堕落した吸血鬼と
「・・・」
少女は暗闇の一室でうずくまっている。
惨劇の主犯である、レミリア・スカーレット。
彼女の心は閉ざされているままであった。
その心は、咲夜でも開く事が出来なかった。
その隣に、車椅子に乗るフランが居た。
彼女は脚がまだ完治しておらず、
血液の急激な減少により、
翼まで血液が回らず、機能が低下しており
飛行能力が低下している為、
飛ぶ事は出来なくなっている。
咲夜が居ない間は彼女が看病していた。
「お久しぶり〜姉妹クン」
「・・・ッ!」
その部屋に一人の人物が入室した。
時刻は霊夢達が颯花へ向かう頃であった。
彼女の名はジーグ・フリーズ。
「全て想像通りに動いてくれてありがとうよ」
「・・・お姉さまには何もさせない!」
「断る。これもルートを正す為の必要な事」
「ルートなんか知らない!この道が一番正しい!」
「この道は間違っているんだよ。
君達がより良い世界で暮らす為には、
このルートを破壊しなければならない」
「私達はこの世界で生きていくの!
どんな悲惨な運命でも受け止める!」
「そんなことを言うからみんな死んでいくんだ。
あんな結末、誰も望んではいない・・・!」
ジーグは珍しく苦痛な表情をしている。
彼女達の末路はそこまで悲惨だったのか。
「君達はまだ利用させてもらうよ。
あるべき道に戻れるように」
「もうこれ以上好きにはさせない・・・!」
「その体でどうしようと・・・? 」
「やれることはやるわ・・・!」
レミリアを守るように、
フランが車椅子で立ち塞がる。
「馬鹿め、たかが1匹、
堕落した吸血鬼に何が出来るか」
瞬間、フランの腹部に拳が入った。
フランはよろけ、車椅子から倒れる。
その背中をジーグは踏み付ける。
「邪魔を・・・するからこうなる」
更に、その胴体を蹴り上げ、
首元を掴む。
「ぐっ・・・離して・・・」
「離してやるさ、貴様らの血を浴びたらな」
その時、フランの喉から大量に出血した。
ジーグは首元を握り潰したのだ。
「ぐっ・・・ぁ・・・」
「死ぬのは怖いだろう?
痛いのはちょっとだけさ。
すぐ楽になる。
大丈夫さ、意識が戻ればみんな
ハッピーエンドさ」
「かぁ・・・誰も・・・あなたの・・・
造った世界なんかいらない・・・!」
「まだ喋るか・・・可哀想だ、トドメを刺そう」
動けないフランに、ジーグは歩み寄る。
「さようなら、意識が戻れば私は居ない。
あちらの世界で、私に感謝しろよ?」
「ぁ・・・ッ!」
フランの脳天を、刺剣が貫く。
その部分から、大量の血が噴き出す。
ジーグと周囲を、紅く染めた。
フランは動かなくなった。
「次は・・・お前だ」