第四話
PiPiPiPiPiPiPiPi…
「ああ、朝か。」
デバイスの目覚ましを止めて周りをみれば三人はまだ夢の中のようだ、
朝6時、これが俺の通常の起床時間、
15分ほどかけてストレッチをこなし30分ほど型をこなす、
最後に15分ほど氣を練り氣の総量を増やすイメージを膨らまして朝のトレーニングを終わりにする。
ちょうどその頃三人も起き始めたようで口々に「おはよう」と言いながらテントから出てきた、
丸薬のみという口寂しい食事を終えると俺はテントを片付ける、
「やっぱり封剣師って便利だね。」と江井が言うと、
尾井や椎井も羨ましいと言っていた。
「普通はこんな物なんか契約しないんだぜ、俺たちくらいの歳なら普通に鍛えてきた連中でも契約できる重量は体重の10分の1くらいが良い所で、卒業するまでになんとか体重と同じくらいまでの量を契約できるように氣を広げるんだから。」
「じゃあSランクを一人でこなせるような人だとどれくらいなの?」と椎井が聞いてくる。
「人に因りけりだね、大体体重の10倍くらいで頭打ちに成る人のほうが多いらしい、後は武器に氣を乗せて攻撃力の底上げに回す人のほうが多いって言う話だ、そもそも氣の総量の限界を迎える人のほうが多いから最大契約量がどれくらいかはまだ解っていないらしい。」
「じゃぁ草薙はどれくらい契約できるんだ?」と尾井が聞いてくる。
「解らない。」
「「「え?」」」
「中等部の時に調子に乗っていろいろ契約したからもうどれくらい契約したかなんて覚えてないんだ。」
「でも契約したものが失われるとそこに費やした氣も無駄になっちゃうのに大丈夫なの?」と椎井。
「ああ、俺の氣力は君らと比べても少なくても10桁は違うからな。」
(実際には十数桁ってところだろうけどな。)
「「「!!!」」」
「ちょっ草な「お客さんが来たようだぜ。」」江井が質問するのを阻むようにデバイスに反応がある。
索敵範囲の100mに敵が引っ掛かったようだ、
「ちょっと大きめだな恐らくBランクに限りなく近い、C+って所だな、これはかなり危険だぞ。」
そう言いつつ先へと進む俺の後についてくる三人。
「戦れるの?」と聞いてくる椎井に対して、
「戦るしかないだろう」と答えると江井と尾井も最もだと相槌を打つ。
「おそらく向こうも気が付いている、俺が正面、江井と尾井はいつも通り左右から挟みこむように、椎井は補助として全体を見回してデバイスで指示を頼む。」
敵と対峙して驚いたのは相手は無機物の集合体であったこと、
テレビ・ビデオデッキ・ビデオカメラ・冷蔵庫・パソコン・電子レンジ等のいわゆる家電製品が一塊になり一つの人型を形成していたからだ、
氣の大きさから恨みの強い霊体であろうとは思っていたがどうやら九十九神の成り損ないのようだ。
「草薙君こいつ鈍重そうだから僕ら二人でも行けそうだよ。」と江井。
「先ずは俺達に任せてくれよ。」と尾井。
「何言っているんだっ!!あれは俺でも手に負えないかもしれないレベルだぞっ!!」
「だからっていつまでも草薙君に頼りっぱなしって訳にいかないじゃないっ!!」と椎井までも言い出した。
「お前たちが何を考えているのかは何となく解かるっ…がっ…こいつは厄介過ぎるっ!!」
「だからっ!!今回だけは俺の指示に従って欲しいっ!!」
「けどっ」と江井が続けるのを遮るように尾井が、
「いいよ、わかった…けれども、次はたとえSSSだったとしても俺たちに任せてもらうからな。」
「サンキュー、じゃぁ今まで通りだ、俺が正面、二人は側面から…ただし今回俺は囮役だと思ってくれ、二人がメインで戦ってくれよ、止めも任せたからな。」
「草な」
「おっと、俺は別にお前らの実力は信じているんだ、俺の期待を裏切らないでくれよ、それと不甲斐なかったら俺が躊躇なく狩るぜ、椎井っ!いつも通りに指示を頼むっ!」
「了解、いつも通り江井くんは左後方から、尾井くんは右後方から、正面の草薙くんは今回は妖魔の攻撃を躱しながら正面を常に維持、妖魔の向きが変わっても三人は今言った位置取りをして。」
「「「了解っ!!!」」」
確かに江井が言っていたようにこいつは鈍重だった、
その隙を付くように攻撃を当てていく二人、
(とは言え俺が囮をやっていなければさすがに三人では無理だったろうな。)
二人は側面や後方から足元を狙っている、
おそらくもう少しで足元が壊れるだろう、
そうすれば時間はかかるかもしれないが破壊ることはできるだろう。
そんなことを考えているその瞬間に妖魔の足が二人によって壊された、
自重に対して足が太くないというのもこの手の合体系九十九神にはあることだった。
(この手の妖魔によくあるのは最後の自爆による被害だな。)
「あとは破壊するのみとはいえ気をつけるんだっ!!」
しばらく攻撃を続けると敵はほとんどが壊れだし徐々にその動きが緩慢になっていく、
(止めまではもう少しだが最初に感じたほどの脅威を感じないのはどういうことだ?嫌な予感がする。)
ほどなく敵は動かなくなる、
(これで終わりの筈がないんだが。)
三人が俺の周りに集まってくる、
「なんとか狩れたね。」と椎井。
江井と尾井も頷いている。
「安心するのはまだ早い、確かに動かなくなったがまだ妖魂核が現れていない。」
「つまりまだ終わっていないということだね。」と江井。
「それでもこれで終わりだろっ!!」と尾井が攻撃をする。
その攻撃で決まると思っていたが突如敵は動き出した、
(拙いっ!!)
「どけっ!!」と俺は三人に体当たりをして敵の正面からはじき飛ばすと同時に氣弾を飛ばす。
氣弾を飛ばすと同時に敵の部品の一部が発光するのが見えた。
先日PCが逝かれデータの吸出しをなんとか終わらせました、
HDD自体はメイン・サブ共に生きていましたが逝っていると思っていたメインの方のHDDではなく生きていると思われていたサブHDDの方が影響を与えていたためにPCが起動しなくなるという事態となっていました。
書き途中であった今話もデータ自体は生きていたためになんとか投稿することができました、
変なところで引いている感じですが第一話に続くのに不自然ではないようにしたつもりです、
次話で原作キャラが出てくるつもりwです。
…出せるよな。