表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/43

『魔剣グラムのチュートリアル──“相棒”は元・魔王の右腕だった!?』

第2話:


『魔剣グラムのチュートリアル──“相棒”は元・魔王の右腕だった!?』


「まず最初に聞くが、お前、復讐に興味はあるか?」


それが、“魔剣グラム”が俺にかけた最初の言葉だった。

その言葉に、俺の中の何かが音を立てて動き出す。


「……どうして、それを?」


『お前の目には“怒り”が見える。捨てられたことを、裏切られたことを、屈辱を、まだ飲み込めてない顔だ』


俺は、無言で頷いた。


クラスメイトたちの冷笑。

一言の同情もなく、俺を無能と決めつけて追放した教師。

異世界に連れてきておいて、最初から“切り捨て要員”として扱った王族たち。


(覚えてろよ……俺を捨てた奴ら。後悔させてやる)


「……復讐する力があるなら、使いたい。お前の力で、俺は這い上がる」


『気に入ったぜ、相棒』


魔剣が、闇のような笑みを返す。



夜の納屋の中、俺とグラムは“契約”を交わした。


グラムは、かつて魔王軍の四天王の一人──いや、正確には魔王本人の右腕だった。

その力は、かつて世界を恐怖に陥れた“破壊”の象徴。

だが魔王が倒れた後、グラムは封印され、ここに捨てられていたという。


「……でも、どうして俺にだけ話しかけられるんだ?」


『お前の【鑑定】は“真の魂”に触れる力を持っている。俺たち魔具にとって、それは“鍵”なんだ』


普通の鑑定士にはただの情報しか見えない。だが俺には、アイテムの“人格”に触れることができる。

その瞬間から、俺は彼らの“主”となる。


『さあ、力を見せてやる。お前の中に眠る、本当の可能性を──』


グラムの刃が、鈍く光を放つ。


次の瞬間、納屋の壁が“爆音”と共に吹き飛んだ。


「っ! 何だ!?」


そこには、一体の巨大なモンスター──**“沼喰い”**と呼ばれる腐敗した獣。村を夜な夜な脅かしていたという噂の魔物だった。


(やれるのか……? 俺に、あんなのが──)


『ビビるな。俺を握れ。そして、力を解放しろ』


俺は剣を握りしめた。手が震える。でも、それでも──


「やってやる……! ここで死ぬわけには、いかねぇんだよ!」


剣が光を放ち、俺の身体を漆黒のオーラが包み込む。


『――スキル発動:【魔剣同調Lv1】!』


次の瞬間、世界がスローモーションになったような感覚。


俺の視界には、沼喰いの動きが“遅く”見えた。


(見える!)


地を蹴り、グラムを振り抜く。

腐った肉を裂き、骨ごと叩き折るような重い一撃。


「おおおおおおおおおおッ!!」


沼喰いの身体が、真っ二つに裂けて地面に崩れ落ちた。


俺は膝をついた。肩で息をしながら、手の中にある剣のぬくもりを感じる。


(勝った……! 一人で……!)


『どうだ? 悪くないだろう、“最弱”』


グラムの言葉に、俺は笑った。


(ああ。上等だ)


そして、確信した。


この力があれば、俺を見下した奴らを──俺を捨てた全ての者たちを、“土下座”させる日が来る。


俺の名を、恐怖で刻ませてやる。


次回予告(第3話)


『裏切りの勇者パーティ──最初に俺を嘲笑った女剣士との再会』

クラスで一番人気だった才色兼備の女剣士・絢瀬美琴。

かつて俺を嘲笑い、最弱呼ばわりしたその女が、なぜか“奴隷”として売られていた……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ