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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅霧異変編〜
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2回生きた理由(わけ)

一体、なんだこれは。


私は…何だ……どんな奴だったんだ…?


私は人間だ…人間だって…言ってくれ…


この世界には神はいないのか…?


誰か…もし知っているのなら…教えてくれ…


彼女の中で整理するように記憶が駆け巡る。

ただ、ひたすら自分が怖い。

前の館主のただの玩具という存在にしか、

そんなちっぽけな存在に過ぎなかったのだろうか。

私はただ、駒にしか過ぎない存在なのだろうか。


私はゾッとした。

この本には館としか書かれていない。

私はこの紅魔館の紅は、

血で塗りたてられたという事を察し出来た。

私はまだ思い出せない事もあるという事か。


十六夜 咲夜は悪くない。

皆を壊した、殺したのはあなたのせいではない。

どうか自分を責めないでくれ。


そしてあの少女達は、

そこまで残酷に育ってしまったのだろうか。

私達が助けた生物がただの怪物だったのか。


壊れていたのが咲夜なら、

使い仲間はみんな正常だったという事なのだろうか。

彼女が壊れて、周りが可笑しく見えたのか。


私が思う全ての原因は、

この館の旧館主、ジーグ・フリーズ。


でも、まさか、奴は何故私と同じ顔にした?

それとも最初から同じ顔だったのか。

咲夜を殴ったのは、ジーグなのか。

それとも、私なのか。


自分のしたことが間違ったように感じて、

徐々に生きていく気力が失っていく。

少女達は、なぜ生まれてきたのか、

それ以上の悲劇を生み出そうとしているのか?


もう、訳が分からない。


少女達を止めたい。

だが、咲夜と戦わなければいけない。

また、彼女と同じく少女達の使いになったとして、

少女達の意見に賛同する訳にはいかない。

そもそも、自分達で作られた紛い物の、

『吸血鬼』を、そのままにしたくはないだろう。


死体は何処へいったのだろうか。

少女達が食べたのだろうか。

吸血鬼は、人間と同じ食事でも生きていける。

しかし、血の味を覚えた吸血鬼は、

廃人の様に、人を殺してしまう。

それだけがただ薄く記憶に残っている。

この本がきっかけで思い出された、

微かな記憶の一部だった。


何故咲夜は生きている?

吸血鬼が人間に無害なはずがない。

恩人だから?でもそれなら同じ恩人の私を、

毛嫌いしなくてもいいだろう。

咲夜は一度死んでいて、吸血鬼として甦ったのか?

それでは、何処で死亡したかが謎となる。

致命傷になるほど、私は殴ってしまったのか。

不安になった。


謎に謎が重なる。

全てが疑問と思ってしまう。

読めば分かる事も、すべて。


「もう全てを初めからやり直したい…

こんな残酷な世界、誰も望んでいない…!

こんな……はずじゃ…ないのに…

もう…私は……何の…為に……」


悲しみと絶望に染まる彼女の心。

自身に存在価値が無い。

自分のとった行動全てが悪影響と見てしまう。

私が生きていくのは、皆を不幸にしている。

そう思っていた。

彼女は泣いた。自分の運命の悲痛さを。



本の最後のページから、紙切れが出てきた。

新聞の切取りだった。


路地裏が首がない死体まみれに。

日に日に人口が減り、路地裏以外にも被害が及ぶ。

市民人口が6割減少後、街外れの一軒の

建造物の消滅と共に事件は発生しなくなった。

国が全力で捜査している最中の事であった。

未だに犯人は捕まらず。痕跡もなく、

迷宮入りになりかかろうとしている。


少女達は血の味を覚えている。

止める者が居なければ、私が止めなければ。

血の味を覚えた吸血鬼は、

自身が信頼している者以外の人物を、

全て殺すほどになると予測した。

放置すれば再び多くの死者が出ることになるだろう。


咲夜には悪いと思うが、

私もここまで来たからには後には引けない。

決意した。

悔やんでばかりでは居られない。


私はここへ導かれた。

それはジーグの差し金かもしれない。

私の存在自体が利用されるだけ、

そんな小さな存在なのかもしれない。

それでも、私は前へ進む。


「神はいなかった。

いるならこんな酷いことはしない。

今ここに存在する運命を決めるのは私だ。

もし神がいるのであれば、

この戦いは、私の手で止める。

化物が生み出した世界の脅威、悪の根源は、

化物が化物の意地として止めてみせる。

邪魔をするならば、神をも殺してみせる」

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