第十話
途中で何回か書き直し、
まぁなんとか書き上がりました、
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
(速いっ。)
「殺ったっ!!」
楊奉の声が響き渡る。
その瞬間誰もが【楊奉の振るった大斧が将を脳天から真っ二つに切り裂いたのだ】と理解した。
だがそこで目に映ったものは…
将の頭上に刺さった大斧を掴んでいる楊奉と刀を抜いてはいるが両手をだらりと下げている将の姿であり、
そして…
その将の頭からは血が一滴も流れていないという信じられないものであった。
(((((一体何が起きているのか?)))))
その場にいた全ての者が疑問しか浮かばなかった。
(将が殺られちゃったのかと思った、しかし血は流れていないけれども斧は将に刺さっているように見える、あれは一体どういうことなんだ?)
(将さんがあの大男の一撃で殺られちゃったと思った、けれども大斧は将さんの頭に刺さっているだけのように見える、でも血は流れていない、一体何がどうなっているんだろう?)
(((親分の一撃が決まったはずだ、けれどもあのガキは真っ二つになってねぇ、それどころか血の一滴も流れていねぇって一体どういうことなんだっ!!化け物がいる!!!)))
(俺様の一撃が決まったはずだ、なぜこのガキは死んでねぇ?俺様の大斧がちっとも動かねぇのはどういうことだ?)
(あの楊奉とかいう賊の一撃は将に決まったと思った、しかし大斧が将に当たったと思った瞬間から楊奉は大斧を1mmも動かせていない、一体?…もしやこれが先ほど将の言っていた封剣師とやらの力なのか?)
馬騰が感じたとおり事実これは封剣師の技である、
本来武具との契約は時間をかけて行われるものでありその武具のランクにもよるが最低でも数分を要する、
そして武具との契約に消費した氣は使い捨てとなる(例えば契約するのに氣を30消費したとすると消費されるのは70/100ではなく70/70となり最大氣力自体が減ることとなる。)ため封剣師は氣力の底上げに余念がないのだが人にはそれぞれ限界値があり本来限界を超えるのは至難の技であるし、それこそ【死難の業】とも呼ばれるほどに修行をするのが常である、
だが【ある程度】までであれば誰でも限界を超えることは可能なのだ、そしてそれは【ある程度】であればそんなに難しいことではない、
そして将が一瞬の内に契約した技こそが通常ではありえない、いや行えない技の一つ【瞬間契約】である、通常契約に必要になる10倍以上の氣を消費することで行えるのである、なぜ行えないのか?それは契約に使用した氣力も限界値より引かれるため(例えば先ほどの氣を30消費した武器で言えば限界値が1000の者であれば限界値は970まで下がることになるので瞬間契約をすれば700まで限界値が下がる事となる。)自分の限界値と相手の武具のランク、どれほどの氣力を消費するのかそこまで計算できていなければおいそれと行える類の技でない(緊急時に行う者もいるが下手をすれば氣力不足で死を招く。)ということが解っていただけるだろう。
戦闘時にも氣力は使うのであるから、それこそ氣力はゲームで言えばMPよりもHPに近いと考えたほうがいいだろう。
「うん、確かにD+にしちゃ速かった、楊奉、あんたを見くびっていた、だが世の中には上には上がいる、俺でも越えられない壁はいくらでもある、なぜ俺があんたの攻撃を躱さなかったのか解るかい?」
(何を言っているんだこのガキは?上には上?【躱せなかった】ではなく躱さなかったと言わなかったか?)
「俺の実力を知って置いて貰う為だ。」
(実力を知って置いて貰う?俺にか?違うっ!誰だ?まだ他に誰かがいるということか?)
「手前ぇこの俺様の大斧に何をしやがった!!」
「知らなくて良いことだ、そして冥土の土産に教えてやるよ、俺の名前は草薙将、お前を地獄に導く者の名だ。」
そう言うと将は大斧をしまう、そして、
「あばよ。」
いつのまに握っていたのだろう左手の刀印を一閃させた、
楊奉は首を刎ねられた。
「「「「「おっ親分がーっ!!」」」」」
向かってくる者、逃げ出そうとする者それは様々だった、
しかし今見える範囲のものは全て賊しかいない、
そう将は確信していたしAIもそう確認していた。
「「敵氣認識完了、我に仇なす者に絶望と絶命の刃をっ!!【氣刃斬撃】!!」」
見渡せる範囲での賊は全て首を刎ねられていた、
あと20人ほどが洞窟に隠れているのは判っている。
「おいっ!!残りの連中出てこいよっ!!」
「「「「「新親分バンザーイ!バンザーイっ!!」」」」」
「「「「「草薙将様バンザーイ!バンザーイっ!!」」」」」
「お前ら何を言っているんだ?」
そう将が訝しむと、
賊たちは口々に、
「貴男は俺たちの新しい親分ですよ、その為にここに来たんでしょ?」
「前にいた連中を追っ払って自分がそこに居座る、よくあることです。」
「だから俺たちは新しい親分についていきます。」
「前の親分が手をつけていない女もいますから是非楽しんでください。」
「その言い方だと手をつけたのもいるってことか?」
「あっ、いいえ、今回の女どもは売る予定だったので手をつけていません。」
「病気やケガなんかしたのはいるのか?」
「そんな女売れませんからね、今回の女は問題ありませんよ。」
「そうか、解った、じゃぁまず5人は俺が始末したこいつらの武器や防具、服や銭全てを剥いで裸にさせろ、あと5人は中から武器や防具、銭や食料を全部持って来い、残りの10人でこの死体を埋める穴を掘れ。」
「女はどうしますか?」
「馬鹿野郎っ!!こんな汚ねぇ死体があるところで抱けるかっ!!まずはこれをお前らがさっさと始末しろっ!!ああ、言っておくが一番作業の出来が悪い奴は一番下っ端だ、そして一番仕事が出来た奴は一番の子分にしてやるっ!!解ったか?」
「「「「「解りましたっ!!」」」」」
「じゃぁさっさと作業始めろっ!!」
「「「「「ハイッ!!」」」」」
【この賊共の命を助けるのですか?Y/N】
【N】(決まってるだろっ!!)
【安心しました、それならば三人の方にも合図をして置いたほうがよろしいのでは?】
「だな。」
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side三人
「母さま、将の奴まさか賊の頭になるつもりなんじゃ?」
「お姉様ってば将さんをそんな風に見てたの?」
「そんな訳じゃないけど…」
「翠、蒲公英、良いかい、二人ともよーくお聞き、自分が信じた男だったらとことん信じてあげなさい、疑うということは自分の信じた目を疑うということよ、涼州の女の心意気だ、解った?」
「うん、わかったよ。」
「わかったけどさ、でもさ、母さま、それって誰の言葉なんだ?」
「ふふーん、聞いて驚きな、…私だよ。」
その言葉にガクンとズッコケる二人だった。
「まぁまぁ二人とも様子を見ましょう、【後で話す】って言っていたのだから聞きたいことがあれば後で聞きましょう、ほら向こうを見てごらんなさい。」
馬騰に促され二人は将の方を見る、
唇に人差し指を一本立てていたのだ。
(しーっ。)
三人は頷いていた。
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side将
「理解してくれたようだな。」
「そのようですね。」
「親分は手伝ってくれないんですか?」
「お前らの力量を調べて序列を作るための作業だ、俺が手伝う必要性はない、解ったか?」
「「「「「ヘイっ!!」」」」」
(とは言ったものの所詮は手掘り、賊一人分が約1立米(1m×1m×1mつまり1立法メートルのこと)として200人で200立米、一人工2立米としたって百人で一日掛り。)
「そりゃ終わらないよな。」
「やっと気づいたんですか?」
「解っていたのなら教えてくれてもいいだろうに。」
「自分で気づくことも大切なんですよ。」
(身ぐるみを剥ぐのも物資を出すのも終わっているみたいだな。)
「おいっ、お前たち一箇所に集まれ。」
「「「「「ヘイっ!!」」」」」
「お前たちよく頑張った、俺からの褒美だ、一人一人に渡すから目を瞑って手を前に出せ、快く受け取ってくれ。」
「「「「「ヘイっ!!」」」」」
そう言うと賊たちは目を瞑る。
そして俺は氣刃斬撃で残りの賊の命を狩り獲った。
三人を呼ぶと馬騰さんが声をかけてくる、
「将、賊の頭は楊奉と言っていたわね、そいつは賞金首のはずよ、値段までは覚えていないけれどもね。」
「とりあえずこの死体の処理を先にやらせてもらいますよ、話はそのあとでね。」
「ちょ、将、賊に捉えられている人がいるって言ってたじゃんか、その人たちを放って置くっていうのかよっ!」
と馬超、
「そりゃそうだろう、こいつらをまた燃やすんだぞ、そんなもん見せない方がいいに決まっているし、説明を求められるのも面倒だ。」
「じゃぁ安心させるためにたんぽぽたちが話し相手をしていても良い?」
「いいけれども【助けてくれ】って言われるのは解りきっているだろう?処理が終わるまでの間どういう説明をするつもりだ?」
「あ、そか、じゃぁどうするの?」
「ある程度不安な思いはするだろうが、事が終わってから助けに行ったほうが余計な説明する必要もないし面倒事が起きなくて済む、解ったら少しだけ待ってて欲しい。」
そう言いながら処理を進める。
發覇で今度は6m真っ角の大きさの穴が入るほどの穴を開け、
そこに賊の死体を放り込んでいき、
豪華焔で燃やし尽くし、
最後にブルドーザーで埋め戻した。
「さて、中にいる人を助ける前に…聞きたい事とかあるんでしょ?説明する人数は少ないほうがいい、心苦しいがもう少しだけ我慢をしてもらおう。」
特に馬超は助けるのを優先させたそうだったが我慢させた。
「将、さっきの賊の首を刎ねた【指空斬】だっけ?あれと【おーら・すらっしゃー】っていうのは何だい?」
と馬騰さん、
「どっちも氣で作った刃で、【指空斬】は斬りたいと思った場所に氣で作った刃を当てるように想像して使う技、【氣刃斬撃】は敵だと認識した対象の氣、これを敵氣って言うんだけど、敵氣を見極めて対象を斬り裂く技。」
「さっき将が殺られたと思った時に大斧が将の頭に刺さって止まったのは一体なんなんだ?」
「そうそう、あれってば一体どういうことなの?」
「あれが封剣師の技で瞬間契約っていう技だ、よっぽどの緊急時以外にあれを使う人間なんていないんだけどね。」
「なんでそんな技を態々私たちに見せたんだい?」
「俺の実力を知っておいて貰う為、交渉の材料とするためかな?」
「交渉…ねぇ、何が欲しいのかしら?」
「俺が賊から手に入れた物を、武具、食料、銭、馬といったところかな?」
「良いでしょう、そもそも貴男が手に入れたものよ、持ち主が誰か解らない以上それを持ち主に返すためと言って取り上げるような真似は出来ないわ、逆に質問、貴男はこれをどうするつもり?このあと一人旅をするにしてもあまりにも大荷物すぎて却って賊に狙われるわよ、それともこの大荷物の全てを契約するつもり?」
「なぁ将はこれからどうするつもりなんだ?」
「うん、それが何も決まっていないし、考えてもいない、とりあえず喰うに困らないのと銭を手に入れる術は見つけられたとは思っているから、武威の街で宿でもとってそれから考えようと思っているんだが。」
「それならばうちに来なさい。」
「それって馬騰さんに仕えるって事ですか?」
「それでもいいけれども、まずはこの国のことを勉強する必要があるでしょ、旅をするにしても誰かに仕えるにしても知識がなければこれから色々と面倒事に巻き込まれるわよ、」
「しかしそれでは馬騰さんにお世話になりっぱなしということになるのでは?しかも他に仕えるとかそれで良いんですか?」
「何を言っているの?うちにいる間は貴男がうちで出来る事をやらせるに決まっているでしょ、それに貴男は私たちには無い知識を持っている、貴男はそれを提供する、私は住むところとそれに見合った報酬を出す、どうかしら?」
「馬騰さんの言葉に甘えても良いんですか?」
「ええ、どうぞいらっしゃいな。」
「では厄介にならせて頂きます、姓は草薙、名は将、字や真名はありません、以後は将とお呼びください。」
「ええ、わかったわ将、私の真名は翡翠、以後は馬騰さんではなく【翡翠さん】て呼んで頂戴。」
「では謹んで真名をお預かりいたします、翡翠様、今後ともよろしくお願いいたします。」
「こら、様ではなく【さん】でしょ?」
「翡翠さん、今後ともよろしくお願いいたします。」
「うん、よろしい。」
馬騰は嬉しそうに頷いていた。
「たんぽぽもー、将さん、たんぽぽの真名は蒲公英、たんぽぽって呼んでね。」
「蒲公英の真名しっかり預かったよ、これから宜しくね、たんぽぽ。」
「うん。」
元気に頷くたんぽぽだった。
「お姉様は?」
「う、うるさいな、あたしだって将の名前を呼んでるんだ、預けるさ、あたしの真名は翠、これから宜しくな。」
「翠の真名、大切に預からせてもらう、これから宜しくね、翠。」
「あ、ああ。」
少し頬を赤くする翠。
「あー、お姉様ったら顔真っ赤にしちゃってるー。」
「あらあらどうしたのかねぇこの子は。」
と二人がからかうと。
「★■※@▼●∀」
さらに顔を赤くして何を言っているのか解らない翠ができました。
「では、俺は中にいる人を助けてきますので。」
そう言って洞窟の中に入って行く将を見つめる三人だった。
今回は妄想&ご都合主義&オリジナル設定が暴走した感じです。
馬騰さんの真名は翡翠です、
翠の母親と言えば翡翠としか浮かびませんでした、
いろいろ考えてみましたが無理、
これしか斜悪の中でしっくりくるものはありませんでした、
そもそも原作(真・恋姫†無双の方ね)で馬騰が母親になった時に翡翠と思い込んでしまったので脳内変更は出来ませんでした。
次回これで武威に行けると思います、
行けるといいなぁ。
では次回。




