『魔剣グラムのチュートリアル──“相棒”は元・魔王の右腕だった!?』
第2話:
『魔剣グラムのチュートリアル──“相棒”は元・魔王の右腕だった!?』
「まず最初に聞くが、お前、復讐に興味はあるか?」
それが、“魔剣グラム”が俺にかけた最初の言葉だった。
その言葉に、俺の中の何かが音を立てて動き出す。
「……どうして、それを?」
『お前の目には“怒り”が見える。捨てられたことを、裏切られたことを、屈辱を、まだ飲み込めてない顔だ』
俺は、無言で頷いた。
クラスメイトたちの冷笑。
一言の同情もなく、俺を無能と決めつけて追放した教師。
異世界に連れてきておいて、最初から“切り捨て要員”として扱った王族たち。
(覚えてろよ……俺を捨てた奴ら。後悔させてやる)
「……復讐する力があるなら、使いたい。お前の力で、俺は這い上がる」
『気に入ったぜ、相棒』
魔剣が、闇のような笑みを返す。
⸻
夜の納屋の中、俺とグラムは“契約”を交わした。
グラムは、かつて魔王軍の四天王の一人──いや、正確には魔王本人の右腕だった。
その力は、かつて世界を恐怖に陥れた“破壊”の象徴。
だが魔王が倒れた後、グラムは封印され、ここに捨てられていたという。
「……でも、どうして俺にだけ話しかけられるんだ?」
『お前の【鑑定】は“真の魂”に触れる力を持っている。俺たち魔具にとって、それは“鍵”なんだ』
普通の鑑定士にはただの情報しか見えない。だが俺には、アイテムの“人格”に触れることができる。
その瞬間から、俺は彼らの“主”となる。
『さあ、力を見せてやる。お前の中に眠る、本当の可能性を──』
グラムの刃が、鈍く光を放つ。
次の瞬間、納屋の壁が“爆音”と共に吹き飛んだ。
「っ! 何だ!?」
そこには、一体の巨大なモンスター──**“沼喰い”**と呼ばれる腐敗した獣。村を夜な夜な脅かしていたという噂の魔物だった。
(やれるのか……? 俺に、あんなのが──)
『ビビるな。俺を握れ。そして、力を解放しろ』
俺は剣を握りしめた。手が震える。でも、それでも──
「やってやる……! ここで死ぬわけには、いかねぇんだよ!」
剣が光を放ち、俺の身体を漆黒のオーラが包み込む。
『――スキル発動:【魔剣同調Lv1】!』
次の瞬間、世界がスローモーションになったような感覚。
俺の視界には、沼喰いの動きが“遅く”見えた。
(見える!)
地を蹴り、グラムを振り抜く。
腐った肉を裂き、骨ごと叩き折るような重い一撃。
「おおおおおおおおおおッ!!」
沼喰いの身体が、真っ二つに裂けて地面に崩れ落ちた。
俺は膝をついた。肩で息をしながら、手の中にある剣のぬくもりを感じる。
(勝った……! 一人で……!)
『どうだ? 悪くないだろう、“最弱”』
グラムの言葉に、俺は笑った。
(ああ。上等だ)
そして、確信した。
この力があれば、俺を見下した奴らを──俺を捨てた全ての者たちを、“土下座”させる日が来る。
俺の名を、恐怖で刻ませてやる。
次回予告(第3話)
『裏切りの勇者パーティ──最初に俺を嘲笑った女剣士との再会』
クラスで一番人気だった才色兼備の女剣士・絢瀬美琴。
かつて俺を嘲笑い、最弱呼ばわりしたその女が、なぜか“奴隷”として売られていた……?