scene2 教科書事件のゆがみ
実戦演習を終え2時限目は座学。
「今日は武器と魔力の関係について説明する」
つまらないしゃべり方でつまらない説明が始まった。
武器と魔法の関係…一通りは理解している。
武器の属性と魔法の属性…それぞれ地、水、風、火、闇、光の6属性
それぞれの相性があり自分の魔力と武器の属性を合わせなければ効果が半減する。
特に相反する属性、水の魔力を持つものが火の武器を使用してもほぼ何も出来ない。
ちなみにディアナは火属性…着弾時の爆炎も火属性ならではだ。
リリアに関してはプレイヤーが自由に選択出来る。
今この世界に存在しているリリアが何属性かは今のところ不明だ。
出来れば水属性出ないことを祈る。
「あれぇ?おかしいなぁ私の教科書がないわぁ」
リリアが授業中に急に声をあげる。
想定の範囲内だ。
本来なら悪役令嬢がヒロインの教科書を隠す嫌がらせをする場面。
でもそんなイベントは不発のはずだ。
なぜなら私はそれを知ったうえで何もしていない。
教科書はリリアの机の中に入ったままだ。
ただ…一つ感じる違和感…本来リリアは授業中に騒いだりはしない。
授業が終わっても何も言い出せないリリアに悪役令嬢であるディアナがボロボロになった教科書を差し出す…そんなシナリオだったはず…なぜ今声を上げている...。
自分の机の引き出しを確認する。
ぼろぼろの教科書...一瞬時間が止まり全ての感覚が消える。
心臓の鼓動だけが激しく大きく響く。
なんで?なんでここに...?
余計なイベントなど起こさない起こさせないはずだった。
「...それ...私の...」
背後から近づく気配...圧倒的なプレッシャー...逃げ場はなかった。
そっと振り返った視線の先には目に涙を浮かべこちらを見るリリアの姿。
この涙は本物か嘘か...そもそも教科書をここに仕込んだのはこいつか...それとも...。
「ひどい...」
リリアは目に涙を浮かべている。
「…これは...私じゃない...」
「何を言っているんですかぁそこにあるじゃないですかぁ」
ざわつく教室内。
リリアをにらみつける。
こいつは...。
「良いんです。ディアナ様に嫌われたってぇ」
そういいながら泣き出す。
泣きながら近づいてくる。
「役割からは逃げられない」
また...あの表情...これはリリアであってリリアではない...。
異質な何か...異様なもの...。
修正されていく世界...あくまで私を悪役とする修正。
イベントからの逃亡...回避ではどうにもならないという事か...。




