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三上スピンオフ 第4部 なんとなくは外れない

本編を読んでいただいている方、ありがとうございます。

初見の方は、この作品単体でも読めますが、本編と合わせると少しだけ見え方が変わると思います。

本作は、本編に登場する「三上」という男のスピンオフです。

未来が“なんとなく分かる”男が、それでも流れに身を任せて生きたらどうなるのか――そんな話になっています。

少しくだらなくて、少しバカで、でも最後はちゃんと残る。

そんな温度感で書いています。

気楽に読んでもらえれば嬉しいです。



夜。



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風が少しだけ強い。



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街灯の下。



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三上は、立ち止まる。



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(……ここだな)



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分かっている場所。



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分かっている時間。



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未来を見る。



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一本。



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それしかない。



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(……ほんと、つまんねえな)



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少しだけ笑う。



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足音。



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一人じゃない。



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二人。

三人。



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気配で分かる。



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(……来たな)



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逃げる未来は、ない。



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思い出す。



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藤原美桜。



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「なんで、いつもいるの?」



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(……ズレてんだよな、あいつ)



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普通は流される。



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空気に。



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でも。



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あいつは流れない。



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(だから、残る)



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そして。



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(三上が関わった)



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(だから、消えない)



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理解する。



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「……そりゃ、狙われるか」



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足音が、近づく。



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「お前だろ」



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声。



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理由はない。



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でも。



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確信だけある。



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(まあ、いいか)



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一歩、前に出る。



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「悪いな」



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誰に言ったか分からない。



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(こっちにしとくわ)



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選ぶ。



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音。



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衝撃。



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身体が、崩れる。



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地面。



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空が見える。



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(……外したな)



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でも。



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(ちゃんと選んだ)



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痛みは、もうない。



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意識が、遠くなる。



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その時。



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ふと。



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明るくなる。



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笑い声。



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女たち。



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たくさんいる。



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顔は、ぼやけている。



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でも。



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全部、知ってる気がする。



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「相変わらずだね」



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声。



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ゆき。



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三上は、少しだけ笑う。



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「悪くねえだろ」



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ゆきが、近づく。



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「ご褒美にさ」



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少しだけ、間。



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「私の本名、教えてあげる」



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空気が、静かになる。



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「私の本名は——」



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三上が、少しだけ笑う。



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「気付いてた」



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ゆきが、止まる。



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「そっか」



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少しだけ、間。



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「じゃあ、いいや」



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三上は、軽く手を振る。



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「じゃーな、ゆき」



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ゆきが、ほんの少しだけ笑う。



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「うん」



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「らしいよ」



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光が、消える。



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静かになる。



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朝。



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何もない場所。



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風だけが吹く。



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三上はいない。



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どこにもいない。



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ただ。



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少しだけ。



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“ズレ”が、残っていた。



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遠くで。



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藤原美桜が、立ち止まる。



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「……あれ?」



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理由は分からない。



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でも。



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少しだけ。



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違和感があった。



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それだけだった。



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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

三上というキャラクターは、本編の中でも「軽い」「適当」な立ち位置ですが、実は一番“人間らしい選択”をしている人物でもあります。

見えているのに変えない。

分かっているのに流れる。

それが良いのか悪いのかは分かりませんが、少なくとも彼なりに納得して終わった人生だったのかなと思っています。

本編ではまた違う視点からこの出来事が描かれていますので、よければそちらも読んでいただけると嬉しいです。

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

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