解放
「終わったかい?」
「ああ、終わった。動き出すかもしれない。
充分に警戒しておいてくれ」
「心配性だなぁ…」
「常に悪い状況を考えてた方が、
アクシデントが起きた時、考えるのに楽だぞ?
ほら、地震とか起きた時とか」
「人間はそこまで器用に出来てないけど」
「あんたも人間じゃない、妖怪」
「うぐ…」
「これでおあいこだ、さあ早く」
にとりはそのボタンをそのまま付けようとはせず、
背中のリュックから裁縫道具を取り出した。
「そこまでやるのか…?
ポッケに入れるだけでも…」
「それじゃあ落とす、服の内側に付けて、
肌から離れないように付けないと意味が無いよ」
「…あ…ああ…ってちょっと待て、
服を脱がさなきゃ駄目なのかそれは」
「なんだ?駄目なのか?」
「いや…その、いや何でもない。
早く済ませてやってくれ」
「…?まあいいや」
にとりは咲夜の服の裏にボタンが付くように、
少しぎこちなく取り付けた。
そして乱れた服装を元に戻す。
「妙だな、こんなにすんなり事が進むなんて」
「運がいいんでしょ、私が」
「…」
「さあ、ボタン起動するよ」
「…頼む」
にとりがスイッチを押すと同時に、
咲夜から電気が流れる音が出た。
「(運が良ければメシアの制御する電磁波、
それを妨害できるけど…さあどうなる)」
相変わらず咲夜は動かない。
「…失敗…かな?」
「いいや、まだだ」
颯花は刺剣を取り出し攻撃態勢をとった。
咲夜は相変わらず動かない。
「…成功だな」
「じゃあなんで動かないのさ」
「ツンデレなんだよ、ツンデレ」
「…。勝手に設定を作らないで」
「ならさっさと動いてくれ、状況は変わっていく。
1秒1秒の時間経過は意外とデメリットになる」
「…」
「…。また会ったな、咲夜」
「…相変わらずの態度ね」
「私はこういう人なんだ、もう慣れろ」
「…」
「あんたは1度死んだ、
そして蘇った。そして私も。
そんな痛みのない身体でもお前は生きている、
私が言いたかったのはそれだけだ」
「…じゃあ、本当に人が死ぬ時っていつかしら?」
しばらく間を空けて颯花は言った。
それはただ単純に考えた時間だった。
「…。人に何もかも忘れ去られた時さ。
自身の全てを失った時じゃない。
当分あんたは死なないだろうな」
「…それはあなたの考えでしかない。
あなたの中でそれが正しいとしても、
必ずしもほかの人間に当てはまるとは限らない」
「…いつかそんな平和な世界になる事を、
ただそれだけを願っているよ」
「願うだけでは物事は変えられないわ」
「ならばそうなるように、最後まで戦うさ」
「戦ったら、平和じゃなくなるわよ」
「結果として争いが無くなるのなら、
その戦いは無駄じゃなくなる。
私は常に結果だけを求めているだけ」
「…そんなに世界は甘くはない…」
「ならば世界ごと変えればいいさ。
それと、こんなに長々話してる暇はない。
すぐに移動するぞ」
「…(また…死に急いで…
…少しは仲間を信用しなさい…)」
颯花は周囲のメシアの捜索を始めようと
移動をしようとしたが、咲夜は動かない。
「どうした、何故来ない」
「私にはお嬢様を討つことなんて出来ない。
自分達で…どうにかしなさい」
「…。…おまえがそれでいいのならな」
「私は私の意思で動く、あなたが決めないで」
「ああ、分かった」
同時に、咲夜は消えた。
「颯花、助けた意味がなくなるぞ?」
「いいや、あいつはやってくれるさ。
意地を張ってるのさ、あれでも。
あいつはレミィ達を助けたときから、
何ひとつ変わってない。
彼女達を救ったときの優しさも、全てね」
「…(やっぱなんか焦ってる…)」
二人が話している間に、
魔理沙は何処かへ行ってしまっていた。
周囲に気配はない。
「魔理沙がいないぞ?」
「…いつの間に…」
「また戻って来るでしょ、移動しようか」
「あ…ああ…
(もしレミィとメシアを同時に相手をすれば、
ほんの数秒で全滅するだろうな…
信じているが、やはり戦局は咲夜、
お前に懸かっている…頼むよ。
死んでもまだ戦わせる気の私って…最低だな…)」
「私が無理に戦わなければ…パチュリーは…
私のせいで…私がもっと考えてれば…」
「やっぱり…こんな世界じゃダメなんだ…
…ダメなんだよ…パチュリー…」
話が思いつきません…
一週間以内には書けると思いますが
少し更新速度落ちます。すいません。