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東方project 〜東方少女録〜  作者: mariari
〜紅蒼運命編〜
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咲夜の追憶:1

私は十六夜 咲夜。の館に雇われて1年目。

まだまだ若手って言われるけど、

みんなよりはしっかり者って事は認められてる。


「咲夜〜そこの激落ちくん取ってぇ」

「あっはい!」


けど、私はとあることに疑問を持っている。

毎日夜な夜な地下から不気味な音がしたり、

しかもここの館に住んでるのはあのジーグっていう

その人物1人だけなのよね。

半分私達召使いに部屋を貸してくれるほど、

お金もあるし、ちょっと怖いわね。

食事に何か入ってないか個人的に検査したけど、

特に反応もなし。どうしたものかしら…


「咲夜、さっきはありがと。

あと、なんで私にも敬語?同期なのよ?」

「ごめん…考え事してたから…」

「珍しいね。咲夜が考え事なんて」

「何何?彼氏?咲夜っち可愛いもんね〜!」

「えっ咲夜に彼氏!?やば!」

「違う違う!違うってば!」

「顔が赤いわよ〜?」

「こういう体質!貴方達いい加減に…」

「君達たのしそうだね。何の話?」

「あっ館主さん!咲夜に彼…」

「うあーー!!止めてえーー!」

「oh…分かった分かった…んじゃ…」


そして、ジーグは去っていった。

就寝時間に入った。皆の寝息が静かに響く部屋で、

1人、咲夜は起きていた。

そして窓の外を見ていた。


「…っ!」


中庭に、二人の少女を連れて、

ジーグが歩いていた。

咲夜はそれを最期まで見ていた。

そして、出入りが禁止されている地下に、

その少女達は地下を降りていった。


次の日、私のベッドが壊れ、

私だけ別の部屋で寝泊まりする事になった。

別にそこまで離れて無いので、出入りは多かった。

だけど、問題は真夜中。


「いやあああああああ!!」

「助けて助けてえええええ!」


夜な夜な、少女達の悲鳴が響いてくる。

私が1人で寝ている時だけ。

召使い仲間を呼んでもその日は聞こえなかった。

召使い仲間に心配され、有給休暇を貰った。

けど、事態は変わらない。

私は少しずつ滅入っていた。

私は彼女達の悲鳴が頭から離れない。

顔等に変化が現れ、少しずつ心配されてきた。


「ねぇ…大丈夫…?」

「うっうん!気にしなくていいよ!」

「…ならいいけど…無理しちゃダメだよ?」


そして、ほぼ毎日、服装に血がついた状態の

ジーグを真夜中良く見る。


「実験に成功…実験に…成功…ふふ」


ブツブツと実験に成功と連呼していた。


「はじめまして!ゼィルです!」

「新入りちゃんよろしく!」

「なんて読んでいい?」

「ねえねえ!」


ある日、ある1人の新入りが入って来た。

久しぶりの召使い仲間が増えたことに、

みんな歓迎して気付いていないのか、

それともあの少女達を見た事は無いのか、

彼女はあまりにも少女達に似過ぎていた。

まるで、人形のように。


私は、みんなの陰で、

彼女をいじめてしまっていた。

絶対落ちないような汚れを付けたり、

バケツに穴を開けたり、担当のトイレを

毎週詰まらせたり。


「なにか困ったことあったら言ってね?」

「あっはい!今のところ大丈夫です!」


誰も気づかなかった。彼女も何も言わない。

別に、私が孤独になった訳でもない。


「彼氏はどんな人?」

「いません」


いつも通りからかわれている。

けど、それが私へのいじめと誤解してきていた。

私は、更に滅入っていく。


ある日、私は彼女にいくつか質問した。


「ねえ貴方、どこ育ち?」

「…すいません…あんまり覚えてないので…」

「覚えてないの…?」

「ちょっと記憶喪失らしいんですよ…」


生まれ、育ち、その他の普通なこと。

だけど、彼女は何も答えなかった。

何も知らなかった。


そして、とうとう私は館主に全てを話した。


「館主さん、お話があります」

「なんだい?」

「夜中、何してますか?」

「…ほう…」


返ってきた答えは、


「君が見た全てだ」


ただそれだけだった。更に私は病んでいった。

陰湿ないじめはだんだんエスカレートしていく。

いまだ続く実験から少女達を救いたいのに、

どうすることも出来ない私を、

彼女と重ねて見てしまっていた。

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