42 また来ます。さよなら
「・・・でもあなたの横にはいつも彼が」
先生が、すっと視線を私の横の秋斗君に向けた。私に向けるのとは全然違う、敵意のこもった視線で。
「高木君がいます。あなた達はいつも寄り添って、幸せそうに笑い合っている。
どうしてここにいるのかと聞きましたよね? 高木君。
私が今ここにこうしているのも、 あなた達を引き離すことができたら、と考えてのことなんです。 最低な男でしょう。私は」
先生は、ははっ、と自分を嘲笑するように言い、軽く目を伏せた。
そして少しツラそうに眉を寄せて私を見て、続けた。
「あなたと彼が出会うのを邪魔しようとも考えましたが、・・・あなたのご両親の離婚を回避させるには、彼の協力が必要でした。だから、それを否定することはできません。でも、今なら・・・」
「今なら? 今なら何なんですか?」
「付き合い出して間もない今なら、そんなに深い関係でも無いでしょうし・・、別れさせることができるかと・・思ったんです。
私には・・大人になった彼に、とても敵わないものですから」
カチンと来た。だってこれ、絶対馬鹿にされてる。
「じゃあ先生は、子どもの私達なら簡単に別れると思ってやって来たんですか?
ふざけないでください! 私達を馬鹿にしないでっ!」
カッとしたまま私は立ち上がって叫んでいた。
「私達は中学生で・・・先生みたいな大人から見たら、私達の恋愛は遊びみたい
に見えるかもしれないけど、私たちは真剣なんです!
子どもだからって思い通りになんてなりません!」
「ホント、馬鹿馬鹿しい。おれとさくらちゃんの仲を裂こうったって、そんなの無理だよ。早く諦めて、未来に帰ることだね」
秋斗君も私の横に並ぶ。
「諦められるくらいなら、ここに来てません」
意外とハッキリと先生は言い返してきた。
「絶対に、未来を変えます。
あなたが高木君ではなく、私を選んでくれるように、がんばります!」
が、がんばるって・・・なにを!?
「・・・しかし、このままここにいることも最善であるとは思えません。
今のあなたたちは私の入り込む余地はないようですし。
なので、出直して来ます。
色々勉強したいこともありますし、・・時間が経てばあなた達の関係も、今とは変わっているかもしれませんしね。
一度未来に、戻ることにします」
「早く帰れよ。もう戻って来なくていい」
シッシと手で追い払うマネをする秋斗君。
そんな秋斗君のことは無視して、浅井先生は私だけを見つめて、手を振った。
その手には、タイムマシン。
「また来ます。さよなら、さくらさん」
そしてその言葉どおり、先生はいなくなった。
次話で完結となります!
ありがとうございます(^。^)/




