表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅霧異変編〜
17/245

2人の主人公と吸血鬼達/吸血鬼の妹:1

「私は別に構わないけど、

1対2は私的につまらないわね…」

「こっちの勝率が上がってるんだ。

お前はさっさと膝まついて負けな!」

「…なら、ゲストを紹介しましょうか」

「……ゲストだと?」

「…来なさい…フラン」


颯花は同時に物凄い冷や汗が全身から流れ出た。

彼女は姉と妹が居るはずなのに、

周囲を見回しても何処にも妹が居なかった。


「…まさか…お前…………!!」


レミリアの後ろからもう一人の吸血鬼が歩む。

少女はフランドール・スカーレット。

彼女の全身は傷だらけで、首と手首足首に、

謎の機械が着けられている。

どうやらやけに付近が血の匂いが強いのか、

やっと理由が分かった。

それは姉妹であるはずのフランを、

自分の都合で暴力を振るっていた。

何故そうしているのか分からなかったが、

恐らく血を飲み凶暴化しているせいである。


「お前……その子は妹なんだろ!?

妹にそんなこと出来るのかよ!

そんな奴にまで堕ちてしまったのか!」

「魔理沙…」

「使える駒は使うわ、それが血の繋がりを、

強く持っていたとしてもね。

利用できる駒を利用しないなんて馬鹿でしょう?

この子は私に従う以外、価値なんてないの、

それがこの子の、生きる定めよ」


隣に立つフランの腰を後ろから拳で殴り、

大きな音を立て彼女を痛みで膝まつかせる。

しかし、機械のせいなのか、

意思に反して身体が動いてしまうらしく、

無理やりのように震えつつ立ち上がる。

それを目の前で見せつけられても、

魔理沙はある程度は耐えきれた。

しかし、颯花はその現実に耐えきれなかった。


「…ァ…」

「ん?」


今までの彼女の冷静さが無くなる。

怒りで両腕が震え、彼女の全身に力が入る。

魔理沙が止めようとした手を無理に振り解き叫ぶ。


「レェエエエエミリァアアアアアアアッ!!!」

「へぇ…威勢だけは大したものね」


颯花はその床を強く踏みつけ、駆け走った。

その目の前の憎む相手、レミリアへ駆け走る。

彼女は殺す気まで考えてしまうほどに、

憎しみが増大していった。

そして距離は近付き、

高く飛び上がり殴りかかった。その時、


「ッ……馬鹿な………!」


颯花を止めたのはレミリアでは無かった。

泣いていたフランの拳が腹部に命中する。

当然ながら、彼女の意思で動いた訳ではなかった。

その僅かなすれ違う直後、彼女が小声で話した。


「私は…操られているの……けど……!

私は別に……どうなってもいい…!

どうなってもいいからお姉様を救って……!」

「…!」


そしてその殴られた勢いで颯花が後方へ吹き飛ぶ。

魔理沙の横を通り抜け後方の壁へ衝突し、

その壁にヒビが入るほどの衝撃だった。

その吸血鬼の力に魔理沙はしばらく呆然としていた。


「あっ……颯花ァ……!」


状況に遅れつつも魔理沙が駆け寄る。

崩れつつある瓦礫を退かしていき、

生死を確かめる為に彼女は問いかけた。


「おい…しっかりしろ!」


颯花の頬に魔理沙は手を添える。

それに意識を取り戻し、颯花がその手を取り、

フランに託されたこと言わずに、彼女に言った。


「…もし……どんな事になっても、

フランだけは……助けてあげてくれ…!

出来れば2人共だ……けど贅沢には言わない…」

「そんなこと……言うな…!

私は2人とも救ってみせる!だから、

私に任せて少し休んでいてくれ……」

「…本物の吸血鬼は今みたいに…

力が異常に強い…どうか…気をつけて……!」

「…ああ……!」


魔理沙が素早く立ち上がった。

そして、1歩ずつ強く踏み歩き、少女達に寄る。

その顔は怒っているようで、

どこか救い出そうとする信念を感じられる。


「あらあら、1人になってしまったわね。

フラン。相手してあげなさい」

「…」

「絶対助ける…救ってやるからな…!」


戦闘が始まる、その時だった。

後ろの扉を何故か強く蹴り飛ばして、

入場してくる人物がいた。

その人物は、赤と白の巫女服を着ている。


「魔理沙と賽銭箱の破壊神さん。

2人だけに……いい思いはさせないわよ…!」

「霊夢……!!」

「…ってちょっと貴方!大丈夫なの!?」

「……私はどうだっていいんだ…!

だから彼女達を救ってやってくれ……!」


先ほど魔理沙へ託したその瞳を失うことはなく、

全く同じ目で霊夢を見つめている。

それに言葉では表せない何かを感じた霊夢であった。


「貴方…」

「私の名前は…ゼィル……いや、

桐初 颯花……!」

「……分かった、後は任せて」


霊夢がレミリアへ歩み寄っていく。

そして立ち止まり、レミリアを見つめている。

高所から見下ろすレミリアを、

下から見ている霊夢が睨みつけている。


「あら?やっと本命ね」

「私がいる以上、これ以上この幻想郷で…!

好き勝手……やらせはしないわ!」

「そう…?なら、殺せば好き勝手させてくれるのね」

「物騒な事を…いともたやすく平然と…!」

「場所を変えましょう。

着いて来なさい。幻想郷のラスボスさん」

「…。分かったわ」


2人はその広間から場所を移動した。

そしてこの空間には、魔理沙とフランが対峙し、

それを動けない状態のまま見守る颯花。

彼女は自分の無力さを痛感する。


「とりあえず、あの機械を壊せばいいんだな」

「…」

「今助けてやるぜ!待ってな!」


フランの片手は魔理沙へと向いた。

その手の平から眩い閃光が放たれる。

魔理沙はそれを咄嗟に右に避けた。


「魔理沙…ッ!!?」


しかし、フランの持つ杖から発生した、

巨大なビームの剣が、魔理沙の腹部を切り裂き、

魔理沙の身体を容易く真っ二つにした。


「あっ…ぁぁ……ぁ…私は……!」


魔理沙の死体を確認したその身体の機械は、

レミリアの所へ向かわせようとする。

体が勝手に動く為にフランは、

ろくに彼女の生死を確認出来ないままであった。

しかし、魔理沙の魔理沙は言った。


「言ったろ!助けるって!」

「なっ…喋った……!?」


2つの魔理沙は叫ぶ。血を出さず、

ブツブツ、カタカタと機械のように動いている。

それはどう見ても偽物であると確信した。

そして魔理沙はフランの後ろにいた。


「(特製魔理ちゃん人形だぜ!)」


バレないようにそっと近づいていく。

そしてある程度近付き、自分の道具を取り出す。


「(ちょっとスタイルあいつと被るけど、

ロープの先端に鉄球をくくりつけた、

中距離攻撃用兵器!名前はない!

こいつでまず首の機械を破壊する!)」


魔理沙は迷わず思い切り投げる。

頭部へ直撃しないように上手く操作した。

しかし、気付いていたのか機械は彼女を、

振り替えりさせ鉄球を殴って壊した。


「本命は……こっちだ!」


ロープが意思のあるように操作され、

フランの腕に巻き付く。

魔理沙はちぎられる前に瞬時に、

自分の方へ近寄せるように引っ張った。

それを拒むかのように、機械はフランを操り、

彼女の杖から様々な種類の閃光が放たれた。

魔理沙は腕に被弾し掠りつつも気にせずに、

両手を前に突き出し人差し指で相手を指さした。

それと同時に、周囲に星型のエネルギー体が発生。

流星のようなそれらはとても攻撃技と思えないほど、

鮮やかに黄色に輝きつつ突撃していった。

しかし、機械が操り先程使ったビーム状の剣が、

一振りで流星群の全てを消し去った。


「チッ……隙が無いな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ