科学の全てを賭けて:2
にとりは両手の銃を前に掲げ、
4門の発射口から無数の弾丸が放たれる。
しかしメシアはそれを1発1発を綺麗に
真っ二つに斬り裂き無効化している。
「人間業じゃない…けど…この程度!
爆導索&マイクロミサイル…!」
右肩の箱から1本のワイヤーの様な物が射出され、
その後に大きな物体が射出、
その大きな物体は横面から小さなミサイルを
雨の様に発射していった。
「そんな細い紐で何が出来ると!」
向かって来るワイヤーを黒輝剣で斬り掛かった。
しかし、意思のあるかのように紐はそれを回避、
メシアの周囲をぐるぐる周り、縛り付けた。
「さあミサイルの雨だ!これならダメージは無くとも
長時間の拘束は可能だ!」
「ぬっ…無駄な抵抗をッ!」
メシアはその紐を力技で引きちぎった。
だがその後その紐は小さな爆発を発生し、
メシアの行動を制限した。
その隙が出来たメシアの周辺は、
何度も押し掛ける物量により、
大きな爆発を生している。
「ぐっ…ぐぬっ…ッ!」
「ダメージは無い…だけどあんたには
衝撃はある程度貫通している筈だ! 」
「それがどうした…本体にダメージが来なければ…
なんの問題もないんでねッ!!」
その長時間続く爆発から、
無傷のメシアがその雨から抜け出した。
そのまま行動が自由になったメシアはにとりへと
全力で駆け走っていく。
「くそっ…これでは接近戦は無理だ…!
身体固定装置停止…装備着脱っ!」
「遅い!もう避けられんぞッ!てあッ!」
にとりへと黒輝剣が振りかざされた。
そのまま縦に真っ二つにされかかっている。
「くそっ!こういうときに使うものじゃないが…
バルーン発射!奴の行動を阻害しろ!」
2人の間ににとり型の風船が3つ射出された。
しかしその風船はほぼ本人と同じサイズで、
メシアの視界を阻害し行動を変更させた。
「下手くそな風船如き、近距離ではすぐに偽物だと
バレて使えないものを何を今更!血迷ったか!」
それらの風船を1つ1つ斬り裂いた。
「あっけなく引っ掛かって…
まったく本当に脳だけは弱いな!」
「ぬっ…なんだこれは…!」
「練りまくったガムをその他色々調合した
特殊粘着物体…動けば動くほど絡みつく!」
メシアの全身は納豆の様にネバネバとなり、
その強力な粘着力は脚の裏に付いたメシアの脚を
1歩も動くことを許さなかった。
「これは取るのに時間が掛かるな…!
だったらお得意の人頼みといきますかねぇ!」
「むっ…また生き返らすのか…誰を!」
メシアはその動きづらい状態のまま、
ヘルメットから伸びる髪をまた1本引き抜く。
「くそっ!ならば焼き尽くすまで!
こいつの火力は全てを消し飛ばす!
くらえ!メガ・ビーム砲ッ!」
銃身の長い白い銃から、黄色い閃光が真っ直ぐ
メシアへと発射された。
その光はそ髪とメシアを包み込んだ。
「どうだ…やったか!?」
「残念だな…髪は消し飛んだがあの粘着体も
熱で蒸発したようだ…また振り出しに戻った!
しかし貴様の手数は明らかに減っている!」
「くっ…
だけどただの時間稼ぎにそんなこと必要ない!」
にとりは鞄に収納出来なくなったその銃を捨て、
手元には何も武器はなくなった。
しかし彼女の鞄にはまだ色々な物が詰まっている。
「さあ来いよ!まだあんたを翻弄する道具は
まだいっぱいある!」
「ふん…やってみろ!
その前に貴様が死ぬだろう!」
メシアはにとりへと駆け出した。
にとりはそれに対応し、一つの武器を手に取った。
「泡符『撃て!バブルドラゴン』っ!
その泡は割れにくい!はず!」
「…それが割れないというのなら…
そこからどかせばいいんだよなぁ!?」
その拡声器の様な武器から無数の大きな泡が
メシアとの間に壁を作った。
しかし、メシアはその泡と泡の小さな隙間を
綺麗にすり抜けていった。
そして、にとりに剣を向け、一気に突撃する。
「もらったぁ!そこだッ!!」
「くそ…こうも簡単に…!ならば…!」
にとりの鞄が変形し、バーニアやドリルがついた
奇妙な機械に変化、そのバーニアが点火した。
「戦機『飛べ!三平ファイト』ッ!
こいつと力量勝負といこうじゃないか!」
「上等…だが、真ん中がガラ空きなんだよォ!」
その機械のドリルはにとりの両肩から伸び出ていて
にとりの居る中央には自分を守る物が無かった。
しかし、にとりはその機械で別の使い方をした。
「ぬっ!?なんと!」
「守れないのなら…ぶつければいいのさ!
そのまま…どっか行っちまえ!」
その機械はドリルでメシアを挟み込み、
そのままバーニアの勢いで遠くに連れ去っていく。
「なかなかいい手だな…だがな!
こっちには…あの紛い物が居るぞ!マヌケが!」
「…しまった…くそっ!」
にとりはその機械の電源を切った。
そのまま地面へ落下し、ある程度の爆発が発生、
しかし、その煙から出てくるメシアは、
相変わらずの無傷であった。