第五十八話
長らくお待たせした割りに短くてごめんなさい。
武威 馬騰の部屋
「もう病の恐れは無くなったな。」
そうつぶやきながら将は自身の腕枕で眠る馬騰の髪を撫でた、
「うん?」
くすぐったそうに声を出す馬騰、
「起こしちゃったか。」
「ふふふ、平気よ、それにしても将とこんな関係になるとはね、一年前には思っても見なかったわ。」
そう、将がこの世界にやってきてからそろそろ一年がたとうとしていた、
この一年でいろいろとあった、
龐徳や韓遂、八武衆とも解り合えた、
将は武威と天水との間を行き来しそのどちらの将兵にも稽古をつけてきた、
その甲斐あってか武威と天水の間で将兵や文官の交流も進み、
当然結果として民の交流も進むようになった、
そうなれば必然的に街道は整備されるようになるために交通の便も良くなった、
農業改革の甲斐もあり今年の収穫は去年よりも良かったそうだ、
本格的な結果が出るのは来年以降だろうがそれでも先行きは明るく見えた。
しかし最近馬騰の病が発覚した、
五斗米道の針でも治らぬと言う病だった、
将の知る五斗米道という名の宗教とはまったく違い五斗米道と言う名の医療集団だった、
発音と医者が暑苦しかったのは今でも忘れない、
馬騰の病を病魔と呼びそれが治せない事を知ると膝から崩れ落ち両手を床に付き項垂れていた、
インターネットスラングで見たorzを実際に見ることになるとは思わなかった将であった、
そして将は馬騰に話を持ちかける、
「病を治すために俺に抱かれる覚悟はあるか?」
と、
房中術に【玉女採戦】と呼ばれる技がある、
将の氣を分けることで馬騰の病を治すという方法であった、
馬騰はこれを呑み将と馬騰の今の関係が始まった、
「やっぱり行くのかい?」
馬騰は将の顔を見る、
「ああ、俺は自分の目でこの大陸を見て回ってこようと思う、時間は掛かるかも知れないが帰ってくるさ。」
「心配はしていないさ、でも、あの娘達には?」
「まだ言ってはいないが薄々気がついているとは思う、そして、誰も連れて行かない。」
「良いよ、あの娘達は私が面倒見るさ、将は好きに世界を見ておいで。」
翌日将は武威を旅立つ、
「とりあえずは月ちゃん達に挨拶をして、南回りで益州から荊州を回って反時計回りに帰ってくるか。」
こうして将の長い旅が始まった。
打ち切りっぽいですが終わりじゃないですよ。




