第四十五話
第十四試合
「第十四試合、青龍の門より草薙っ!!白虎の門より張遼っ!!」
(あの紫髪が張遼だったとはね、それにしてもなんだあの格好は?)
先日屋台で出会った時にはそれなりの格好であった張遼ではあったが今日はいつものサラシを巻いて袴を穿き、上には羽織を引っ掛け、足元は下駄という格好であった。
確かに彼女を知らない人間からすれば一瞬引くことだろう、
「兄さんが草薙やったんか。」
(関西弁かよっ!!)
将は心の中で突っ込んだ、
「兄さん華雄を倒したんやって?ウチも賭けのことで話があんねん。」
「どうぞ。」
「ウチが勝ったら華雄との賭け無かったことにして欲しいねん。」
「あんたと華雄とどんな接点が?」
将は張遼についてこの時期なら丁原の配下であろうと思っていたのだ、
「あん?ウチも董卓軍やもん。」
「何だと?」
(とするとあの時一緒にいた三人も董卓軍の面子か?)
「そんでな、兄さんが勝ったら将軍として推挙したる、ついでにウチの事も貰ってくれても構わへんで、受けてくれるんやろ?」
張遼がニヤリと笑う、
「申し出を受けるかどうかはともかくとしてその賭けは受けてやるよ。」
「よっしゃ、交渉成立や。」
「双方依存はないな?」
「「ああっ!!」」
「試合始めっ!!」
「神速の張文遠の槍捌き見せたらァっ!!でぇええいっ!!」
張遼が青龍偃月刀を振りかぶり一気に横殴りに振るう、
将は屈んで交わし張遼の顔面目掛けて一気に棒を突き出す、
「チィっ!」
張遼は咄嗟に仰け反ることでその棒を躱す、
将は張遼の顎をつかみ転ばせる、
張遼は起き上がりながら
「へっへっ、ウチの槍ぃ躱すやなんて兄さん、やるやないか。」
「そっちこそ俺の棒をよく避けたよ。」
将と張遼はニヤリと笑う、
「もっと楽しませてくれるんやろうなぁ?」
先程よりも速く槍が振るわれる、
将はそれを数合受け止めると不意にバックステップで躱し始める、
「オラっオラっ!!そんなんじゃ後ろがないでぇっ!!」
ブンブンと偃月刀を振り回す張遼、
大きな一撃を振り切った後偃月刀の峰に将の棒が襲いかかる、
「なっ!!」
体勢を崩した張遼は将を一瞬見失った、
後ろに回りこまれたと判断する張遼、
ならば返す刀を振り抜くだけだ、
奇しくも溜めた形になった一撃を振り抜くっ!!
「でぇぇぇーーーーいっ!!」
およそ四分の三ほど回転することとなったがその視界に将の姿はどこにもなかった、
「どこやっ!!」
きょろきょろと見回す張遼、
「後ろ以外にないだろう?」
後ろから棒を突きつける将、
「まだやるかい?」
「あったりまえじゃボケぇっ!!」
言いながら偃月刀を振るう張遼、
「クソッ逃げるなぁ!!」
将を追いながらブンブンと偃月刀を振るう張遼、
気がつけば武舞台のほぼ中央まで戻ってきていた、
「どうした?」
今まで振るってきた偃月刀の手を止めた張遼に将が問いかける、
「ウチの負けや、今のウチでは勝たれへん、実力差がありすぎる。」
そう言って張遼は両手を挙げた、
「勝者っ草薙っ!!」




