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38 サンドイッチ

「はい、できましたー」

お皿がないから、お盆の上にコピー用紙を三枚並べて、サンドイッチを乗せた。

レタスハムのと、レタスとスクランブルエッグ。

紙皿でも買えばよかった・・・。


「わあ! おいしそう!」

「すごいですね・・・」

テーブルに置くと、二人が歓声をあげる。

粉末のスープに熱湯を注いだカップを三つ持って、私も座る。ちなみにカップは使い捨ての紙コップ。これを買い忘れてたら、たぶんビーカーとかが出てきた。

危ない・・・。


「いっただきまーす!」

二人が大きくがぶりと一口。

「おいしー! このタマゴ、すっごく美味しい。チーズが入ってるんだ。

フライパンないのによく作れたね」

「レンジでチンして、がーって掻き混ぜるとスクランブルエッグになるんだよ。

チーズを入れると美味しいんだ。ママがよく作ってくれるの。

・・あの、先生? お口に合いませんか?」

先生は一口食べたまま止まっている。


「・・いや、あの、いつも買ってるサンドイッチとは比べ物にならないくらい、とても、とても美味しいです!

すごいですね、瀬川さん。本当に美味しいです!」

先生にしては珍しく、やや興奮気味の口調。


「気に入ってもらえてよかったです。

こっちのもハムとチーズとレタスを挟むだけで超簡単ですから、先生も作ってみてください。外食や出来合いのものばかりでは身体に良くありませんよ」

「はい。どうもありがとうございます」


「ホント美味しいよ、さくらちゃん。やっぱり早くお嫁に来て欲しいなあ」

「な・・」

「何を言うんですか、高木君」

にーっこり笑ってさっきの続きみたいなことをいう秋斗君。私はサンドイッチを落としそうになる。


「あなた達はまだ中学一年生でしょう? 結婚とか、そういうのは早すぎます」

冗談みたいに言った秋斗君の言葉に、浅井先生はピシャリと冷静に返した。

へえ、と秋斗くんの片眉がピクリと上がる。


「センセーらしいお言葉だね。

でも好きだから結婚したいって思うのは当然でしょ?

年齢が足りないから、今すぐにできないってだけで。将来的にの話だよ」

「それでも。あなた達はまだ若いんですから、お互いを縛るような約束は避けるべきです。この先何年も気持ちが変わらない保証はないんです」

先生が、饒舌にしゃべる。

それも・・・秋斗君に対して挑発するみたいに。


「何年後かには、お互いに思う人が変わっているかも知れませんよ?」


秋斗君は手に持っていたサンドイッチをがぶりと大きな口で食べる。

もぐもぐしっかり噛んでごっくんと飲み込んで「うん、おいし」と一言。

それから先生の方を見て言った。


「おれは、さくらちゃん以外には目を向けないよ。

だいたい、好きだから付き合ってるのに、なんで心変わりすることを前提にしてなきゃいけないの。おかしいでしょ」

「ですがっ・・」

先生は言葉に詰まり、視線を落とした。

「なに、ムキになってんの? 浅井先生?」

「・・・っ」


「さくらちゃん、また一緒に買い物行こうよ。次は何作ろうか」

「そ、そうだね」

「浅井先生、もう食べないの? おれ食べちゃうよ?」

「食べます。食べますよ!」

急に勢い良く食べだした先生。秋斗君も「負けるか」って言って両手に持って食べている。

あれ・・? 浅井先生ってこんなキャラだったっけ・・?

そんな二人を眺めながら、私は熱々のスープを慎重にすすった。



食べ終わった後、先生にお願いされてサンドイッチのレシピを書いて冷蔵庫に貼っておいた。レシピって言うほどのものじゃないんだけど、あんなに感動して食べてもらえて、作った側としても嬉しいし。


お読みいただき、ありがとうございました(*^。^*)

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