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その時の俺は、バッターボックスに立っていた。当然バットを持ったまま駆け寄った。そしたらあいつ、俺のバットを奪いやがって、その勢いのまま振りかぶって汚ねぇ男の腹を打ち抜いたんだ。まったくビックリしたぜ。もう少しで俺の腹に当たりそうだったからな。慌てて避けたが、シャツをビュッとかすめる音が聞こえたよ。後になってあいつの頭を一発引っ叩いておいた。冗談交じりにだけどな。
呻きを上げ、男が倒れた。腹にバットが当たった衝撃でくの字に飛び上がっていたな。今度はその勢いを反対側に地面に倒れ込んだ。への字に這いつくばっていたな。
あいつはその盛り上がったケツにバットを振り下ろした。汚ねぇ男はゲホッなんて声を出し、一の字にうつ伏せた。口元からはヨダレと赤い血が混じって拡がっていたよ。
なんだか腹が減ったな。飯でも食いに行くか。
あいつがそう言うと、皆が動き出す。それぞれの荷物を持って、チャリンコに跨った。何故だろうな? みんなの顔が一様にニヤ付いていた。汚ねぇ男に向かって唾を吐く奴もいたな。
当然だろ? 俺だって唾を吐いたよ。どうせなら小便でもかけてやればよかったと思っている。便所より汚ねぇ男だからな。俺の小便で少しは綺麗にしてやれる。