34 公園で
公園に着くと、ちょうど秋斗君も自転車でやって来たところだった。
坂北公園は坂西との境にあるから、うちからも秋斗君ちからもけっこう近い。
息の上がった秋斗君は何度か肩で大きく呼吸をし、私の顔を見てほっとした顔になる。
「よかった。無事で」
「え?」
「浅井んとこに一人でいるって言うから、すごい心配したよ」
二人で隅にあるベンチに並んで座る。
私は、今日の午後、警察から電話が来たところから順に話した。
急いで病院に行ったら、事故ったっていうはるにいは本当に瀕死だったこと、タイムマシンのことを思い出して、先生のところへ行って、過去に飛んで事故をなくした・・というようなことを一気に話した。
話しててまるで小説の一部みたいだなあとか思う。
自分が体験した話とは思えない。
トラックの前に飛び出したことは黙っておこうかとも思ったけど、いずれははるにいか浅井先生が話すような気がして、やっぱりちゃんと話すことにした。
秋斗君はベンチから立ち上がるほど驚いて、私の頭のてっぺんからつま先まで、どこもケガしてないか確認した。膝の上のところに自分でも気づかないくらいの小さな擦り傷を発見されてしまった。
「今だから落ち着いて話せれるけど、ちょっと焦っちゃってて、途中で連絡入れる余裕もなくて、ごめんね。秋斗君。
もう夢中で、先生のところに走って行ってすぐに過去に飛んだから・・・」
「ううん。そんなこと構わないけど・・とにかく無事でよかった。
さくらちゃんも、ハル先輩も」
秋斗君は両手でそっと私の頬を包んだ。あったかい手。
「いっぱい、泣いたんだね。・・ごめん。ツラい時、何もしてあげられなくて。
ごめんね、さくらちゃん」
きっといっぱい泣きすぎたせいで私の目は赤く腫れてるんだ。でもそれを見てる秋斗君の方が辛そうな顔をしてる。
私は秋斗君の手に自分の両手を重ねた。
「秋斗君、そんな顔しないで。私も、はるにいも、誰も怪我しなかったし、 大丈夫だから」
秋斗君は何も言わずに私をぎゅっと抱きしめた。
もちろん驚いたし、慌てたけど、私もそうっと秋斗君の背中に手を回した。
・・・沈黙が続く。
「あ、秋斗君?」
声を掛けると、ゆっくりと身体が離れた。
「・・疲れたでしょ、さくらちゃん。家まで送るよ。後ろに乗って」
「う、うん。・・・ありがとう」
まだ会ったばっかなのに、もうバイバイなの?
なんかいつもの秋斗君らしくない。いつもは時間ギリギリまで一緒にいようって言って、こんな風に早く送るよなんて言わないのに。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。




