第十九話
今回はAIとの会話なので描写が少ないです、
っていつも少ないですね、
つまり通常運転ということです、
ということはいつも通り短いということでもあります、
そんなこんなですがどうぞ。
自室で今後必要なことを書き込みながら、
「これでAIと話しているところを見つかってもなんとかなるな。」
「完全ではないですが、それでも誤魔化しは聞くでしょう。」
「えーと、さっき言っていたノーフォーク農法って何?」
「大麦→クローバー→小麦→かぶの順番に4年周期で行う四輪作法です、農業革命と呼ばれた画期的な方法ですよ。」
「それってさ、大麦・クローバー・小麦・かぶを4面で作ってそれを回すっていうのはダメなのか?」
「さぁ?私はそんなことまで考えたことはありませんから解りませんが、おそらく大丈夫だと思いますけど、とりあえずやってみたらいいのではないですか?」
「まず4面でやってみて1年目に成功したらそれを回していけばいいとして、クローバーって農作物に入るんだな、初めて知ったよ、で、ついでにクローバーって食うのか?それとも何かの為に作る農作物なのか?」
「えーと、葉は茹でて食用にできるようです、花穂は強壮剤、痛風の体質改善薬などとして用いられていたらしいですし、解熱・鎮痛効果もあると言われているそうです、でも基本的には蜂蜜をとるための蜜源植物だそうですよ、クローバーの蜂蜜は世界で最も生産量が多いそうです。」
「とすると養蜂もやらないと意味がないんじゃないか?」
「でしょうね、けれども古代エジプトでも養蜂をやっていたらしいですから出来ると思いますよ。」
養蜂の資料がモニターに映し出され将はそれを記入していく、
「砂糖は売ってなかったから代わりの糖分はどうしたらいいと思う?蜂蜜が取れるようになるのだってもう少し先になるだろう?サトウキビなんて手に入らないだろうし。」
「養蜂から取れる蜂蜜は確かにもう少し先になりますね、サトウキビについては熱帯・亜熱帯地域での栽培ですからこの地域では不可能でしょう、それよりも市場に甜菜が売られていましたから甜菜から砂糖を作ってみたほうがいいと思いますよ、この時代ではまだ甜菜は葉を食用にするだけですから根部はまだ小さいでしょうがそれでもやってみないことにはなんとも言えないでしょう。」
AIは甜菜の育て方や甜菜糖の作り方を表示する、
「今日賊を倒した森に楓や胡桃や樺の木がありましたよね、あれからシロップを取ったらどうでしょう?」
「そんなのあった?あったと言われても木なんてほとんど解らないんだよな。」
今日の森がモニターに映し出され、木毎に名前を映し出す、
「これだけの量がありますからそれなりにシロップも作れると思います。」
「あとは日本人といえば味噌と醤油だな、手伝ったこともあるからある程度は覚えているから良いとしても材料がなぁ…」
「貴男は毎年手伝いに行っていながら【ある程度】とは一体どういうことですか?味噌・醤油・お神酒作りは【草薙家四ケンノウ】にとって【三種の神事】ではありませんかっ!!それを貴男という人は…」
拙いっ、怒らせた、将は思ったがもう遅い、
AIは将のために作られた専用のAIだ、
基本的には全てにおいて将を優先する、
しかし最優先されるべきものとして【日本】【草薙家】この二つの繁栄であり存続こそがプログラムされている、
このことに反しない限りは将の無茶な要求にも答えるのがAIだった、
こんな時代に来たものだから最優先は将となっていて当たり前だったのだから失念していたのだ、
物を食べられぬ身のAIであるが故に殊更に四ケンノウの三種の神事を大切にしていた、ということを。
「すまん、物心ついた時から手伝ってきたんだ忘れちゃいないよ、それでもこれからは少しくらいの軽口は許してくれよ、俺たちは恐らくもう二度とあの時代には帰れないんだろうからさ…」
今度はAIの方が【しまった】と思う、
自分と将の付き合いの長さからつい小言が出てしまう、
将がいくら多くの大人達と触れ合い数多の妖魔を屠ってきた強者とはいっても、
本来の中身はまだまだ10代半ばの少年である、
小説・漫画・ゲームなどでタイムスリップ等の空想物を読み自分も経験することがあったならば、
等と想像したことはあるかもしれないが実際に体験すること等は【無い】と思っていただろうし自分だってそんな事はあるはずは【無い】ことだと思っていた、
所詮は作り話の世界でしかないと思っていたのである、
それが自分達の身に起こったのだ、
父母や親戚、友人と一生の別れをする間もなく別れたのだ、
一切の連絡手段も永遠に取れないような状況に置かれたのだ、
本来であれば寂しく悲しく泣いていてもおかしくはない自体だろう、
いくら幼少より戦士の定めとして常在戦場の心得を叩き込まれ、
いつ死に別れる事があってもおかしくはないとはいえ感情を捨て去った訳ではないのだ、
その上自分を頼りにする人間を5人も抱え込み、
更には自分の知識や力を狙われている状況だ、
如何に神経が図太かろうとも気の抜くところぐらいは持ちたいだろう、
将にとっては自分こそが唯一同じ時を超えてきた者同士で合ったはずなのに、
だ、
そこまで将の事を思ってやれなかった、
いや、
あえて目を背けていた自分に気がつき自分の不甲斐なさを思い知ったのだ、
何の為の専用のAIなのか、
諌めるばかりが忠ではないだろうに、
そう思ったAIだった、
そして、
「将、この部屋はほかの5人の部屋とも離れていますし誰も近づいてくるものは居ません、私も今日は落ちます、おやすみなさい。」
将を一人にさせてやろう、
自分が居ては気拙いことだってあるはずだ、
そう思い自分は落ちることにした。
「ああ、おやすみ。」
将も理解した、
AIが気遣ってくれたことを、
物心ついた時から既に居たAI、
幼馴染であり、
戦友であり、
家族であり、
姉であり、
そして
恋人であり、
夫婦であり、
まさに一心同体であるとさえ言える存在であった、
そんなAIに感謝すると共に、
もう二度と会えぬであろう父母や親戚、友人のことを思い、
むせび泣いた。
実際には将とAIの関係は恋人でも夫婦でもありません、
しかし将にとってそれくらい大切な存在であるということ、
他に適切な表現が見当たらないということもあってこういった表現となりました、
【俺の嫁は二次元だぜ】
と言ったことではないので安心?してください。
では今回はこれにて。




