27 ビリーワールド
バスに乗って二十分、目的地のビリーワールドに到着した。
一個ロッカーを借りて四人分のコートを押し込んで、さっそく一階のゲーセンから回って行くことにした。
「すごい、ひろーい」
建物もでかかったけど、ゲーセンだけでもそうとうな広さだ。
「あ、ねー、可愛い! このクマ。カズヤ、取って取って!」
関口先輩の腕を引っ張って、美穂はクレーンゲームに突進して行く。
「えー、オレ苦手なんだよなー。こういうチマチマしたの。まあ一回だけな」
しぶしぶ先輩は百円入れてチャレンジしてる。
「さくらちゃんも、なんか欲しい?」
秋斗君がクレーンゲームを指さす。たくさんあるなあ。
一ゲーム二百円のでっかいぬいぐるみもある。
「ううん。こういうの、はるにいもいつもやるけど絶対取れないの。クレーンの力が弱くて、するって落ちちゃうんだもん。なんかもったいないよ」
「あはは。負けず嫌いだもんね、ハル先輩は」
「でも三百円も四百円もやって結局取れないんだよ? いつも終わった後すっごい後悔してるの」
「ハル先輩らしい。まあ、おれも得意ではないけどね」
なんて会話をしている横では、美穂にせがまれて先輩が二回目のチャレンジをして撃沈していた。私は美穂の手を引っ張った。
「ねね、ボーリング、行きたいな。 せっかく色々遊びたい放題なんだから、別料金が掛からないとこで遊ぼうよ」
ゲーセンだけは普通にお金がいる。このままじゃあ先輩は破産だ。
「それもそうね。じゃ、ボーリングにレッツゴー!」
久しぶりのボーリング。私のスコアはイマイチだけど皆ですごく盛り上がった。
関口先輩がずっとトップを走ってたのに、最後の方で秋斗君がストライクを連続したりして、二人で競い合ってた。
美穂は私と同じレベルで、ガターとかも出してたのに、最後の最後でストライクを決めて、きゃあきゃあ叫んで関口先輩に抱きついてた。
次にやったインラインスケートは初めてで、どきどきした。
最初は足がガクガクしたけど、ちょっと慣れたらスイスイ滑れて自分でもビックリ。スケートもほとんど経験なくて、去年一回やったことがあるだけなのに。
「さくらちゃん、すごいね、隠れた才能発見だね」 秋斗君が拍手してくれる。
美穂も先輩と手を繋ぎながら、すごいすごいと連発してくれる。
インラインスケート、ハマりそう。
楽しいなあ。 風を切って滑るのは気持ち良い。氷の上じゃないから寒くないし。
・・・でも、美穂みたいに秋斗君と手を繋いで滑るのもしたかったかも。
けど、スイスイ滑れるようになったのに、今更お手て繋いで、なんておかしい
かな・・・。
「わっ!」
そんなことを考えながら、よそ見をしていたら、普通にコケた。
「だいじょうぶ? さくらちゃん」
秋斗君が手を差し出してくれる。これは、つかまってもいいってこと、だよね。
ちょっとドキドキしながら手を握ると、よいしょっと立ち上がるのを手伝ってくれた。
「ありがとう、秋斗君。ちょっと調子に乗っちゃった」
「先輩達を見てたの?」
う。バレてる。
「・・・手を、繋ぎたいなあって。思ってたの」
ついぽろりと出た私の言葉に、秋斗君はきょとんと目を丸くする。
そりゃそうだよね。だって、今、繋いでるのに。
何を言ってるんだろう、私。
急に恥ずかしくなって手を引っ込めようとすると、その手をぐいっと引かれた。
「なーんだ。おれも、ずっとそう思ってたよ。バスに乗る前から思ってた」
秋斗君はそう言ってにっこり笑う。
「このまま一緒に滑ろうか」
「うん」
うれしいな。顔がニヤけてきちゃう。変な顔じゃないかな。
私達は美穂に「お昼にしよー」って声を掛けられるまで、手を繋いだままずっとリンクの中を滑っていた。




