似て異なる者
狭い一室での3人の会話が続く。
「面倒くさくていいんだ、
僕は正しいとかそういう存在に
なりたくは無いんだ」
「・・・」
「僕はこれだけ言っておくよ。
この世は偽善で成り立っている」
「偽善・・・」
「善なんて存在しない。
全て自分の為にしかしないエゴの塊だ」
「・・・それで?」
「・・・そういうと思ったよ、巫女」
「今はそれで成り立っている。
それが壊れるまで利用するだけ」
「・・・壊れたら?壊れたらどうする?」
「その時が来たら考える」
「・・・」
霊夢はそっと構えた。
「あんたを捕まえて、聞き出すってことも
出来るわよ?」
「そんな事君には出来ない」
「・・・その自信はどこから?」
「さあね」
「・・・」
「私ちょっと出かけますね!では」
文はすかさず逃げていった。
「あいつ一応戦えるじゃない・・・」
「ここで戦って、神社は大丈夫?」
「・・・そうね」
「ほら、戦わないで捕まえるのは無理だし」
「・・・」
「じゃあね、博麗の巫女、博麗 霊夢」
「・・・待って」
「ん?」
「あんたの顔に、見覚えがあるの」
「・・・それで? 」
「そいつとどういう関係なの?」
「・・・」
「・・・言わないのね」
「まだ言うべき時じゃない。
それじゃあ、また」
「・・・貴方は・・・一体・・・」
「僕か?僕はジーグ・フリーズ。
それだけだ」
「・・・」
彼女は去っていく。
乾いた瞳、合わない髪と服装の色。
彼女の存在は何を意味するのだろうか。
「・・・変な奴ね」
「終わりました?」
「・・・あんたねぇ・・・」
文が戻ってきた。
外にいたらしいようだ。
「逃げなくてもいいんじゃないの?」
「に、逃げてませんよ!
外の空気を吸ってきただけです!」
「神社の空気は汚いって聞こえるけど?」
「だってそうじゃないですかやだー」
「あ?」
「さーせん」
「・・・とりあえず行ってくるわね」
「あっこれ、地図」
「珍しいわね、協力してくれるなんて」
「私にも良心があるんですよ」
「へぇ・・・(無関心)」
「ちょっとそれ酷くないですか!?」
「そんなもんは知らん」
「・・・ちぇ」
その時に、一人の人物が来た。
かつて敵同士であった紅魔館メンバーの
一人である、十六夜 咲夜であった。
「私も同行しましょう」
「あなたは・・・あの館のメイド、咲夜じゃない」
「はい、あの魔法使い、魔理沙が
動けないと聞いて、戦力になれば、と」
「貴方、怪我大丈夫なの?」
「はい、なんとか。
まだ思い出せないのですか?」
「・・・ごめんなさい・・・まだ分からないわ」
「・・・そうですか・・・」
「・・・協力してくれるのはありがたいわ。
でも、無理しないで」
「はい、大丈夫です。では行きましょうか」
「そうね、行きましょうかしら」
「あっはい、地図です」
「感謝するわ」
「霊夢さんも、ほら」
「ああ・・・感謝するわ(棒)」
「ちょっ・・・酷くないですか貴方は・・・」
「はいはい、どうせ協力してくれないんでしょ」
「Yes I am.」
「・・・」
メイドと巫女は、神社を出た。
「あー、外出たいぜー・・・」
「駄目よ、まだ傷が治ってないわ」
「・・・ちぇ」
紫色と魔法使いは、大図書館にいた。
何故か魔理沙の家ではなく、
大図書館にいるのかは、不明である。
「家帰りてぇ・・・トホホ」
「駄ー目、しばらくここにいてもらうわ。
(あんな事やこんな事が・・・ムフフ)」
「ううっ・・・寒気が」
「大丈夫でしょう」
「多分な」