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『公開講義──「無能」と切り捨てた男の前で、教壇に立ったのは誰か』

第6話:


『公開講義──「無能」と切り捨てた男の前で、教壇に立ったのは誰か』


王都・王立学院。


王族や貴族の子弟、そして“勇者召喚された選ばれし者たち”が学ぶこの場所に、俺は今、堂々と足を踏み入れていた。


変装も偽名も必要ない。

今や俺は【魔剣使い・ノクス】──王都の一部で噂になり始めた傭兵だ。名と実力が伴えば、人は素性を問わない。


そして、今回の舞台はここ。


「特別講師招聘講義:現代戦術論とサバイバル」

主催は、かつて俺たちを異世界に導いた教師──安藤 京介。


「皆さん、今日から始まる講義は、“実践型”となります。さまざまな来賓も招いていますので、失礼のないように」


壇上に立つ安藤は、相変わらずの“善人面”。

だが、その仮面の下に、どれだけの腐臭が隠れているか──俺はよく知っている。


「それでは、まずはゲスト講師を紹介しましょう。今をときめく冒険者──“ノクス氏”です!」


どよめく生徒たちの前に、俺は堂々と立った。


(ようやく、反撃の幕が上がる)



「君は……どこかで……」


俺の顔を見た瞬間、安藤の顔色が一瞬で変わる。


「藤堂……! いや、嘘だ……お前は捨てたはず……!」


小声でうわずる声を吐いた彼に、俺は静かに語りかける。


「“教育者”として教壇に立つのなら、今日は生徒の前で授業をしてもらおうか、“安藤先生”」


「……っ!」


生徒たちの前に立つ俺は、ある映像をホログラムとして投影した。



【記録映像:山中に捨てられる少年少女たち】

【音声:「この子たちは無能です。使い物になりません。国の足手まといになるだけです」──発言者:安藤京介】



「う……うそだ……! これは捏造だッ!」


「証人がいる。……出てこい、ルナ」


スッ……と教室の後方に現れたのは、冷たい瞳の獣人少女・ルナ。

一糸乱れぬ制服に身を包み、無言で一礼したあと、静かに告げる。


「……私は王立奴隷管理区で“捨てられた側”だ。担当教官の名は、間違いなく安藤 京介だった」


「な、なぜ獣人の証言などが──!」


ルナは冷たく言い放つ。


「“種族”で証言の価値を否定する時点で、貴様の教育は終わっている」


バンッ、と教室のドアが開く。


「その通りだッ!」


現れたのは、現学院長。

映像と証言により、安藤は「学生の命を危険に晒した教育関係者」として告発されたのだ。


「安藤教員、貴殿の行いはもはや教育の名を騙る犯罪だ。即刻拘束する」


「ま、待ってくれ! 俺は……俺は……“無能”を切り捨てただけなんだ! 正しい選別をしただけだ!!」


安藤は泣き叫ぶように言い訳を続けた。


だが、俺は一歩前へ出て、こう告げた。


「“無能”と笑われた側の逆襲が、どれほど恐ろしいか──身をもって学ぶんだな。先生」


その日、学院にいた者は皆、知ることになる。


──かつて「無能」とされた少年が、最も優秀な教育を成し遂げたことを。


次回予告(第7話)


『魔族の姫君──かつての敵と手を結ぶ日』

王都での復讐を果たしたノクスの次なる狙いは、“異世界の召喚構造”の根幹へ。

そこに現れるのは、かつて人類と戦った魔族の姫。

敵か、味方か──新たなる選択が迫る!


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