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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
~外界旅立編〜
195/245

ありったけの機械で

にとりは相手に先手を打たれる前に先に動く。

もしもそれをしなければ一瞬で勝負がついてしまう。

姿のせいとはいえ義体の颯花が圧倒された相手だ、

このスカーレットという人物の実力は強大だろう。

もしもこの巨大な結界が無く能力を自由に扱えたら、

それこそ勝ち目が無かったとにとりは思っていた。

鞄から奇形な小銃を取り出し、相手へと向ける。


「銃弾だって遅く見える私に効くとでも?」

「この銃の口径を見て実弾だと思えるのか!?」


にとりはそう言った後手に持つ銃の引き金を引く、

するとそこからかなり巨大な泡が無数に発射された。

この攻撃は泡符『撃て!バブルドラゴン』という、

ずっと前に使っていた威力は皆無の牽制用の兵器で、

特殊な液体で生成された泡は並の攻撃では割れず、

内部に閉じ込めたり囲んで封じ込む使い方も可能だ。


「そんな泡程度で何をしようと…!」


その泡を所見で見れば普通の一般的な泡だと思え、

誰でも最初は攻撃を与えて割ろうとし始める。

しかしただの殴りでは割れずぬめっと受け流され、

それにイラついて冷静さを奪ったりも可能だった。

あっという間にスカーレットの周囲に取り付き、

周囲1面をシャボンの香りと虹色の輝きが囲んだ。


「何よこれ…普通の泡じゃないわね」

「油断してると痛い目に遭うぞ!

ひとつひとつの泡の位置は計算して設置してある!

そしてこういう芸当だって可能だって事だ!」


にとりは泡を放ち、全く関係ない方向へ撃った。

その一つの泡は真っ直ぐ進んだ後一気に輝き出した。

それは先ほどの颯花が空けた結界の裂け目からの、

真っ直ぐ伸びる日光の光を反射したからだった。

しかし、この吸血鬼に日光はもう通用しない。

彼女は当然それを分かっているつもりで動いていた。


「お前はシャボンに囲まれている!

そして光を反射してお前を真っ白に照らし出す!」

「なっ目がっ!ああっ!」


周囲の泡を通じて拡散した光がひとつに収束し、

そしてスカーレットの目の前の泡から放たれる。

光は銃弾よりも速く空間を移動し目的地へ到着した。

その場所は相手の目で、その強烈な輝きを直撃し、

直接な痛みは無いものの脳へのダメージを与え、

スカーレットは相当なめまい等に悶え苦しみ始めた。


「勿論これだけで終わらせる気は無い!

空中ブラスター!頭上にだけ隙間を作っていたから、

そこからだけならお前に攻撃する事が可能だ!」


にとりの鞄から大きな筒状のミサイルが発射され、

それは山なりの軌道を経て真上から相手へ直撃した。

その爆発によって周囲の頑丈な泡は熱で割れ、

スカーレットを包み込む煙が立ち篭もるその場所へ、

一瞬だけ攻撃が与えられるほどの隙が生まれた。

その瞬間を逃さず今度は別の小銃を手に取り出し、

そこへ向け引き金を引き、水圧式の水鉄砲を放った。

弾が尽きるまで撃ち続け、そして全弾撃ち終わり、

重量削減の為にその銃を地面にそっと投げ捨てる。


「さてどうなった…水鉄砲も実弾並の威力があ…」

「そんな攻撃効くとでも思ったの?」

「くっ…でもまだ予想通りだ!クリミナルギア!」

「ふっ…鈍いわ!」


煙が上がった場所からスカーレットは飛び出し、

圧倒的な速さでにとりへ真っ直ぐ接近を仕掛けた。

毎回真っ直ぐ接近する為不意打ちが無いと判断し、

鞄から巨大な歯車を飛び出させ前へ刃を向ける。

しかし、その自身の速さに意識がついてこれる為に、

にとりのその攻撃を横に少しズレて回避し、

正面に縦に設置した歯車はにとりの視界を阻害し、

横の平たい部分に一撃を食らって粉々に砕けた。


「この頑丈なクリミナルギアが!?」

「ボディから顎にかけてガラ空きになったわよ…!

これなら全身複雑骨折も私には容易く行える!」

「この程度なら対策は積んであるのさ!

巻き添い覚悟の至近距離菊一文字コンプレッサー!」


1発だけスカーレットの一撃を食らったものの、

にとりは脚をわざと滑らせ相手の腕の範囲から逃れ、

その強烈な一撃を直撃する事だけは防ぐ事が出来た。

それでも口から血を少しだけ吐く程の威力だったが、

構わずスカーレット腹部目掛けて鞄を振り回し、

その勢いでひとつの機械を相手へと投げつける。

そして機械の上下から硬い地面を余裕で貫く程の、

鮮やかな水色の水圧が放たれ相手の横腹を貫いた。

もう少し当たり所が良ければ今ので倒せたが、

勿論相応のリスクをにとり自身も食らっていた。

上下に飛び出た水圧の片方がにとりの左肩へ直撃し、

鞄の肩掛けごと切り裂き貫いた。そこから血が流れ、

青い服が少しずつ紅色に染まるほど流れている。


「ちっ…だけどこの程度まだ行ける…!」

「ふっ…機械だけで私相手にここまで…

なかなかやるようね…貴女みたいな子供のくせに。

…けれど手数は減っているはずよ…!」


にとりは鞄からアンカーを射出し後方へ引っ掛け、

目の前の相手から高速で距離を離した。

しかしスカーレットはそれを追い掛けない筈がなく、

それよりも速く移動し、一瞬にして追いついた。

残り一つの接近戦の武器を今使うのに少し躊躇うも、

そんな事思っている場合じゃないとそれを取り出し、

スカーレットの戦闘の態勢に対応する。


「ちっ…のこりはこいつだけか…!

ミズバク大回転!うおりゃあっ!」

「そんな鈍い動きで当たる筈がないというものを!」


にとりは水風船のようなものが付いた紐を、

接近戦を拒むように思いっきり振り回し始めた。

しかしその大きな水風船を振り回すだけでは、

誰がどう見ても隙だらけで牽制にもならなかった。

水風船がにとりの背中に回り全身のガラ空きとなり、

そこへスカーレットは再び真っ直ぐ仕掛けて行った。

重いその水風船を手にしては咄嗟に動ける筈もなく、

今度は脚に飛び蹴りを食らい、嫌な音が鳴った。

彼女は肩と脚から流れる血の量を見て少し青ざめた。


「いっ……まだまだだ!片脚がやられただけ…!」

「青ざめたわね…血が流れ続ければ当然死ぬ!」


その凄まじい痛みに無理矢理耐えながらも、

後ろへ回った水風船を上から相手に叩きつけた。

重い一撃を上から叩きつけられ相手は体勢を崩し、

再び僅かな隙が生まれ、そこへ畳み掛ける。

にとりは鞄をすぐさま降ろし変形させ、

鋼鉄のボディに前にドリルが2つの河童の顔をした、

見た目は可愛らしい大型の機械へ変化させた。


「戦機『飛べ!三平ファイト』!

あいつを向こうへ連れ去ってくれぇッ!!!」

「むっ…無駄な悪足掻きを…!

(これでこの子の鞄は空!つまりこれで詰み…!

この攻撃が終われば…私の勝ちよ…!)」

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