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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅蒼運命編〜
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3人の魔法使い

「ちょ…ちょっと…魔理沙…!?」


そして魔理沙はパチュリーに抱きついた。


「やっぱり…私には仲間を…撃てないっ!」

「魔理沙…やめなさい…!死ぬわよ!」

「それでも…私は…!」


魔理沙は依然として抱いたまま、

パチュリーは相変わらず身体は動かせず、

勝手に動いている。


「あなたがそんな事をしても、

状況は変わらないのよ…!」

「じゃあどうしろっていうんだよ!

私はお前を死なせる気はないんだ!」


そのパチュリーの身体は、

魔理沙を両手で突き飛ばした。

倒れ込んだ魔理沙に手の平が向けられる。


「駄目…魔理沙……!」


突き飛ばされた魔理沙は何度も立ち上がり、

パチュリーを押さえ込もうとする。

その度に突き飛ばされている。


「いい加減にしなさい…!

どうしようと…私はもう…死んでいる!」

「だから…今は生きているだろ…!

私は…諦めない……!」


何度も立ち上がり続ける彼女は、

立ち上がる度に疲労感が増していく。

パチュリーに疲労感はなく、

これを続けていれば、結果は目に見えていた。

そして、魔理沙は限界に到達した。

溜まりきった疲労感で立ち上がる事すら

出来なくなっていた。


「魔理沙…駄目…せめて逃げなさい…!」

「…くっ…くそぉ…私は…」


そして動けない魔理沙へ、

再び手の平が向けられ、光が発生する。


「…万事…休す…か…私は…

何も…出来ないなんて…!」

「駄目…魔理沙…諦めないで…!

私の身体は止まらないのよ…!

今あなたが死んで…どうするのよ…!

…嫌…魔理沙…魔理沙ぁ!」


発生された閃光は、魔理沙の真横を通り抜けた。

そして、同時にパチュリーの片腕は切断され、

足下の地面へ落下した。

断面からは地が出ることもなく、

切られた片腕は塵となった。


「相変わらず…優しいというか…

偽善者というか…全く…」

「…ア…リス…」


道の端に、人形を従えた金髪の少女、

アリス・マーガトロイドが居た。

彼女はその離れた距離のまま、

2人に歩み寄ることもなかった。


「私がするのはこれだけよ。

後は…あなたが決めなさい…」

「待ちなさい…あなたが私を…

殺せば全部終わるでしょ…!」

「これからまた同じ場面があったとして、

魔理沙はそのまま殺されてもいいのかしら?

今だって死にかけた…」

「でも…!」

「仲間の両目を潰した人はどこの誰かしら。

操られてたとはいえあの河童の子と、

戦いあっていたのは事実よ」

「操られてたんでしょう…!

魔理沙に罪はないわ…!」

「じゃあこの先魔理沙に自分を殺させる気?

魔理沙は優し過ぎるのよ。

それが返って仇となることもありえる」

「あなたは…!」


魔理沙は依然とその場で下を向いている。


「じゃあね…魔理沙を頼んだわよ」

「ちょっと…アリス…!」


アリスはその場を去っていく。

再び2人だけとなった。


「魔理沙…この切られた片腕の断面、

見てみなさい…」

「…」

「この身体が単なる人形であること、

見れば分かるのよ…!」

「…でも…」

「私はもう私じゃないの…!

立って…立ち上がって私を倒しなさい…!

いつまでもそんなんじゃ…!

いつか巫女を殺してしまうわよ…!

あなたが弱々しいせいで!」

「…私のせいで…死ぬ…霊夢が…?」

「いつか味方を撃つ時が来ても…

相手が敵なら…戸惑わないの…!

あなたはあなた自身の為に強くならなくちゃ駄目!

後悔しないように今…私を撃って!」

「……パチェ…」


魔理沙はゆっくりと立ち上がる。

目には涙を浮かべている。

そしてミニ八卦炉を構えた。


「…やるしかない…のか…」

「ええ…私は大丈夫。覚悟もなにも、

既に死んでいるのだから…」


ミニ八卦炉が光を集めていく。


「やるぞ…やるぞ…やるしかないんだ…!!

…パチュリィいいいいいいいいいッ!!!!」

「…ありがと…魔理沙…」


極太な閃光がパチュリーを消し去った。

痛みもなく再び死ねたのはまだいい方だろうか。

彼女の痕跡は残らなかった。

再び膝をつき顔を下に向け、泣いている事を隠す。


「くそぉ…くそぉ…涙が止まらないわ…

ほんと…後味悪いぜ…」



「魔理沙…ごめんね。

でもこれでまたあなたは強くなれる。

私を恨むかもしれないけど…

あなたが死ぬかもしれないのなら、

そんなこと…どうでもいいわ」

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