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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
~始点回帰編~
201/245

逃げ続けた先へ

「っ…?何ともない…みんな大丈夫か?」


ミサイルは落ち、確かに眩い光に包まれた。

魔理沙が倒れたまま全員に声をかけつつ、

そして不思議そうな顔をしながら立ち上がる。

彼女は先ほど聞いた話通りになっておらず、

永琳達が嘘をついた事に疑問に思っていた。

自分達を囲んでいた結界はいつの間にか消え、

身体の自由が効くようになっていた。

魔理沙のその顔を見て永琳は気難しそうな顔で、

爆発の光を浴びても平気だった理由を答えた。


「…八雲紫が私達を捕えていた結界で…

皮肉にも私達は助かったってところね…」

「師匠…でもこんな程度で壊れませんよね…」

「そうね…普通ならあり得ないわ。

いったい彼女は何を考えているの…」


市街地へ向かった彼らはもう手遅れだろう。

ちゃんと止めてあげれば良かったと思ったが、

彼女達にそんな暇など全くなかった。

市街地からここまで吹き飛んできた瓦礫が、

何かが埋もれながら動き盛り上がっている。

彼女達はそれが何なのかすぐに分かった。

すぐには飛び立てられなかったものの、

この場から逃げないといけない状況なので、

とにかくここから離れようと走り出した。



「待ってください…!」

「この声…早苗…?」


魔理沙のもとへ飛んでいた霊夢は、

後ろからの早苗の掛け声に呼び止められた。

かなり高速で飛んでいたはずの霊夢を、

追いつけるほどの速度を出せるほどまで、

飛び方が上手くなった早苗に驚いていた。

霊夢は褒めようしたが、彼女の表情は暗く、

そんなことを伝えられる空気ではなかった。


「…。ええっと…急ぎましょうか…」

「はい」

「…」


早苗の感情のこもってないその返事に、

このままだとマズイかなと思いながら、

魔理沙達の場所へ全速力で向かおうとする。

しかし、霊夢は走り出そうとした直前に、

早苗はまたも突拍子もなく呼び止めた。


「あっ持ちますよ、その橙って子」

「えっ…ああ…ありがとう」


早苗は橙を抱えると同時に飛び出した。

突然の彼女の対応に油断していた霊夢を、

あっという間に置いて行ってしまった。

しばらくその場で固まってしまっていたが、

ハッと我を戻し早苗の後を追いかけた。

しかし、やっと彼女に追いついたときは、

すでに魔理沙達と合流したあとだった。


「ゼェ…あんた速過ぎよ…もう…」

「ほら、来ましたよ魔理沙さん」

「遅かったじゃないか霊夢」

「違うわよ!早苗が速過ぎなのよ!」


魔理沙が言った言葉に反論した霊夢だが、

もちろんここで立ち止まっている余裕もない。

少しだが走っていた為に呼吸が乱れていて、

ここにいる全員がかなり疲弊していた。

だがそろそろ飛べるようになってきたので、

その方が効率がいいと全員が飛び上がった。

しかし、それに少し魔理沙が戸惑った顔で、

霊夢へ急いで駆け寄り小声で話しかけた。


「あのさ…その…な」

「…魔力が切れたのね」

「なっ…なんでそれを…」

「霊力と魔力はある程度は感じ取れるのよ。

でも…こうなる事は分かっていたわ。」


霊夢は自分がいつからまでは分からないが、

毎日彼女と会う度に魔力が減っている事に、

不安と疑問が少しながら思っていた。

しかし毎日箒で飛んでいる程度の消費で、

ほんの少しずつしか減らなかったのであり、

そこまで心配する必要もないはずだった。

時は流れ、彼女は戦うことが多くなってきた。

好戦的なほうで勝負は決着が付くまで行い、

魔力は勝っても負けても当然消費されている。

幾度も戦い続け、その度に擦り減っていく。

霊夢は食事や休眠を摂れば減った分を、

不自由なく取り戻せることが可能だった。

しかし、魔理沙はただ減り続けるだけで、

霊夢から貰わない限り回復は不可能だった。

しかし、それで起こっていた問題(デメリット)を、

渡した分は同じように回復できなくなる事を、

彼女は魔理沙に伝える事は最後までなかった。

それは魔理沙に心配をされたくない為であり、

自分のことは二の次などと思っていた。

同時に、霊力を渡す事に戸惑いがあった。

それはまるで自分から魔理沙に戦いなさいと、

頼んでいるようで好ましく思ってなかった。

いくら好戦的でも傷ついて欲しくない、

弱っていく彼女を見たくないからだった。


「なんだよボーっとして」

「いえ…何でもないわ。もう無理しないでね」

「…隠し事か」

「…何もないわよ」

「そうか。それならいいけど、

あまり気難しそうな顔をしないでくれよ」

「…ええ」

「(勘が良ければ分かってあげられたのかな。

言われなきゃ…本当に分からないな。

まあ…後でさとりに聞けばいいだけだが)」


貰った霊力で魔理沙は箒で飛び上がる。

その量はかなりなものであるはずなのに、

霊力が減ったにもかかわらず平然としていた。

それは霊夢の霊力の量が膨大なおかげか、

ただ無理をして平然を保っているのか、

彼女の心の中を読まない限り誰も分からない。

それは逆にそれらを無意識に知れてしまう、

さとりや颯花の全てを知れる苦労さが、

少しながら分かるような気もした。

心の中を知れた方が何事にも楽に思えるが、

その分他の余計なことも知ってしまう。

魔理沙にはその力があったほうがいいのか、

ない今の現状のほうが幸せなのか分からない。

そのせいで一段と隠し事が嫌いになっていた。


「宛もなくここから離れて、次はどうする」

「私はどうすればいいか分からない。けど…

私達は紫を止めさせてあげなきゃいけない。

誰かを救える能力を持っている人として、

普通の人々をこれ以上傷つけない為に、

そして紫を…これ以上堕とさせない為に…」

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