の血を吐き出す。
「ぐっ・・・ッ!」
「全く、醜い野郎だ、お前は。
借りを返すどころか更に借りて、
それでも敗北し、自分まで死ぬなんて」
「・・・ちっ・・・私では・・・無理なのね」
「そうさ、そうさ、お前でも、誰でも
僕を止める事は出来ない。
お前らはただ殺されていれば、
より良い世界に早く近づくだけなのにな」
「・・・私達は・・・私達なりに生きていく・・・
それを貫こうとしただけ・・・! 」
「もう死ぬし、槍に貫かれているお前と、
会話するほど暇じゃないんでね。
まだ私の中に残っている良心で、
お前をそろそろ楽にしてやろう」
「・・・あなたは・・・絶対に負ける・・・!
私達を・・・舐めるな・・・!」
「僕もよく知っているよ。
なんせ、僕はゼィル、なのだから」
「・・・ッ!?」
「じゃあね、レミリア・スカーレット」
紅く光る槍は、更に紅に染まり、
レミリアの身体は心臓から頭部へ切り裂かれた。
「3人目・・・!フハハハハハハッ!!」
「もう3人も死んだぞ?
随分と愉快で楽しいじゃないかッ!?」
「ハハハハハハハハッ!!」
「・・・来たかぁ?ゼェェイルゥ・・・!」
駆け走る足音、悲しく響く叫び声。
「ジィィィイイイイグゥゥゥウウウウウ!!!!」
「馬鹿でかい声で叫んで・・・鬱陶しいんだよぉ!!」
2人の機械は衝突する。
不気味な音が館中に響いた。
「よくもぉ・・・よくも!
パチェをッ!フランをッ!レミリアをッ!」
「お前もノロマだからこうなったんだよ!
お前が悪いんだよぉッ!!」
「貴様さえ居なければこんなことにはああ!!」
「どうせお前もこうなるんだよォ!!」
「何処までクズなんだよぉ!!私はぁ!!!」