赤と黒:2
「また貴方達ね。
いつまで足掻いても無駄なのに」
「いいや、無駄じゃない。
少なくとも私の感がそう言ってる」
「あんたの感はアテにならないじゃない」
「それは気のせいだ」
赤と黒は、再び揃い共闘す。
彼女らが望むのは勝利のみであった。
「まさか勝てる気があるの?
笑わせないで。私はもはや最強生物。
君達人間には到底敵う存在ではない」
「確かにあんたは強いかもしれん。
けど、私は戦う。ここで引いていたら、
後悔するし、人間として生きる為に、
お前を倒す。全てから逃げてたら、
人間失格だと思うぜ?」
「人はやる時はやる生物なのよ。
今、この時がやる時なのよ!」
「全く、人間は分からないわ。
無謀に立ち向かうほど馬鹿な生物に、
生きる意味があると?
人は些細な憎しみが積み重なるだけで、
同じ生物を殺してしまうのよ?
私は憎しみを生ませず死骸も発生させない。
この汚染されてく地球を、全てを、
救っているというのよ。到底人間には、
不可能な事でしょうね」
「確かに人間には無理だわ。けど、
・・・人間には知能という、
特別な物が託されているわ。
それは希望にも絶望にもなる。
けど、私達は希望になると信じて戦うの。
信じているから戦えるのよ!」
「人間らしさとでも言うのか?
あほらしいな。そんなもの、
全ての人類を殺した時にはもう存在しない!
人間はそれがあるから生温い生物程度なのよ!
人間はそれで、自分自身をダメにしている。
だから弱い生物のままなのよ」
「弱い生物だからこそやれる事が
あるってもんだぜ。
私達はそれをするだけだ!」
「それをただ『無謀』という。
そんなものに価値があるとでも・・・?
そんな考え、体と共に切り裂いてあげる・・・!」
レミリアが能力を発動した。
「ノロマな巫女だッ!」
「・・・何ッ!?」
瞬時に霊夢が蹴り飛ばされ、
衝撃で飛び上がった瓦礫が彼女の上に
落下していく。
レミリアは魔理沙に接近していく。
「私には勝てない。
全身を切り刻んで肉の塊にでも
してあげるわ!」
「やってみやがれ!返り討ちにしてやるぜ」
魔理沙は向かってきた拳を回避し、
後方へ距離を取る。
「・・・そこに拘束の魔法でも設置しているな」
「・・・!」
レミリアは魔理沙に近付かない。
完全に読んでいたという事なのだろうか。
「近接に強いあんたは、
近付かれなければ問題ないぜ!」
「近付かなくても、攻撃できるではないか」
レミリアは大量のナイフを取り出した。
彼女は投げる構えをした。
「時止めを使わず投げるとでも!」
「なっ!させるか!」
魔理沙はロープを投げた。
魔法で動きを操り、まっすぐレミリアへ向かう。
「そんなもの・・・!」
彼女は容易く切り裂き、
ロープは使い物にならなくなってしまった。
「終わりだ魔法使い。
痛みはすぐに来る。
せいぜい苦しんで死んでいけ!」
「ちっ!」
魔理沙はミニ八卦炉を取り出したが、
発射寸前で時止めをされ、無力化される。
「時止めはいいねぇ。
周囲が完全に物音が消え、
うるさい生物もピタリと止まる。
まさに私だけの世界だ・・・!
咲夜、この能力は私が持つべきもの。
人間ごときが手にしていい代物ではない!」
レミリアは再度投げる構えをした。
「終わりだ魔法使い。
体に集ってくるハエのように
鬱陶しかったが、それを殺すのと同じくらい
快感だ。人間はハエ以下。
生息する価値などない。
・・・そして、トドメだ・・・!」
彼女は手に持つ8本のナイフを投げた。
ナイフは魔理沙の寸前で止まる。
更に、更にと投げていく。
時間一杯まで投げていく。
「死ねッ!死ねッ!死ねッ!死ねッ!」
次々と投げていく。
最後に1つだけナイフを取り出す。
「終わりだ、苦痛ある死を迎えよ・・・!」
時は動き出した。
魔理沙はそれを、その時間を
スローモーションのように感じていた。