偽者と蘇った召使い:2
「なんだ…?なぜ話さない…
正確に蘇っていないという訳か?
とすればメシアの話は嘘になるな…」
2人は互いに見つめ合っている。
依然と両者は動かない。
「たが…咲夜本人が生き返った訳では無いのなら…
躊躇いなく…気安くやれる…!」
「…(それでいい。それで。
話しかけてどうにかなる問題じゃないし…
こんな事で戸惑って死んだら困るわ)」
「(私に戸惑いを与えず殺してもらう気なんだろ?
分かってるよ…その無表情に…
僅かな悲しみを浮かべているから…!)」
颯花が踏み込むと同時に、
咲夜の身体は反応し、戦闘態勢に入った。
「やはり咲夜には咲夜しかない…
どちらにせよ咲夜相手なら時止めは厄介だ」
走りつつ颯花が咲夜へ変化したと同時に、
咲夜が時を止めた。
一瞬颯花の動きが止まったが、
すぐさま颯花も発動、互いに動けるようになった。
「短期戦で…能力2つを咲夜に…!」
「…」
咲夜から投げられたナイフを、
自身から発する磁界で受け流し、
その数本を掴み、投げ返した。
しかし、それらは軽く弾かれ無力化された。
「(いくら偽者でも流石咲夜だ…
しかしなんだこの身体…本当に私なのか?
どう見ても動き易さが違う…)」
ぎこちない走りで接近し、
高飛びから刺剣を構え咲夜へと突撃する。
そして咲夜のナイフと鍔迫り合った。
「(生き返る時は身体は別の物が生成されるのか…?
やはり私じゃないのは確かなようだが…)」
「(何かを考えてる…?
けど私を倒してくれるには…変わりなさそうね)」
「その身体は電気を通すのか?」
「…」
「聞いても無駄なら試すだけか…」
その刺剣から、ナイフを通り電気が流れた。
しかし、咲夜は焦げ臭くなっただけで
効いている訳でも気絶もしなかった。
それでもほんの僅かに動きが止まった。
そして、颯花は別の手を考える為に距離を置いた。
「(気絶…やはり無理だったか…
どうにかその状態で
メシアの制御を無くせれば…)」
「(攻撃が鈍くなってる…
まさか殺す気は無いの…?)」
咲夜から数本のナイフが周囲に放たれた。
それらは周囲の木々を跳ね返り、
颯花を包み込む様に向かっていった。
「(先に能力を発動すれば一瞬だけナイフが止まる…
電気の残りが少ないせいで少し無理矢理な
方法にしてみるが…)」
颯花は時を止めた。
読み通りナイフと咲夜が一瞬だけ止まった。
そして飛んで来るナイフの隙間から抜け出した。
「(ん…待てよ…
さっきの電気での攻撃で動きが少し止まった…
予想だがメシアの制御は電気で妨害出来るのか?
だけど私のではとても足りない…どうする…)」
「困ってそうだな、颯花」
顔から声が聞こえた。
その先程もらった眼帯からだった。
「…。…眼帯が喋っただと…!?
なっ何だよこれ…えぇー…
にとりの野郎…余計な機能を付けたなおい…」
「本人の前でそれを言うのかい?」
「…。なんだただの通信機か…
ビビらせないでくれよ、全く…」
「そう、通信機ともう一つ付けたものもある。
思考盗聴器さ。これで頭ん中丸分かりだよ」
「…。君さ…それはやり過ぎだろ…」
「まあまあ、それで電力が必要なんだろう?
そうだろう?ん?」
「(うざっ)あっああ…そうだ。
と言っても予想しただけだが」
「へぇ、でもやる価値はあるよ。
急ぐから待ってて」
「まさか発信器も付けているのか…!」
「え?うん、そうだよ」
「悪い、後で返す」
「えっ?なんで?」
「いいから早く来いよ!あくしろ! 」
「へいへい…」
やること大杉死にそう。
寒過ぎて身体も脳も動かん…
冬眠したい