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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅蒼運命編〜
133/245

双璧:1

「鞄は無くなった…その中の武器ごとな…!」

「迂闊に使うのがまずかったか…!」


いくつもの武器が入っていた鞄を飛ばし、

そして爆散し消滅したため、

にとりの抵抗力は僅かになってしまった。

その彼女の下へゆっくりと歩み寄る。

メシアは満面の笑みを浮かべている。


「お前は頑張ったよ…だけど…もう無理だ」

「…くそっ!泡符『撃て!バブルドラゴン』!」

「二度も同じ手が効くと思うなッ!」


メシアはその剣を1振りで泡を吹き飛ばし、

真っ直ぐにとりへと続く道を作った。

にとりは冷や汗と共に、ほんの小さな後ずさりを

していた。本人自身にも気づかなかった。


「む?今後ずさりをしているぞ?

何が仲間を死なせない為に戦うだ…

貴様が死ぬ事に恐れていては…お前も…

守りたい奴も…死ぬんだぞ?」

「違う…これは…!」

「どうせあんたは仲間に捨てられたのさ…!

仲間が共に戦わずして逃げて…置いていった…

貴様は奴らの駒に過ぎない…!

所詮仲間とも友達とも友人でもない。

使い捨てられる…ただの駒なのさッ!!」

「そんなこと…!」

「じゃあお前は巫女どもの感情が分かるのか?

ぜーんぶ!機械なんぞ使わずにさ!」

「…私は…」

「所詮…お前には生きる価値はない…

利用され続ける人生よりも楽に…死ね」


心臓目掛けて剣が投げ飛ばされた。

その剣は真っ直ぐにとりへと向かうが、

彼女はその場で立ち尽くしている。


そして心臓を貫く寸前の事だった。

剣は空高く宙に舞った。

そして再び主の元へ帰るように、

メシアの足元の地面に突き刺さった。


「ほう…仲間を殺しても正常を保っているか…

さすが私と…言ってあげようじゃないか…紛い物」

「正常?…笑わせるな。最初(はな)っから…異常だぜ」


目の輝きを失い、いつもの剣ではなく、

不気味な色合いをしている大きな鎌を持ち、

にとりの前に立つ彼女は颯花だった。


「颯…花…」

「…消えな…お前じゃ無理だ…無能」

「…」


にとりの瞳から大粒の涙が溢れていく。


「…お前がここに居ても邪魔なんだよ…

抑えるだけでいいと言ったが…

ギリギリ抑える程度しか出来ていない…無能が」

「…」

「…だけどな…無能が死んでも…流れる涙はある…

悲しむ奴もいる…せいぜい這い蹲ってでも…

……仲間の為に死ぬんじゃないぞ…」

「…!」

「行け、もう誰1人も…死なせんなよ」

「…お前が…死ぬかもしれないじゃないか…!」

「私が死ぬ…?いいや…それは違うな…

私は最初から…死んでいるんだよ…!」

「何を… 」

「早く行けよ…あと10秒そこから動かなかったら…

私が…お前を殺してあげる…」

「……。どうか…死なないで」

「…やれやれだよ」


にとりが涙を拭いつつ走り去っていく。

その場所には二人だけとなった。


「お前が私を倒せると?」

「まだ余裕を持って…恥ずかしくないのか?」

「ふん…だが、人柄が変わったな…

まるで悪い部分だけが外側に浮き出るように」

「おそらくそうかもな…

仲間を無能だとか言い放つ事なんてしなかったが…

私がまるで私じゃないみたいだ」

「ふん…どうなろうがどうでもいい。

貴様だけは殺すと絶対決めている…!」


刺さった剣を引き抜き、メシアは構える。

颯花も同じく鎌を持ち、攻撃の態勢を取った。


「そんな大振りが必要な武器で…

まともに戦えると思っているのか!?」

「こいつは…こう使う…!」


鎌の持ち手と剣が衝突し、持ち手にヒビが入った。

しかしその鎌を無理に相手に押し付けた。


「押し付けるだけとは…無謀な!」

「こっちにも…考えはあるのさ…!」

「…ッ!」


メシアに電気が流れる音が響いた。

颯花はその鎌の切り付ける部分から電気を流し、

一気にメシアへと流していたのだった。

全身に初めて感じた痛みに驚き、

颯花を蹴り飛ばし距離を保った。


「なっ…なんだこれは!」

「人と距離を離す時は…攻撃しないのが…

暗黙のルールだろうが…ド畜生が…」

「そんなこと聞いたこともない!質問に答えろ!

と私は言っているんだ!」

「分からないのか…これが?

どっかの動画見てるガキでも分かるぞ…」

「馬鹿に…しやがって…

ふん…質問に答えるだけでいいんだ貴様は!」

「お前に電気を流しただけだ…

それがどうした?初めての痛みは怖かったか?」

「また…馬鹿にしやがって…ェ!

まるで電気を流すウナギみたいに…!」

「う…ウナギ…?まあいい…

来なよ…また、『痛み』たいのならな」

「くっ…くそ…この弱者めが…!」


メシアは剣をしまい、颯花へ駆け走る。


「武器を使わないのか?痛みにビビっていると?」

「流される前に殴り殺せば…問題ねぇんだよォ!」


メシアは左手の拳を颯花へと殴りかかった。

しかし咄嗟に颯花は武器を捨て、

腕の機械を露出させ、その拳とぶつけた。


「やはりな…お前のデンキウナギには…

いつも使える便利なものじゃないとな!」

「…(思ったより早いな…何度も使えないと

もうバレてしまったか…)

だが、ならば…拳で語るのみ…!」

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