悲劇の事種
「こいつは失敗作だった。
けど、私、いや、君ならどう動く?
クローンNo.2型」
ジーグは、ゼィルの亡骸を抱え、
1つのクローンの前で話していた。
クローンはまだ起動されてない。
「失敗作も、私も君も、
顔を一緒するのはちょっと失敗だったな。
まあ、この顔の元祖は私自身だが」
そして、彼女は失敗作を投げ捨て、火をつけた。
彼女の亡骸は青い炎を上げた。
「綺麗な青じゃないか…
こいつには霊夢達を殺した借りがあったな、
貴様はここで燃えて消えろ。邪魔だ。
さて、君は…こいつとして生きてもらう。
全く似ているが、全くの別人だ。
けど、違うのはこいつだけ。
君は最終的に私となる。
けど、運命は決まった訳ではない。
君は…君が運命だ」
「yes、我がマスター」
「記憶を植え付け、再び館に向かわせる。
そこから運命の歯車は動き出す…さあ行け!
この悲劇の繰り返しに、終止符を打て!」
その後、館から離れた所で、
ゼィル、颯花は目を覚ました。
彼女は、自分が偽者とは知らず、
自らをゼィルとして、紅魔館へと向かった。
私は仲間の1人を自ら殺した。
殺した時に、今までの記憶が駆け巡った。
しかし、私は悲しさを忘れた。
手に持っているナイフ、血に染まる身体。
目の前に映る館主かゼィルか判断出来ないそれは、
私へと駆け寄り、殴り、押し倒した。
「なぜ殺した…仲間を…みんなを…!」
「…」
「答えろ!復讐なら、ジーグで…
あいつを殺すだけで良かったんだ!
君が手を染めて、あいつと一緒になって…
どうなるっていうんだ!ふざけるな!」
馬乗りとなって私を殴るそれは、
涙を流していた。
しかし、私は彼女の言葉も、
気持ちも分からなかった。
その後、レミリアが駆けつけ、
それを窓の外へ蹴り飛ばした。
その後、彼女は私を優しく抱いた。
「止めて下さい…お嬢様、
お洋服が汚れてしまいます」
召使い仲間は、壊れていなかった。
彼女達は別に機械となった訳でも無かった。
口止めをされていて、ただ全員が、
黙っていただけだった。
そう、壊れていたのは私、
十六夜 咲夜だった、と。
私は彼女達に忠誠を誓った。
そして、目的達成の為に、各地を巡った。
そこで様々な人物を見た。
しかし、そんなことはどうでも良かった。
私が追い求めるのは、あの御方に仕える、
正しき、そして強き者にしか興味を持たない。
そして、私は各地方で2人を見つけた。
そして連れ帰った。
館は赤で統一されていた。
全く深紅で信念のような色だった。
「さあ…行くわよ…まずは幻想郷へ」
「承知しました、お嬢様」
その後、その世界から、紅魔館は存在を消した。
私は未だに彼女と復讐の相手の、
見分けがつけない。
彼女はまだ、友達を、
偽者だとは知らない。
もちろんあの世でも、偽者自身も。
何故なら彼女が彼女だったからだ。
「ぅ…ぁ……いっ…許…さん…!」
焼け焦げた遺体が憎悪で立ち上がった。
それはやがて謎の黒い何かに包まれ、消えた。