表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/44

9 電池切れ!?

「さくらちゃん、今回のこと、ハル先輩には何も言ってないの? 

言っておいた方がいいんじゃないかな。黙ってやって、怒られない?」

秋斗君はちょっとためらいながらそう言った。


「うーん・・・。でも、そしたら駄目って言うよ。まず間違いなく」

最後に戻ってきた時も、タイムマシンはもう使うなよって私に釘を刺された。

今、点滅状態のタイムマシンで過去に行くことを許してくれるとは思えない。

はるにいは基本小心者だし、危ない橋は絶対渡らないタイプだから。叩いて、叩いて壊しちゃう、みたいな。


「内緒で行くのは気が引けるけど、でも、今は、はるにいを説得するより、ぱっと行ってぱっと帰って来た方が早いと思う」

「うーん、じゃあ、やっぱりおれ一人で行くよ。おれの家のことだし、・・何かあった時にも、その方が・・」

「何言ってるの、秋斗君!」

ぱっと見、いつもの秋斗君だけど、ものすごく緊張してるのが分かる。


私は何度かタイムマシンを使ったけど、秋斗君はこれが初めて。

しかもちょっと壊れかけという不安な状態。

それでも、やらなきゃならないっていう今の状況。

もし壊れちゃって帰って来れなくなったらって考えると、秋斗君一人で行かせるなんてできるわけがない。


「秋斗君、昨日浅井先生にも言ってくれたじゃない。

私達、いつも一緒にいますって。

私も一緒に行く。私が困ってた時に何度も助けてくれたじゃない。

私も秋斗君のために何かしたいから。・・だからっ」

「さくらちゃん」

秋斗君はそっと私の手を握った。どきりと胸が弾む。


「ありがとう。・・うん。正直一人じゃ不安だから、一緒に行ってもらいたい。

さくらちゃんと一緒だと、なんでもできそうな気になるんだ」

そう言ってにっこり笑ってから、きゅっと表情を引き締めた。

繋ぐ手にぎゅっと力がこもる。

「行こうか」

「うん」


ボタンを押す。

光に包まれてふわりと身体が浮く、空を飛んでいるような無重力感。

久しぶりな感じ。



目を開けると、秋斗君の部屋じゃなくて、廊下の端にいた。

あっけなくタイムスリップに成功したみたい。ほっと胸をなでおろした。

「・・ここ、過去なの?」

秋斗君は辺りをきょろきょろ見回した。

「うん。自分の部屋に日付とか確認できるものはある? 秋斗君」

「あ、デジタルの時計、カレンダーも出てる」


すぐ横の部屋に入って、机の上の時計を見る。

「間違いない。成功だね。すぐに父さんの部屋に行こう。あっちだ」

誰もいないみたいだけどなるべくそおっと廊下を渡って、反対側の部屋にあるっていうお父さんの部屋に入り、机の上に封筒を置いて、部屋を出た。

あっと言う間に目的は達成。


「これで上手く行くと良いんだけど」

「大丈夫よ。お父さんはきっと秋斗君の気持ち、受け取ってくれる。信じよ」

「よし、早く戻ろう」


すぐに廊下のさっきのところに来て、タイムマシンを取り出す。

「あっ!!」

叫んだのは二人同時だった。


液晶はちょうど電池の切れたデジタルの時計のように真っ暗。

どのボタンを押してみても何の反応もない。


予測していた最悪の事態だ。

使ってなかった間ずっと点滅してたから、もっとあの状態が続くと思ってたのによりによって今、切れるなんて。


「ど、どどっど、どうしよう?」

私はもうパニックパニックで、タイムマシンを持つ手もぶるぶる震えた。

「た、叩いたら直るかも?」

「落ち着いて、さくらちゃん」

秋斗君はタイムマシンごと私の手をぎゅっと掴んだ。


「大丈夫だから、落ち着いて。

おれの経験では、壊れた電化製品は叩いてもまず直らない。

ちょっと、部屋に入ってよく見てみよう」


いつもの秋斗君の部屋で座布団に座る。当たり前だけど部屋には特に大きな変化はなくて、私はいくらか落ち着いた。いつも遊びに来ている秋斗君の部屋だ。


私は何度かボタンを押したり、軽く振ったりしてみるけど、液晶は真っ暗なまま。

秋斗君は、腕を組んで、視線は窓の外に向けている。


「・・・さくらちゃん。タイムマシンを拾ったのはいつ?」

「あ。五月の終わりごろ・・」 私はハッとした。

そう、今、この日ならまだ拾ってない。

私がタイムマ シンを拾ったあの場所に行けば、もしかしてまだあそこにあるかもしれない。

「拾ったの、私の家のすぐ近くなの。行ってみよう!」

「ああ」

二人で勢いよく立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ