道を外れた運命
あの異変から半年が経とうとしている。
魔理沙は意識を取り戻したが、
霊夢は未だに記憶喪失であった。
彼女は颯花を完全に覚えていない。
魔理沙が話しても作り話と思っている。
咲夜は少しずつ回復してきていた。
しかし、レミリアの心は未だに
閉ざされている。
フランは少しなら歩ける程度に回復していた。
その最中の事である。
謎の9人がこの幻想郷へ襲来してきた。
本来の物語から外れている。
その9人の中には、颯花と思われる人物が
確認されている。
目的は明らかになっていない。
「・・・以上が現在の結果です!」
「何も分かってないじゃない!」
「情報が少な過ぎるんですよ!」
博麗 霊夢と天狗の雰囲気が溢れ出る少女、
射命丸 文が話し合っていた。
「どうするんですか?
魔理沙さんは動けませんよ?」
「私一人で大丈夫、問題ない」
「どう見てもフラグですよ」
「私が負けるとでも?」
神社で会話が続く。
季節は秋、蒸し暑さは消え失せ、
涼しくなってきている。
「さて、どうなんでしょう?」
「あんたを退治するくらい容易いわよ」
「さーせん」
「・・・で、奴らの居場所は?」
「この神社から北北東周域と、
そこにいます」
「ふぇ!?」
文は物陰の方を指した。
そこから登場したのは、
颯花であり颯花ではない人物であった。
「ごきげんよう♪巫女♪」
「・・・何よ・・・こいつ・・・
全身から・・・狂気さを感じる・・・!」
「霊夢さん!」
「あっれー?覚えてないのぉ?」
「霊夢さんは記憶喪失なんですよ!」
「馬鹿!なんで教えるのよ!てか
無くす記憶もないわ!」
「貴方が覚えてないだけです!」
狭い一室で慌てる2人。
それを見つめ、呆れつつ真顔である。
彼女は、ジーグ・フリーズ。
彼女の瞳は、颯花以上に乾いていた。
「僕は教えにきただけよ」
「・・・?」
「僕らの描くその先をね♪」
「これはスクープです!」
「そんな場合か!」
「僕らは・・・この世界を再製する♪」
「・・・再・・・製?」
「そう♪今この幻想郷にいる全ての生物を
殺せば、この世界は正しい道へ行く♪」
「正しい道なんてない!
これが運命よ!」
「へぇ・・・この再製はねぇ♪
君が望んでいた物よ♪」
「・・・なっ・・・私が・・・?
一体・・・何故・・・・・・?」
「全て教えてあげるよ♪記憶を植え付けるのさ♪
そうすれば思い出す♪
悪い事は考えてないさ♪
ただ悲しむ姿が見たいだけだからねぇ!」
「・・・」
「霊夢さん!罠かも知れませんよ!」
「・・・私は、こいつを信じる」
「霊夢さん!?」
「へぇ・・・じゃあこいつを飲み込みなさい♪
電流が走るように思い出すわ♪」
ジーグはチップの様な物を机に置く。
霊夢はそれを受け取る。
「どうなっても知りませんよ!」
霊夢はそれを飲み込んだ。
直後、電流が走るように・・・ならなかった。
「・・・?それに甘い」
「ばーか♪ただのチョコだよーん♪
君にはまだ思い出させはしないさ♪」
「・・・面倒くさい奴・・・」