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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅霧異変編〜
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希望と絶望

「さてと…いくわよ!颯花!」

「…分かってる!」

「さあ来い…2人とも殺してやるわ…!」


霊夢と颯花、そしてレミリアが互いに駆け寄る。

ある程度走り距離が近づいた時、

すかさずレミリアが咲夜の能力を発動する。

隣で走っていた霊夢の動きが止まり、

そして颯花自身も動きが止まった。


「まずはお前から…楽には殺さないわ…

痛めつけてから…苦しんで死になさい…!」

「(私は死んでも救ける。お前を……絶対…!)」


動けず喋れなかった颯花も時を止め、

正面からレミリアへと駆け寄っていく。

そして颯花は右腕の機械を露出させ、

颯花の機械とレミリアの蹴りがぶつかる。

機械の風圧で相手の蹴りの威力を揉み消し、

僅かに脚が風圧で弾き飛ばされた。

そしてどこからともなく颯花はナイフを取り出し、

それを数十本持ち、見せつけながら言った。


「これは咲夜のナイフだ…!」

「ふん…ナイフごときで倒せるとでも…?」

「ものは使いようだ!どんな物にも意味はある!」

「戯言を言うな!生まれた意味もない奴が!」


そして見せつけたナイフをレミリアへ投げた。

レミリアは紅く光る槍を手の平から作り出し、

そのナイフ数十本を容易く焼き消す。


「たかがナイフごときではねぇ!」

「……本命はこっちよ!」


声がした方は颯花の方角だったが、

その声は颯花のものでは無かった。

そしてその声人物である霊夢が霊符を展開し、

颯花が横に避けた後ろから撃ち放つ。


「何!?時は止まっているはず!」

「後ろでアンカーを繋いでいたのさ!」

「そしてこれを食らいなさい!」


その霊符が命中するも大したダメージは与えらず、

追撃するようにお祓い棒をレミリアに刺し押す。

それに突かれ少しだけ彼女の態勢が崩れた。

そして霊夢は颯花へ振り向き合図を送る。


「今よっ…!」

「大丈夫だ分かってる!」


颯花はレミリアの額を殴りかかったが、

寸前で拳は袖の中に引っ込み機械が露出、

そしてその機械で彼女の額を殴った。

なぜか颯花はレミリアを殴れなかった。

その理由は今でも分からない。

しかし、その瞬間2人を繋いでいた紐は切られ、

そのせいで霊夢は一瞬止まってしまうも、

すぐに時は再び動き始め、動けるようになった。


「くっ……!」


その風圧で吹き飛ばされたレミリアは、

後ろの玉座の場所に押し戻された。

玉座に衝突した以外に、痛みは無かった。


「…痛みも何も無いわね。これで終わりかしら?」

「…チッ…なぜ殴れなかった……!」

「どうするの……?これを続けても、

あの吸血鬼に押し潰されるだけよ…?」

「…クッ……何か無いのか…?」

「満身創痍ね、そろそろ終わらせようかしら」

「……ッ…!」


レミリアが再び時を止める。

今回は完全に霊夢が止まってしまった。

止まった世界には2人だけが動いている。

その状況に颯花は冷や汗をかいている。

そして、レミリアの両手は紅い輝きを放った。


「……これを受け止めてみなさい!

…避けてもいいけど、巫女は死ぬわよ?」

「……レミリアッ!」

「全てを貫け!神槍『スピア・ザ・グングニル』」


両手を合わせた瞬間、大きな紅い槍が出現、

先程のとは規模が明らかに違う程の大きさの、

その紅く輝く槍が颯花へ投げ飛ばされた。

それに応じ右手を前へと颯花は構えた。


「…巫女は……殺させない…!

出力最大ッ!私の機械義手…『風圧結界』」

「そんなもので……私の槍は防げないわ!

終わりよ!私の勝ちだわ!」

「…やってみなければわからない…!」


紅く輝く巨大な槍と、機械の風圧が衝突する。

そのとてつもない風圧をも凌ぐ紅い槍から、

颯花に神々しさを感じさせる。


「くっ……このぉ…」

「どこまでも突き抜けろ…!我が槍よ!」

「……駄目だ…押し負けている……けれど、」

「そのままぁ……死ねぇえええええええッ!!!」

「負ける訳にはいかないんだぁああああッ!!!」


颯花は左手からも機械を露出させ、

その機械の両手を使ってまで押さえる。

それでも凌ぎ突き進もうとする槍に、

颯花は絶望感も恐怖も何も思わず、

ただ、それに打ち勝つ事だけを望んでいた。


「絶ッ対…!防ぐ…!もう負けたりはしない…!」

「終わりよ……!我が槍よ!全力で進みなさい!」

「私…桐初 颯花は…伊達じゃない……!」


赤く輝く巨大な槍はただひたすら突き進んだ。

しかし、突き進んだ方向は天井だった。

天井に大きな穴を開け、外の赤い光が差し込む。

その思いもしない状況にレミリアは驚いている。


「はぁ……はぁ……よし…よしッ!」

「…なんてこと…有り得ない……有り得ない!」


先程から変わらず驚愕しているレミリア。

颯花の両手の機械は破損していた。

お互い大きな動きもないまま時が再び動きだす。

しかし、同時に機械から爆発が発生した。

それは過度な負担によるものだった。


「ヌッ…腕が………!」

「颯花…!」


その異変に霊夢が心配し駆け寄る。

疲労で座り込んでいる颯花の両手から、

天井の穴へ登る煙が吹き出している。


「大丈夫だ…問題ない。普通の腕には、

何も問題ないようだ…心配はいらないよ」

「よく分からないけど…ありがとう…」

「…」


そう言われた颯花は少し顔を赤く染めていた。

それは彼女が照れているのかもしれないが、

外の紅い光に照らされているかもしれない。

真相は颯花の中に。


「休んでる…場合ではないけど…

脚部に負荷が…動けそうにない…」

「今は休みなさい。治ったらその時に、

また協力してもらうわよ!いいわね!」

「…ありがとう…な」

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