吸血鬼よりも悪魔よりも
「・・・フフフフフフ・・・!」
「あ・・・あ・・・うああああああああああああ
ああああああああああああああああああ!!」
彼女は泣き叫んだ。
声が出なくなるまで叫んだ。
自分の無力さに泣いた。
自分のせいで殺してしまった。
「いいサケビゴエねェ!!
ゼツボウにソまるセイシン!
ムリョクさにクルしムナミダ!
マガイモノのウンメイにフサワシイ!」
彼女は泣く。
レミリアの言葉も、何も頭に入らなかった。
悲しみ。絶望。後悔。謝罪。
彼女は泣く。
顔を掻き毟る。力強く。
血が出てきている。皮が剥がれる。
内部骨格の頭蓋骨が、露出していく。
「あらラ?ジブンにイカリをブツけル、
ソんなカナしいノネ・・・
ワかるワ・・・そのキモチ。
ジブンのガングがコワれたラ!
とテもカナシイもノ!!
ワタシがそのクルシミからカイホウ
してアげルわ! ! 」
直後、彼女の顔の皮と肉が剥がれた。
血と痛みを伴っていたが、全く
感じていなかった。
悲しみに染まっていた心が、
怒りに染まっていく。
彼女の顔は、髑髏の顔になった。
表情も、感情も、無くなっていく。
彼女は、壊れた。
「ウォオオオオオオオオオオ!!!!!」
機械音のような叫び声が響く。
その声は、レミリアを後ずさりさせた。
「イマゴロサケんだトコロで!
ムダなのヨ!サッサとシにナサイ!!」
レミリアは大量のナイフを投げた。
しかし、刺さる筈なのに、
切れる筈なのに、ただ当たるだけで、
彼女には何ともなかった。
「ウォオオオオオオオオオオオ!!!!」
彼女は再び叫んだ。
同時に、彼女は禍々しい光を纏った。
背中からフランとレミリアの翼を
合わせたような、恐ろしい物が生えてきた。
全身の筋肉が膨張し、
吸血鬼よりも、悪魔よりも、
もっと恐ろしい者に変化した。
彼女は神になった。
見えるもの全てを破壊し、
情をも無く、ただ我が身のまま破壊し続ける、
破壊の神へ。
最初に彼女、いや、破壊神が見たものは、
レミリアであった。
「カミにでもなったツモリか!!
ゴウマンなんだよ!!ワタシよりも、
ウエのソンザイになろうなんて!!」
破壊神が歩み寄る。
ゆっくりのようだが現状は、
ものの数歩で腕が届く距離になった。
「なッ・・・ナマイキなッ!」
レミリアは右脚で顔を蹴った。
しかし、びくともせず、レミリアに
ダメージが来ているくらいであった。
「な・・・ナニがモクテキなノよ・・・!
オマエは・・・イッタイなんなのよッ!!」
彼女は答えない。
ただ、破壊する者。
それ以外には何も無い、
ただの破壊神であった。