赤と紅:2
「弱い者が誰かを守れるとでも?
そんな甘い考えでは何も出来ないのさ…!」
「それでも私は何もしないよりはいい!」
「結果が悪ければ全て…無駄なんだよ!」
メシアはチルノを大妖精へ投げつけ吹き飛ばす。
それは2人に大きなダメージを与え、
まともに動くことが出来なくなった。
「終わりだ、お前の大事な奴の最期、
しっかりと見届けてやれよ?」
「…身体…が…」
「さあ…死ねぇ!」
チルノに黒輝剣を構え、一気に振りかざした。
しかし、それは複数の人形によって防がれた。
「また鼠がウロチョロと… 」
「私も…何かしないとね」
「アリス…!」
「霊夢。時間は稼ぐわ、なにか方法を考えて」
「例えあんたでも下手すれば死ぬわよ!」
「死なないように…するだけよ!」
メシアは2人を後にしアリスへと歩む。
表情は少し歪んでいる。
「殺せる奴は早めに殺すべきだったな…
次から次へと…面倒な奴らだ」
「…」
メシアは駆け寄る。
アリスの周囲に無数の人形が展開され、
それぞれの陣形を組んだ。
「正面から突っ込んでくるのなら…人形伏兵!」
槍を持った複数の人形が前方へ刺突を繰り返す。
その攻撃を全て与えるも、
メシアには傷をつけることさえ出来なかった。
その攻撃を凌ぎ人形の壁を突き抜け、
アリスに触れる距離まで近づいた。
そして、彼女の顔を左手で殴った。
「アリスっ!」
「…ぬぅっ…!?」
そのアリスは攻撃をされた途端、
辺りを包み込む程の爆発を発した。
煙が引き、メシアの姿を視認するも
相変わらずの無傷であった。
「直撃で無傷…一体どうして…!?」
「ふん…そこに居たのか!小癪な真似を!」
再びアリスへと駆け寄る。
表情は更に歪み、駆け寄る速度も増している。
「陣形生成…人形弓兵!」
「効かねえんだよ!」
前方から迫り来る矢をものともせず、
そのまままっすぐにアリスへと向かう。
「偵符『シーカードールズ』ッ!
目眩し程度でも!」
「無駄だと言っている!」
網目のように前方を塞ぐ閃光をものとせず、
大地を踏み込みアリスへと剣を構えた。
「終わったッ!死ねぇ!」
「っ…!」
しかし、その剣は腕ごと凍っていった。
後ろから方に添えられたチルノの腕に凍らされて
動きを止められていたのだった。
しかし、動きを止められたのは数秒で、
すぐに氷を割られてしまった。
「貴様ァ…貴様ァ!!」
「駄目…動けない……死ぬ…!!」
「チルノちゃあああああああああん!!!!」
「ならば…貴様から殺してやる!!」
チルノへ駆け寄った大妖精に黒輝剣が投げられた。
その剣は、容易く大妖精の心臓を貫いた。
「なっ…!」
「そんな…だ…大ちゃあああああああん!!!!」
大妖精は人形のように倒れ込んだ。
チルノはそこに駆け寄った。まだ息はあった。
「…そ…そんな…なんで…!
どうして私を庇ってまで…!」
「ご…めん…チルノ…ちゃん…」
「無理しないで…!死なないで…!
まだなにか手があるはず…だから!」
「もう…私は無理…だから…私の分まで生きて…!
いつまでも…見守ってる…から…!」
「そんな…嫌だ…大ちゃん…大ちゃん!」
大妖精は目を閉じた。
生きている前とにも変わらないはずなのに、
まるで人形の様に、魂が抜けた様に軽かった。
瞳から尽きることも無く流れる涙に、
願いを叶える力など無く、無駄な涙だった。
そう思っていても、止まる事は無かった。
しかし、チルノはこうも思っていた。
人の死に流す涙に理由なんて、要らないと。
大妖精を貫いた剣を拾いつつメシアは言った。
「やはり人は弱い。死ぬ時は簡単に死に、
華麗で儚くもない。生きる意味もない!」
「………この…」
「ん?」
「この……人でなし…絶対に殺す…!私が!」
「私を殺す?自分を殺すの間違いだろ?」
「いつまで…調子こいてるのよ!」
ごめんなさい。配信日は不定期に変更します。
時間は変わりません。