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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅霧異変編〜
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戦う意味

颯花はもう何も考えられなくなった。

彼女は勘が鋭いというものを手に入れている反面、

自分の予想した事が起こらなかったり、

予期せぬ事態に直面すると頭が真っ白になる。

ちょっとでも絶望や勝てる気がしないと考えると、

本当に勝てないと思ってしまう事があった。


「…」

「…颯花、何黙ってるのよ!反撃するわよ…!」

「…逃げてくれ……霊夢。

これは流石に……もう…勝てる訳ない…!」


霊夢は半ば諦めている颯花の襟を掴み引き寄せ、

顔の目の前で相手を怒鳴りつける。


「何諦めてるのよ!勝つんじゃなかったの!」

「勝たなければならないのは分かってる…

でも…これでは……あなたでも無理だ…!」

「あんた……!」

「もう私の中には絶望しかない…!

あの状態の彼女を倒す術は……ない」


颯花は下を向き、絶望に肩を落としている。

確かにこの状況では勝てる気など起きない。

霊夢も負けるとまでは思っていないものの、

どうすれば倒せるかが全く想像出来なかった。


「…」

「…」


少しの間でも、かなりの時間が過ぎたように、

2人は感じつつ、ずっと沈黙している。

今の現状は確かにその通りであり、

今度こそ勝ち目がないのは明らかではあった。

そんな下らない事を続ける2人を嘲笑うように、

レミリアはほんの少しちょっかいを出す。


「あら?なになに?楽に死にたい?」

「……違う。霊夢……あなただけでも、

逃げ切って……そして生きて…!」

「馬鹿言わないの!みんなで生きるんでしょ!

みんなで生きて勝つのよ!」

「私には既に帰る場所なんてない…!

私なんかこのまま…死んだって構わないッ!」


霊夢はそう言った颯花の頬を強く叩いた。

彼女が予期せぬ行動を取ったことで、

颯花は再び何も考えられず、ただ相手を見つめる。

何故そんな行動をしたのかが全く分からなかった。


「約束したよね!自分を捨てないでって!」

「そんな勢いだけで越えられる物事じゃない!」

「ふざけないで!

あんたなんか死ぬ価値もないわよ!

あんたは最後まで生きていくしかないの!

それしかさせないわ!許さないから!」

「じゃあ…どうすればいいんだ霊夢!

もうこんなの…私は嫌だ!こりごりだ!

みんなを死なせたくない…それだけなんだ!」


いつまでも諦めたままの彼女に見切りをつけ、

そんな彼女を霊夢は強く突き飛ばす。

颯花は自分が伝えている事を理解してくれない、

そんな彼女に疑問しか浮かばなかった。

なぜそこまで戦い続けられるのか、

自分が出来ない事をどうして出来るのか。

颯花は深く考えても、全く理解出来なかった。


「私達は死なないわ…!あんたも死なせない…!」

「そんなの無理だって言ってるだろ!

今まで頑張ってやっていたけれど!

結局なにも出来なかった!彼女はもう悪魔だ!

人間の死が快感の…!残酷な悪魔だ…!」

「なんとでも言いなさい!その根性…叩き直す!」


霊夢は頬を殴った。何度も颯花を殴り飛ばす。

吹き飛んだ彼女の襟を掴みながら、

顔を目掛けて何度も殴り続けている。

相変わらず、颯花は行動に理解が出来ない。


「いくらだってやれよ…この野郎ッ!

あんたの気が済むまで!何度も!」

「あんたねぇ…まだ分からないって言うの…!?」


いつまでも続きそうな現状にレミリアは飽きを感じ、

そろそろ自分から仕掛けた方が早いなと思いつつ、

それを止めるように2人に声をかける。


「茶番はいつまで続くの?

私はね……早くあなたの血が見たいのよ」

「上等じゃない…あんたの血を見せてあげるわ」

「待ってくれ霊夢!逃げてくれよ!頼むから!」

「根性無しはそこで寝そべってなさい!」


颯花を投げ捨て、相手へと霊夢が歩いていく。

どうして分かってくれないのか、

いつまでもその疑問が颯花の頭の中を包み込む。

そして、結局最後まで理解出来ない。


「ぁ……なんでだよ…どうして…」


やっと動けるようになった魔理沙は、

颯花に後ろから近寄って彼女の肩に手を置き、

レミリアへと真っ直ぐ向かう霊夢を見つめつつ、

隣に居る颯花へ一言だけ告げる。

それは彼女が欲しかった同情ではなく、

更に颯花を混乱させるものだった。


「颯花、あいつはそういう奴なんだよ。

どうか理解して欲しい…あいつを…私を」

「えっ…?まさかお前も……待って……!」


そして、魔理沙もレミリアへ向かう。

置いていかれた颯花は結局分からない。

何故なら最後まで彼女は分かろうとも、

理解しようともしなかったからだ。


「何故だ……やめてくれッ!もうっ!」

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