37 一緒にお買い物
ご意見をいただき、登場人物の紹介を一話にいれました。
ありがとうございます。
秋斗君と自転車でいつも御馴染みのスーパーに着く。
ここだと私のポイントカードもたまる。らっきー。
「何を作るの? さくらちゃん。あ、カゴ、持つよ」
なんだか楽しそうな秋斗君。
「そうね、サンドイッチかなあ。ハムとかチーズを挟むだけならトースターもいらないし。まな板と包丁がなくてもできるよね」
「いいね」
野菜はレタスでいいかな。使いきり少量の百円ハムと同じく百円のチーズも。
「あ、お昼のタイムバーゲンだって! 卵五十八円! これは買わなくちゃ!」
おばちゃん達にまぎれてすばやく卵をゲット! やったあ。
お一人様一個までって書いてあると、せっかく二人いるんだからもう一つ買いたくなるけど、先生の家に卵の需要がそんなにあるとは思えないし。
腐らせたら大変。
「マヨネーズもきっとないよね。あ、今日安いんだ。ラッキー。買おーっと。
牛乳も。このメーカー好き。安いし。
パンは・・・あ、このフランスパン、スライスしてあるんだよね。
これいいかも。食パンより食べごたえあるし、乗せれば見た目もリッチだし。
サイズもちょうどイイ感じ。
さて。こんなもんかな。スープも買ったし。
秋斗君、なんか他に食べたいものある? ・・・秋斗君?」
レジの手前で、返事がなくて振り返る。
「さくらちゃんっ!」
秋斗君が呼んだ。近い距離なのに、結構な声量で。
「な、なあに?」
「さくらちゃん、将来おれのお嫁さんになって! 絶対に!」
「んなっ!?」
イキナリの大告白、冗談かと思いきや、秋斗君は至ってマジメな顔で私の手を握る。
「さくらちゃんはすごい! うちの母さんより買い物上手だよ。
母さん、変なものばっか買うし、やたら悩むから時間かかるし。もう一緒にスーパーに行くと、くたくたになるんだよ。
こんなにポンポンと買い物が終わるなんてすごすぎる!」
興奮気味に秋斗君はスゴイスゴイを連発してる。
お嫁って・・・もうその単語だけで私の頭は真っ白だ。
レジにカゴを置くと、いつものレジのおばちゃんがこれでもかってくらいニヤけてる。
「さくらちゃんにこーんなカッコイイ彼氏がいたなんてねえ。
おばちゃん、二人の結婚までの道程を心から応援してるよ。がんばりなっ!」
わあ、聞こえてたの!?
は、はずかしい。
大急ぎでお金を払ってお辞儀をして、その場から立ち去ろうとしたけど、秋斗君がまだおばちゃんに捕まっていた。
「あんた、あたしゃ、ずっと小さいころからさくらちゃんを知ってるけど、ホントいい子なんだ。昔から・・・」
ちょ、何を語りだしてるの? おばちゃんっ。
「泣かせたら承知しないよ。絶対しあわせにするんだよ!」
もう勘弁してよー、おばちゃん。
秋斗君も、「もちろん、大事にしますよ」なんて平然と答えてるし。
荷物を持って、猛ダッシュでスーパーから出る。
後ろから秋斗君が走って来た。
「ごめんごめん。おれ、声大きかったね」
私の手から荷物を取って、はははと笑う。
私は顔も体もカッカと熱い。きっと真っ赤っかになってるんだろう。
「あのレジのおばさん、さくらちゃんのことすっごい好きだって。今時珍しい、礼儀正しくてお手伝いもよくするいい子だって褒めちぎってたよ」
「昔から仲良くしてもらってるおばちゃんなの。次来た時どんな顔しよ・・」
「おれもちょっと恥ずかしかったけど。でも嬉しかった。
さくらちゃんと一緒だと、スーパーもすごい楽しいなー。また行きたい」
そんな風に言われたら、文句言えないじゃない。
私だってもちろん嬉しかったし。
「あ。でもスーパーでプロポーズってのはちょっと、ないなあ。
いつか本番はもっときちんとするから、聞かなかったことにして」
「・・・あ、りがとー、ございます・・」
なんだろ、この会話。
恥ずかしいけど、嬉しい、けど、やっぱり恥ずかしい。
でもでも、やっぱり嬉しい。
こんな嬉しいこと、聞かなかったことになんかするわけないじゃない!
秋斗君ってば!




