真紅と純白:1
二手に分かれた後、
霊夢は飛行し、探索していた。
「・・・相変わらず大きな森ね。
焚き火でもしたら神社まで燃えそうだわ」
独り言を言いつつ、視界に入った大きな
岩の上に乗り、少し休憩を取った。
「・・・こんな所に岩なんてあったかしら?」
横になり、空を見上げる感じに寝っ転がる。
同時に、仮面を付けた自分に似た者に、
視界を覆われた。
「うわぁっ!」
「・・・」
顔をスレスレで覗き込まれた為に、
思わず起き上がった時に互いの額が激突した。
互いが同じ格好で痛がっていた。
「顔近過ぎるわよ・・・もう」
「・・・」
岩の上で、2人が見つめ合う。
「あんたが、9人の1人ね」
「・・・」
無反応であった。
仮面を付けていた為に、表情が把握出来ない。
同じ立ち方をしている。
「・・・なにか言いなさいよ」
「・・・」
無言を続けていた。
呆れ顔をしつつ、お祓い棒を向ける。
「あんたがどんな奴か知らないけど、
私は死ぬ気無いの。
大人しくやられなさい」
「・・・」???
「・・・無反応。まあ、倒すに支障はないわ!」
霊夢は突撃した。
お祓い棒を仮面に突き刺した。
「(防御もしないで直撃。これは痛いわ)」
お祓い棒は腹部に当たった。
鈍い音が響く。
「・・・」
「・・・あれ?」
仮面は無反応を続けていた。
全く痛そうでは無かった。
仮面はその突き刺した棒を持つ腕を掴み、
勢い良く後方へ振り投げた。
岩から落ちたが、霊夢は体勢を直し、
地面への直撃は回避した。
「上から見下ろして、いい気にならないでよ」
「・・・」
仮面は飛び降り、周囲に霊符を展開。
それを突撃させ、自らはお祓い棒を叩きつける。
霊夢はそれを結界で防御、
自らもお祓い棒を叩きつけ、
鍔迫り合いの形になった。
「私の技を真似できるなんて、
只者じゃないわね!」
「・・・」
仮面が上になっている為、
重力的に押し潰されると把握し、
霊夢は後方へ距離を取る。
「だったら、これはどう?」
霊夢の後方から陰陽玉が出現。
それを突撃させた。
仮面は軽やかに回避した。
しかし、霊夢は手にもう一つ、
光る陰陽玉を持っていた。
「くらいなさい!宝具『陰陽飛鳥井』!」
「・・・」
それは仮面に直撃した。筈であった。
「・・・なっ!?」
「・・・」
仮面はそれを片手で軽く受け止めた。
更にそれを投げ返した。
霊夢は陰陽玉を操作し、
明後日の方向へ飛ばした。
「貴方の正体がとても気になってきたわ」
「・・・」
2人は同じ構え方をした。
次に2人がした行動は、
周囲に霊符を展開した。
「・・・数も同じじゃない・・・
せめて劣化とかしておきなさいよ」
「・・・」
「・・・劣・・・化・・・?
・・・気のせいか」
互いの霊符が衝突し、煙を上げる。
そこを2人が駆け寄り、
お祓い棒が鍔迫り合う。
2人は鍔迫り合った瞬間に、
互いの頬に蹴りを入れた。
「・・・くっ・・・!」
「・・・」
仮面は少し欠けたのみで、
ダメージは無いようだった。
霊夢は口の中で少し血が出た程度だった。
口元から垂れた血を拭った。
「・・・やるじゃない。自分と戦ってるみたいで、
面白くなってきたわ」
「・・・」
仮面は全く話さない。
霊夢はいつの間にか気にしなくなってきた。