表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
~始点回帰編~
207/245

模倣したような姿

「予定より少しながら早いですね。

でも個人的には嬉しいという思いもあります」

「…!」


霊夢の真後ろの人物は突然と口を開き話し始めた。

それは霊夢に話しかける口調ではなかったものの、

その人物の向いている方向は変わらず一緒なので、

おそらくだったが霊夢に話しかけている。

しかしこんな奇妙な状態では霊夢は振り返られず、

その場で固まって逃げることも出来なかった。

振り返ったとしても暗闇なので相手は見えない。


「どうしたものですかね。私よりも強いのに、

霊力を感じ取れるはずなのに冷汗をかくなんて。

ちょっと臆病過ぎませんか?」

「…」


その声は霊夢よりも年下の幼そうな声であったが、

格上な相手を馬鹿にするような態度をし続け、

まるで今ここで戦っても勝ち目があるようであった。

しかし未だに霊夢は動くことすらままならない。

未知の存在に対しこれから起こる事が予想できずに、

頭の中でかなり取り乱しているようであった。

周りに居ると思われる魔理沙達も状況が分からず、

その謎の声を聞いているだけで何も出来なかった。


「まあお話はこれくらいにしておきましょうか。

ここの村は妙なほどまで時間に厳しいのです。」

「……あ…」


少しずつだが時間が経つほどに状況に慣れてきて、

一言ずつなら相手に話せるようにはなっていた。

霊夢は明らかにその人物に対し恐怖心はあるものの、

今の目の前のこの人は敵だとは決めつけてはおらず、

紫と同様話せば通じる相手だと思っていた。


「いいでしょう。質問がしたいのですね。

伝わって…分かりますよ…私はあなたなのだから」

「…何者なの…」


まあ分かっていたけれどまったく単純な質問に、

話す口調に多少だが呆れのような変化がみられた。

そして別に隠すほどでもないのか躊躇いもなく、

霊夢の背中を見つめながらペラペラと話し始めた。


「私はただの歯車に過ぎませんよ。

世界を滅ぼす危険因子があるというのなら、

地獄まで向かい、捕まえ…封じ込めるだけの。

そんな団体が世界を滅ぼすほどの脅威な存在を、

作り出してしまうなんて信頼が落ちるでしょう?」

「…でもここは…他所の関係を断ち切ってるはず…」

「私達を指示する者はたった1人の尊き御方。

私達は彼女の使い捨ての駒であり続けるだけ」

「そんな…自分を駒だなんて…!」


前にも会ったような自分に価値がないその物言いに、

反射的にその言葉に否定的な返答を返そうとした。

しかしその言葉は話す前に相手の言葉に遮られた。

同時に薄暗い部屋を激しい青い光が照らした。

その時の一瞬の光に照らされた相手の姿は、

背丈は違うものの服装容姿共に霊夢そのものだった。


「その返答をするのも分かっていましたよ。

あなたは私、私はあなた、だった。

本当に…あなたの思想回路が読めないです。

それは個人的ながら残念に思います」


霊夢らしき人物が倒れた音が周囲に響いた。

そして彼女を担ぐような音が立て続けに響き、

担いだその人物はゆっくりと玄関へと歩んでいった。

まるで止めるのを待ち望んでいるようであったが、

それを止めようと行動できるものは居なかった。

すると担いでいる人物は一旦足を止め振り向いた。

そして見えないはずの魔理沙達に向かって、

不気味に微笑んだような気がしてならなかった。


「…なるほど。正しい判断をしましたね。

そうとう勘が良いのか…私には分かりませんが」


そしてその人物は再び前を向き歩き始めた。

誰も止めもされずに外へ出ることが出来てしまった。

そしてさとりが気配を感じ取れる範囲から外れ、

不確定ではあるもののやっと安全な状態となった。


するとしばらくしてからアリスが証明を付けると、

さとりが魔理沙に強く突き飛ばされていた。

魔理沙が霊夢を助けに行かなかったのは、

口を抑えつつ行かせないようにしていたからだった。

その行動に魔理沙は激しく怒りを見せている。


「…おいさとり…なんで止めた」

「…外に百は超えるほどの気配を感じました。

今あそこで戦うのははっきり言って愚策です」

「生命よりも勝敗で決めたってのか…!?」

「チャンスは今しかない…そんな事はありませんよ」

「今しかできないことだって何かひとつ…

あったかもしれないだろ…!」

「じゃああなたは、あの姿の相手と戦えますか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ