第四十三話
第十二試合
将は今までの試合の誰よりも大きく間合いをとってその槍を躱していた、
現在の対戦相手は翆、
将の今までの試合における回避は全て紙一重である、
それが何故この試合では大きく回避しているのか?
翠が氣の扱いに慣れてきたのが大きい、
槍先数cmの所まで氣が伸びてきているのを将は感じていた、
今はまだ刃物というよりは気の塊程度でしかないが鍛錬を重ねれば不可視の刃として驚異の存在となるはずだ、
「ホラッホラッホラッ!!」
翠が調子に乗って連続で突きを繰り出し将を武舞台の端まで追い詰める、
場外に落とせば自分の勝ちである、
しかし突きでは躱される恐れがある為大きく横殴りに槍を振るう、
「だっしゃらー!!」
普通であればこの選択は大きな間違いではないはずであった、
そう、相手が普通であれば。
相手は普通ではない、
ガキンッ!!
将は棒で翠の槍を受け止める、
「甘ぇよっ!!人工甘味料より100倍も甘ぇよっ!!」
人工甘味料なんて言われても翠は理解できていなかったが自分の攻撃が甘かったことだけは理解した、
「おらっ!!」
将が翠の槍を受け止めたまま翠をそのまま押す、
鍔迫り合いのような体制のまま武舞台の中央まで押し戻される、
翠を押し弾き飛ばすと、
「ほら、もう一丁、かかってきな。」
試合というよりも稽古だった。




