14 大掃除
その日の夜。
私は、はるにいとボードゲームで対戦をしながら、今日のことを話した。
とは言っても、内緒で秋斗君とタイムマシンで飛んだこととタイムマシンの充電が切れて慌てふためいたことは伏せておいて、だけど。
タイムマシンの製作者が科学の浅井先生だっていうことと、先生のお手伝いをすることになったってことを言うと、はるにいは目を真ん丸にした。
「マジでー!? あのネクラ先生があ? はー、マジかよ」
マジで?を連発しまくり。確かにまあ、驚くよね。
なんでそんな発明できちゃう人が学校の先生やってんのって思うし。
「あいつのマンションになんか出入りして、大丈夫なのかよ? 拉致監禁されて人体実験に使われるとか、知らないうちに洗脳されて、とか・・」
はるにいはどこまで本気なのかわからないことを真顔で言う。
「もう。仮にも先生なのよ。そんな非人道的なことはしないでしょ。
先生のタイムマシンのお陰で私達、今の生活があるんだから、お礼しなくちゃ」
「お前はそういうお礼とか、相変わらず義理堅いよな。
・・まあいいや。あのでっかい高級マンションだろ? なんかあったら俺が殴り込みに行ってやるから。おまえケータイ、絶対充電切らすなよ」
「はるにい・・・」
この目は本気だ。
携帯でたすけてーって言ったら、本気で殴りに来る。
・・・頼りになるお兄ちゃんだなーと思っていいのかな、これは。
*****
そして次の日。
「すみません。じゃあ、お願いします」
お願いします、と言われてもこれは・・。どこから手を付ければいいのか悩む。
とりあえず、先生と秋斗君に使い捨てのマスクと、ビニール手袋を渡した。
浅井先生の問題のリビングダイニング。
昨日は慌てていたし、じっくりと見てなかったけど、こうやって冷静になって見ると、ハッキリ言って散らかってるのレベルではない。
ゴミだらけだ。
私はゴミ袋(大)を広げて、秋斗君と先生に渡す。
「とりあえず、ゴミをどうにかしましょう。
お弁当のゴミなど床に散乱しているゴミも、捨てるものは全部捨てればそれだけで結構片付くと思います。
あ、ちゃんと分別してくださいね。プラスチックはこっち、燃える物はこっち。
ペットボトル、カン、ビン、それぞれ分けてください」
はい、と袋を渡しても、先生は呆然と突っ立ったままだ。
「どうしました? 先生?」
「あ、ああ。すみません。正直、ゴミの分別とか、したことがなくて」
したことがない? 大人なのに。・・・困った大人だなあ。
と言ってやりたいところだけど、まあ、いきなり説教してる場合じゃない。
なんかこの部屋どこからか匂うし、早く片付けてしまいたい。
「それじゃ先生は、わかりやすいビン、カンをそれぞれ袋に入れて下さい。
・・・できますよね?」
語尾を強めて言うと、浅井先生は素早く袋を受け取った。
「はい。了解しました」
三人でどんどんゴミを入れていく。
「さくらちゃん、これって燃えるゴミ?」
「それは・・蓋は燃えるゴミ。あとはプラスチック。
あ、先生、ビンの蓋は外して下さいね。蓋は燃えるゴミです」
「は、はい!」
現在ゴミ袋三つ目。
もう、どれだけあるのよ。
「あ、先生、ペットボトルも蓋は取って下さい。ラベルも剥がして、軽く濯ぎ洗いしないと資源ゴミで出せませんよ」
「そうなんですか。大変ですね。それにしても瀬川さん、お詳しいんですね。
まだお若いのに、よくご存知で。すごいです」
なんか、すごく褒められてしまった。
先生は集めた大量のペットボトルを持ってキッチンへと移動した。
「ほんと、さくらちゃん、すごいね」
それはまあ、以前ママがバリバリ働いてた時期にはいつも私がやってたからね。
「うちのゴミ捨て場には、ものすごーくルールに厳しいおばちゃんがいて、私も最初のうちは、いっつもそのおばちゃんにダメ出しされてたのよね。
資源ゴミは洗って出せとか、キャップは取れとか、普通ゴミにプラスチックは入れるな、とか服は資源だ、とか。慣れると普通にやれるんだけどね。
こうも溜まると、一苦労よね」
「明日の朝のゴミ出し、大変そう」
「まあ、自業自得でしょ。今までやってなかったのが悪いの」
「ごもっとも」
秋斗君は深く頷いた。




