館の主として
「・・・よくも・・・フランを・・・!」
レミリアは部屋の隅から立ち上がる。
彼女の脚はまだ震えているが、
その顔に迷いは無かった。
「馬鹿め、今頃遅い。
お前はいつもとろいんだよ」
「私は馬鹿だった・・・謝罪をしても
許される事じゃない・・・」
「偽善な事を・・・」
「偽善かもしれない・・・けど、
私はもう後悔したくない・・・」
「もう後悔しているじゃないか。
ノロマな吸血鬼が」
「私はフランを1度捨てた・・・けど、
彼女は今までの事を無かったかのように
私を介護してくれた。
けど、私は何もしてあげられなかった・・・」
「捨てている時点でお前にとってアイツは
ただの道具なんだろ?」
「違う・・・!私は・・・」
「認めてしまえ、どうせ事実だったんだろ?」
「そうね・・・事実だったわ・・・けど、
今は違う・・・!私は彼女に恩を返す・・・!
今頃過ぎて私も呆れてる。けど、
何もしてあげられないのは一番嫌!
私は・・・あなたを倒す・・・!」
「・・・そうか・・・ならば、
苦しんで死ね・・・! 」
ジーグは変化した。
それはレミリアにとってトラウマの姿であった。
「フフフ・・・怖かろう」
「怖いわ・・・けど、もう迷わない!」
レミリアはジーグへ突撃する。
ジーグに連続で拳を入れる。
しかし、全くダメージを受けていない。
レミリアは腹部を蹴られ、
大きく吹き飛んだ。
「実力の差は埋まる筈がない。
圧倒的に殺す。僕の大好きな事さ」
「くっ・・・負けない・・・!」
レミリアは再びジーグへ突撃する。
ジーグへ再び連続で拳を入れる。
しかし、今回は全て避けられた。
レミリアは顔を捕まれ、
思いっきり叩きつけられた。
その頭部を何度も踏まれる。
「諦めろ、お前に私は倒せない」
「絶対に倒す・・・!」
レミリアは踏みつける脚を掴む。
全力でギリギリ止められる程度であった。
「ふん・・・勢いだけは一人前だな」
「くぬ・・・!」
「仕方ない・・・そのまま押し潰してやるよ」
脚に更に力が入れられる。
レミリアはそれを押さえる事は出来なかった。
「終わりだ、目覚めたらまたフランに会える。
向こうの世界で私に感謝していろ」
その時、一つの閃光がジーグへ衝突した。
「・・・誰だ」
「レミィの邪魔はさせない!」
紫色の人物、パチュリー・ノーレッジ。
「まずお前から血塗れにしてやる」
「やってみなさい!それ以上レミィに
手を出したら許さない!」
瞬間、パチュリーの腹部は殴られた。
パチュリーは吹き飛び、壁へ衝突した。
「魔女ごときが、生意気な事をするから」
「くっ・・・」
「お前は今からリタイアだ」
ジーグの周囲の空間から、
謎の隙間が現れ、
そこから多量のナイフが出現した。
そのナイフがパチュリーへ向かった。
防御は出来なかった。
しかし、彼女は最期にこう叫んだ。
「あなたはあなたの意志を貫きなさい・・・!
絶対に・・・迷っては駄目よ・・・!」
その言葉を最後に、
その場所は多量のナイフにより、
蜂の巣のようになった。
辺りは血に染まっていた。
「私の・・・せいで・・・2人も・・・」
「良かったじゃないか、君よりも先に
行ってくれて。これで向こうでも寂しくないな」
「・・・お前・・・」
「・・・ん?聞こえんな?」
「・・・絶対に・・・許さない・・・!」