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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅蒼運命編〜
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幻想

レミリアの身体は、

依然として颯花へと全力で突撃している。

颯花はその場から動こうともしない。


「自分と戦っているのなら…

あなたは自分の死が価値だと思ってるわけ!?」

「そんなことは…ない…!

私は…できる限りの事を…するだけだ…!」

「あなたはそれ以外のことは出来ないの!?

あなたはまだ死んでない…生きている!」

「ああ…生きている、がもうすぐ死ぬ…!

だったら仲間を信じて…託すだけだ…!」

「無責任なことを…!あなたが死んで…

悲しむ人がいないと…言い切れるの!?」

「…人の気持ちなんか…わかるわけないよ…

自分は自分を貫くだけしか出来ない…!

自分を偽ってる私が1番よくわかってるのよ!」

「あなたは人の為に戦っているのなら…

人の為に生きなさい…生きるのよ!

死んでからでは…何も出来ない…

生きて…生きて生きなさい!桐初 颯花ッ!」

「レミ…リア…」


レミリアの拳が颯花を突き刺す寸前に、

その拳は颯花以外の別の人物を貫いた。

颯花の瞳に映された幻想は、紅く染まっていた。

その人物の血が、辺りを紅く染めていく。


「……咲夜…なんで…なんで!」


レミリアの拳は咲夜の心臓部を貫いていた。

血は出ず、気が遠のく事はなく、

咲夜に凄まじい痛みを与えていた。

そのまま、咲夜はレミリアを抱き、放った。


「お嬢様…今…楽にします…

ですから…あちらで待っていて下さい…」

「咲…夜…ごめん…なさい…」

「悲しまなくていいんです…また会えますよ…

すぐ…私も…行きます…」

「ええ…待ってるわ…ずっと…

……ありが…とう…」


咲夜のナイフがレミリアの頭部を横から貫いた。

血も出ず、砂になりつつ崩れ消える彼女の身体を

離すことはなく、最後まで抱きしめていた。

そして、レミリアは塵になった。


「…咲…夜…すまない…すまない…」

「あなたが謝ることじゃないわ…

私は…ずっと隠れて見てたのよ…

どうしても…お嬢様を殺すなんて出来なくて…

私は…あなたにまた無理をさせた…」

「…」

「私はずっと迷っていた…

守りたい人を殺すか…信頼ある友人を救うか…

そう…答えは決まってるのに…馬鹿みたい。

だから…私には自決なんて許されない…

せめて…あなたの手で…お願い」


身体に大きな穴が空いてる状態で、

出血多量で死ぬことも許されず、

痛みに苦しみ耐えながら、咲夜は言った。


「……咲夜は悪くない。

だけど…もう会う事はないでしょうね…

あなた達はきっと天国へ行けるのだろうだから」

「…待って!あなたは…」


咲夜を抱きしめつつ、

頭部をナイフで突き刺した。

何かを伝えようとしていたが、

颯花は言わせなかった。聞きたくなかった。

崩れゆく彼女の身体を、

彼女も最後まで抱きしめていた。

そして、彼女も塵となった。


「…」


空を見上げる。あの雲が妙に、

咲夜とレミリアの笑顔に似ているのは、

颯花の見たくない現実からの逃避が、

無意識にそのように見せているからだった。

そして再び咲夜が居た場所を見る。

そこには黒と白の服装の魔法使いが居た。


「…魔理沙…か」

「お前は…最低な奴だ…生かすだけ生かして、

利用して…使えなくなったら殺す…!」

「……。そう、咲夜とレミリアは、私が殺した。

『私が 殺したんだ』」


魔理沙は颯花の顔を殴った。

颯花は吹き飛び、背中に大地が触れる。

颯花は再び空を見上げる状態になった。


「悔い改めろ、そして後悔しろ…!」


魔理沙は颯花の下から去っていく。

しかし、颯花の放った言葉が、彼女を呼び戻す。


「だからどうした…憎いのか」

「………ッ!!」


魔理沙は再び颯花の下に戻り、

今度は彼女の顔を蹴り飛ばした。


「お前こそ、本当の…真の敵だ…!

仲間を弄んで…他人を操り人形の様に…!

一生、苦しまず生きていけると思うな!」

「…」


あの雲は崩れ、原型を留めていなかった。

ただ広大な青空を見上げている。


「私は…何がしたいんだろうな…

自分でも…もう分からない…

またあの幻想に浮かぶ二人の笑顔も見たくない…

私には…誰にも許される価値なんてない…

私は…地獄へ行く為に…生きる…!」

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