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2 一緒に帰ろう

朝、学校に来るなり友達の詩織と香奈が私の席に駆け寄ってきた。


「ね、さくらちゃん、昨日またしても秋斗君と一緒にいたでしょ。

見ちゃったんだよね。いい雰囲気だったし。

もしかして、お二人さん、付き合ってるのー? 白状しちゃいなよー」

ニヤニヤしながら私をつつく。

突然された質問に、私は頭が真っ白になってしまった。

確かに昨日、図書館に行こうとしたら秋斗君と偶然一緒になった。

まさかそれを見られていたなんて。


「え? な、な、なに、何を言ってるのっ! そんなことないってば!」

思いっきりどもって、しかもこの答え。

これには香奈もジト目で迫ってくる。

「あーやーしーいー」

「さくらちゃーん?」

私は二人の視線に耐えられず「と、トイレっ、行ってくる!」と走って逃げた。

うう。やっぱり苦手だなあ、こういうの。

なんでこういう話ってみんな大好きなんだろう。

誰は誰が好きだの、誰と誰が両思いだの、あれはただの片思いだの、女の子同士の会話は四六時中そんな話で大盛り上がりしてる。


私は人の話でも聞いてるだけで正直恥ずかしくなっちゃって、お腹いっぱい、勘弁してくださいって感じだ。

さくらはシャイでウブねーなんて、いっつもみんなにからかわれてる。


・・・まあ親友の美穂には、秋斗君に告白してもらったこと、話したんだけど。

っていうか、話す前にもうバレてたんだけど。

美穂には秋斗君が好きだって打ち明けてから、ちょくちょく恋愛相談にのってもらってる。

お付き合いすることになったって報告したら、美穂は、やったー!って叫んでおおいに喜んでくれた。

すぐにでもクラス中に広めそうな顔してたから、ちょっとまだ言わないでって口止めしておいたんだけど。


だって同じクラスなのに、付き合ってるってバレたら、みんなにどんなにからかわれるか、考えただけでもオソロシイ・・・。

どんな顔して過ごせば良いの? 平気な顔なんてできないよ。




*****


帰りのホームルームも終わって帰ろうと思ったら、秋斗君からメールがあった。

なんだろう、学校でメールだなんて珍しい。


『さくらちゃん、一緒に帰ろう。 校庭の裏のウズラの前で待ってるよー』

文末にはにっこりの絵文字つき。


私は自分の顔が赤くなるのを感じながら、

『わかりました。ありがと』と返した。 あ。慌てて返信して絵文字とか打つの忘れちゃった。そっけないメールになっちゃったかな。

そんなことを考えながら、私は小学校と中学校の敷地の境目に向かって、大急ぎで走って行った。


裏庭に着くと、飼育小屋の前に秋斗君の姿があった。

秋斗君は私にすぐ気づいて、遠くから手を振ってくれる。


「お、おまた、せ」

「さくらちゃん、早いねー。メールの返信来てから三分も経ってないよ。

走って来たの?」

「う、うん」

私はぜーぜー肩で息をする。

秋斗君と一緒に帰るなんて考えただけでも緊張しちゃって、心臓がバクバクする。

顔が赤いのは走って来たからだって言い訳したくて、ここまで全力疾走してきてしまった。


「ね、この子、チェリーってさくらちゃんが拾ったウズラなんだって? 

ウズラってこんなに大きくなるんだねー」

秋斗君は、うさぎの横にいるウズラを指さして私に言った。

拾った時は屋台でよく売ってる手のひらサイズの小さなウズラだったのに、今では鶏より少し小振りくらいにまで成長してる。

その隣ではうさぎが三羽、鼻をヒクヒクさせながらつぶらな瞳でこちらを見てる。

「わー。かわいい・・・」

「あ、今、目が合った」

ちょっとの間、 二人でウズラとうさぎを眺めて、かわいいねってなごんでた。

動物ってホント、癒されるなあ。


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